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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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242/320

龍人達のリゾート事情

「でも良かったわね、ラビ」



ルリが珍しい慈愛の笑顔を見せた。


ただ、今の流れでラビちゃんにとって「良かった」事が欠片でもあったか?


ああ、ライオン君が怒らなかったからか?ラビちゃんも小首を傾げて「?」な顔だ。


そう思っていたら、ルリが意外な事を口にする。



「ライオウに大分慣れてきたんじゃない?とっさにとはいえ、触れてたし」


「あっ!本当ですね」



おお、確かに!へっぽこ兎パンチだったが、触れてたと言えば触れてたな。昨日は同じ部屋にいるだけでプルプル震えてたから、それから考えれば凄い進歩だ。



「本当だ!良かったね、キーツとイナバの例から言って、今くらいの距離感からゆっくり慣らしていった方が、しっかり仲良くなれるみたいだよ」



ゼロも嬉しそうにアドバイスする。



「だな、うちの狐の獣人も気の使い方はハンパなかった。それくらいでちょうどいいんだろ」



ライオウには申し訳ないが、本能に逆らうには相当な努力が必要だ。幸いラビちゃんはイナバよりは慣れるのが早そうだし、ライオウにはしばらく頑張ってもらうしかないだろう。


ラビちゃんも嬉しそうだが、何よりライオウがこっそりプチガッツポーズを作っていたのが微笑ましい。このまま地道に仲良くなってくれるといいんだが。



「それはそうと、他にも人気のものはあったのか?」



さりげなく話をリゾートに戻すカエン。こういう時の会議の仕切りはさすがだ。



「特に目新しいものはないと思いますけど。遊園地もとにかく走れるのが沢山あるくらいで。複雑なトンネルをいかに短時間で攻略するかだったり、沢山の障害物を飛んだり跳ねたりしながら駆け抜けたり。たっくさん汗かいて、お風呂で盛大に洗い流すのが気持ちいいんですよね~」



獣人は元気なイメージはあったけど、そこまでとは。充分変わってると思う。


そう聞いてみると、スパだのエステだの言ってはいたがゆったりまったりできそうなエルフのリゾートがやっぱり一番リゾートっぽいかも知れない。



「獣人のリゾートはアスレチック系なんだね。じゃあ、龍人はどんな感じなの?」



えっ?俺!?

ゼロに突然話をふられ、軽く固まる。

……どうだったかな。


「温泉……はあったな」



俺がそう言うと、間髪入れずにカエンも同意する。



「俺様の故郷にもあったぜぇ、温泉。まぁボッコボコに煮立ってたり、沸いた端から気化してるのとかもあったがなぁ」



そんな地獄温泉、誰が行くんだ。

あ、火龍だから熱さには強いって事か。



「基本温泉と併設でデカいホテルがあってなぁ、そこに何ヶ月も連泊するヤツが多かったぜぇ」


「何ヶ月も!?仕事とか学校はどうするの!?」


「人間と違ってそんな面倒なモンはねぇよ」



驚愕の叫びをあげたゼロに、カエンはあくまでも呑気に答える。実際俺達の街にも学校らしきものは特にない。


人に紛れて暮らす事を選んだヤツらは人間の学校に紛れるか、ちょっとデカくなりゃ冒険者に直でなるヤツもいる。人里離れた場所で暮らすヤツは学校の必要なんかないし。



「はぁ~いいなぁ……」



なんだか感嘆のため息をついているが、ゼロは学校は好きじゃなかったんだろうか。どっちにしたって今はゼロも行ってないだろうに。



「龍人は寿命も長いからなぁ、何ヶ月って単位も別に長くも感じねぇヤツが多いんじゃねぇか?一つところにずっといるのが苦じゃねぇヤツも多いしな」



うんうん、一生生まれた街やダンジョンから出ないヤツもいるって聞くしな。土龍の龍人なんかはそのタイプが多いらしい。



「その代わりホテルのレベルは高いぜぇ?連泊しても満足できるくらい、食事処や店の類は充実してるし、なによりホテル自体が豪華だ」


「意外にも理想的じゃない。きっとサービスもいいんでしょうね」



ルリは感心した様子だが、残念ながらサービスなんか適当だ。龍人は干渉され過ぎるのは好まないからな。



「いや?別にそこは普通じゃねぇか?ホテルなんか基本泊まれて飯食えりゃいいんだし。俺様が言ってんのはホテルの材質だ」


「は?材質?」


「すげぇぜ?翡翠の館、黄金の館、ルビーの館……ってな具合にな」


「ちなみに俺の所はクリスタルだった」



そう、お代が宝石ってホテルもあるくらいだ。シャンデリアや内装まで特定の金属をふんだんに使ったこだわりの仕様だからな。



「何その成金主義なホテル!」


「目がチカチカしそうですねぇ」


「龍がキラキラしたもの好きって本当なんだね」



あれ?

皆に呆れられてしまった。

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