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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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新ダンジョンの構想①

「隣国は野心が強い国だが、俺様がいる事もあって今のところは侵攻する気はなさそうだからなぁ。出来りゃあこのまま穏便にいきてぇ」



そうして欲しい。戦争はカンベンだ。



「逆にあの場所は深い森があったから開発が難しいと思ってたんだが、街が出来りゃあ物流の要所としても、旅の中継地点としても使えそうだ」



なるほどね、国としては元々開発したい地域だったんだろう。



「もちろん最初は小さな村か…施設…まぁ何を作るかから話して行きたいんだが、最終的には要塞も兼ねた堅牢な街にしたいわけだ」


「のっけからつまんないわぁ」



来た。

ルリの面白さ至上主義発言。



「お前なぁ、国防は国にとっちゃあ最優先事項なんだよ。民の命に関わるんだ、遊びじゃねぇんだぞ」



おお、いつになくカエンが真剣だ。



「別に否定してないわよ。最終的には要塞も兼ねた街になるとしても、最初はカモフラージュも兼ねて人が集まる面白要素がある方がいいな、って思っただけ」



うふふ、と何か考え事をしながらいうルリ。ゼロも「だよね!」と言いながら、すぐに視線を彷徨わせる。



「まぁ、人が集まる方が撃退ポイントも入るしな。ていうか、あんた達は何か造りたいモンはないのか」



俺は相槌しつつもラビちゃんとライオウに話をふってみた。


なんといっても新しいダンジョンは彼女達のダンジョンだ。一旦は自殺未遂をしたとは言え、ラビちゃんがダンジョンマスターなのに変わりはないしな。



「造りたいもの、ですか……」



まだビクビクしながら、懸命に考えるラビちゃん。



「もしくはやりたい事とか、好きな事。なんでもいい」


「そう、ですねぇ……」



ん~~~…と考えて、彼女は夢みるような、トロンとした瞳をあげた。



「見渡す限りのにんじん畑があったら幸せですぅ」



ブハッと誰かが吹き出した。


あ……ライオウか。

ラビちゃんに赤い顔で睨まれている。



「ごめんごめん、やっぱニンジン好きなんだな」


「別に生で丸かじりとかしませんよ!?サラダとか……ゴロゴロ野菜のシチューとかっ、ちゃんと料理に使うんです!」



おおっ、ラビちゃんが言い返した!

プルプルしてるけどな!



「そっか、うまそうだ。今度作ってくれよな、マスターさん」


「が、頑張ります!」



破顔したライオウに、ラビちゃんが両手を握り締めて宣言する。僅かではあるが会話が出来て俺も少し安心した。


マスターにビビられ過ぎて話しても貰えないとか…俺がライオン君の立場だったらマジで泣きが入るからな。



「あ~……まぁ、作ってもいいが、護国にも人集めにもならなそうだなぁ」



苦笑気味のカエンに、ラビちゃんは「すみません……」と、ちょっと赤くなっている。



「カモフラージュにはなるんじゃない?なんだか平和そうだもの」



ルリの言葉になんとなく納得だ。



「国としては要塞の他に造りたいものはないの?」



ゼロの問いに、カエンは「あるにはあるが」と、なぜか答えを渋っている。



「男らしくないわね!ハッキリ言いなさいよ!」



ついにルリにキレられた。



「しょうがねぇなぁ。造りたいのは孤児院だ、建設したいって話はちょくちょく出るからな。だが、もう少し街が安定してからがいいだろうが」



……結局それまでダンジョン頼みで作る気か。



俺達のジト目に、カエンは居心地悪そうに「無い袖は振れねぇんだよ」とぼやく。



「ゼロ達のダンジョンは俺様のギルドに直結だからなぁ。孤児院を造るには色々問題がある。次のダンジョンでは優先で建てたいって話が出てるんだ」



渋々といった顔で説明するカエンを、ラビちゃんはキラキラの瞳で見ていた。



「私っ!子供大好きです!孤児院、建てたいです!!」



ラビちゃんの耳はこれまでになく勢いよくピーンと立っている。対してライオウはちょっと渋い顔だ。



「ガキンチョは苦手か?」



尋ねると、ライオウは小さくため息をついた。しっぽがユラユラと所在なさげに揺らめいているのが内心の動揺を感じられて地味に面白い。



「恐怖でいっぱいの怯えた顔されるか、尋常じゃなく懐かれるかの二択だからな。どっちにしても面倒臭い」



なるほど、不思議と納得だ。



「そっちも人集めとかには関係なさそうだけどまぁいいわ。子供達の事忘れてなかったのは褒めてあげる。それに、ダンジョンの方向性もこれでおおまか決まるでしょ?」


「はあ?方向性、決まったかぁ?」


「決まったようなもんでしょ。子供が沢山いる街にするなら教育に悪い環境には出来ないもの」



不思議がるカエンに「当然でしょ」とでも言いたげに答えるルリ。子供がからむとルリだってそれなりに常識人なんだな。



「そうだね、現時点では深い森なんだよね?普通に人が沢山通る場所じゃないだろうから、それなりに人が集まる仕掛けは要るだろうけど」



ゼロはあれこれ考えているようだが、まだ名案は浮かんでいないらしい。う~ん…と唸っている。



「そうよねぇ。最初はカジノとか美女ダンサーのショーとか、旅人のオジサマやオニイサマがつい立ち寄りたくなる夜の街を造れば……って思ってたんだけど」



うん、ルリらしい。

治安も風紀もかなり悪そうだが、魅力的な街になりそうだ。個人的にはその街かなり造ってみたい。

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