新しい街作り③
おお…ルリがキレた。
「今日はいったんお開きにして、明日また、各自やる事やってからまたアイディアを持ち寄りましょ?」
両手を腰にあて、片眉吊り上げて全員を見渡すルリ。次いでゼロをキッと見つめると、有無を言わさぬ調子でこう言った。
「ゼロは、レジェンド達から問題視されてる事をリストアップしといて」
「う、うん」
「カエンはさっさと王様達と話して、レジェンド達まで巻き込むか決めてきて」
「ハイハイ、分かったよ」
よっぽどイライラしたんだろう、ルリがビシビシと指示を出す。カエンですら、苦笑しながらも従ってるんだからたいしたもんだ。
そうしてルリは厳しい表情のまま、残る俺達……俺、ラビちゃん、ライオウに向き直る。
ラビちゃん達の背筋がピシッと伸びた。横目でチラっと見てみれば、やけに真剣な表情で鬼軍曹を見上げていた。ちょっと面白い。
一瞬の沈黙のあと、ルリがにっこりと微笑む。ここだけ見ると天使の微笑みなんだが。
「……あとの人は今日の話を元に、どんな街にするか考えて来てね。楽しい、人がい~っぱい来る事をなんでもいいから沢山!」
良かった。俺達は特命は別にないらしい。
ぼうっと大きく息をつき、あからさまに安心した様子のラビちゃんとライオン君。何か無茶ブリがあるんじゃないかとドキドキしてたんだろうなぁ。
「楽しそう……僕もそっちが良かった」
ゼロがしゅんとした様子で独りごちる。確かにレジェンド達からのお小言リストよりは、新しいダンジョンの事考える方が断然楽しそうではあるな。
ちょっと同情する。
「もちろんダンジョンの事も考えて来ていいわよ。この中ではゼロが一番詳しいんだもの、むしろ沢山アイディア出して欲しいわ」
可哀想になったのか、軽くフォローするルリ。
「あ、カエンも王様やアライン王子様達から、造りたいものないか聞きとってきてよね」
カエンに釘を刺すのも忘れない。
さすがだ。
「とにかく外せない条件だけは先に明らかにして、後はその中で最大限楽しんで造りましょ!せっかくだもの、びっくりするような街にしたいじゃない!」
「はい!」
ルリのシメの言葉に、ラビちゃんが元気良く返事をして可愛いガッツポーズを見せた。
最初に会った時に比べると、表情もイキイキとして耳もピーンと元気良くたっている。話す中で、だいぶ前向きな気持ちが生まれてきたみたいだな。そんなラビちゃんを見て、ライオウも嬉しそうだ。
ルリに仕切られるのは何だか変な感じだが、言ってる事はその通りだ。
ここはひとつ、気合い入れて頑張りますか!




