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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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新しい街作り①

「それは……そうできれば一番いいだろうけど、それかなり難易度高いよね?」



カエンの自信ありげな顔を見あげながら、ゼロは困った顔をしている。それを見て、カエンはまたもやニヤリと笑い楽しそうに目を細めた。



「出来るじゃねぇか、お前らのダンジョンを使えば」



そう言って、俺達をゆっくりと見回す。



「確かにこれまでは難しかったさ。任務を全うするか、帰って来ないか……結果しか見えなかったからなぁ」



その通りだが……シビアだ。



「だが今は違う。お前らのダンジョンならモニターで任務のこなし方まで全部丸見えだからなぁ、伸びる奴ってのは初期の段階で選別出来る」



確かに!

デキる奴やバランスのいい有望パーティーはかなりはっきり分かる。そいつらを集中して育てていくわけか。俺達のダンジョンがレベルアップにもきっと貢献できるだろう。



「それに……明らかに向いてない奴らには、早めに引導渡してやるのも大事な事だ。死んじまう前に他の仕事を斡旋すりゃ、孤児も減るし平均寿命も伸びる」



少し寂しそうにカエンが呟いた。冒険者が好きな奴らに引導を渡すのは、多分ギルドマスターのカエンの仕事になるんだろう。


必要な事だとわかっていても、いざやる時には辛い仕事になるんだろうな……。



「ま、だからってわけじゃねぇが、これから作るラビのダンジョンには、冒険者あがりの奴らも楽しくプライド持って出来る仕事を作ってやりたいなぁとは思ってるぜぇ?」



カエンは少し寂しそうな顔のまま、ラビちゃんに向かって笑って見せた。



ラビちゃんは一生懸命頷きながら「はいっ!冒険者さん達とも仲良くします!ちょっと怖いですけどっ!」と宣言。


けなげだ。て言うか可愛い。



「そうよねぇ。冒険者の数が減って、他の職につく人が多くなれば、国の色も国民の意識も自然と変わってくるわ。議会を通す必要もなければ国民の反発も少ない」



ルリが感心したように呟いた。



「一方で質を高めて冒険者の国である事も捨てないってわけね。さすがに気の遠くなる年月、守護龍やってるだけはあるのねぇ」



ルリが素直に褒めてる!!

思わず驚愕が顔に出てしまったらしい。ルリに睨まれてしまった。



「んーーー…と、じゃあ…纏めると…」



ゼロが思い出すように視線を宙に漂わせる。



「現状は隣国との国境付近の深い森だよね。それを最初はカモフラージュも兼ねて、新しい名物を産めるような人が集まる街にしたいんだよね?」


「そう。見渡す限りのニンジン畑があって」



ルリが楽しげに茶々を入れる。



「素敵ですねぇ。孤児院があって子供が沢山いて…学校も…習いごとも必要でしょうか」



夢見る瞳のラビちゃんの頭の中では、校庭を走り回る子供達、そしてそのむこうに広大なニンジン畑…という、相当平和な光景が繰り広げられているに違いない。



「そう言えばカエン、この国の教育制度ってどんな感じなの?」


「あ?…ああ、8才から12才までのガキんちょが通う初等部と、16才まで通う中等部の二つだな。初等部までの奴も割と多いぜぇ?」



ゼロの突然の問いにもカエンはスラスラと答える。この国の事ならさすがになんでも分かっているらしい。



「卒業したら冒険者になったり弟子入りしたり、家業を継いだりが大半だ。だが、高等部まで行きたいっちゅう奴は他国に留学してる」


「どんな事教えてるの?皆おんなじ事?冒険に役立つ事も教える?」



ゼロ、グイグイいくなぁ。



「教えてんのは冒険に関する事じゃなくて、生活に役立つ一般的な知識で…基本全員に同じ事を教えてたと思うがなぁ」



少々面食らいながらも丁寧に答えてくれるカエン。しかしゼロの追求の手は止まなかった。



「なんで冒険の事教えないの?国民の大多数が冒険者になるんだよね?」


「危ねぇからだ」



即答だ。どうやらカエン達は明確な意思があって、冒険のイロハをあえて教えて来なかったようだ。



「特にガキんちょはすぐ危ねぇ事したがるからなぁ。そこそこ体ができて、危なくなったら逃げられるくらいの年齢になってから、意思がありゃ冒険者になればいい」



なるほど一理ある。


今でさえ10才にも満たないちびっ子がダンジョンに来た事があるくらいだ。学校で教え始めたら……ヤバい、考えたくもない。

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