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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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第四戦の攻防

期待に添えなくて悪いが、一番可能性があるのはムチだ。遠慮なく行かせて貰おう。


糸目爺さんに隙なんかは見当たる筈もない。こちらから正々堂々いく訳だが…ただ行ってもさっきみたいに最小限の動きで躱されるだろう。


攻撃の組み立て…か。


今まで反射でやってた分、いざ考えようと思うと難しいな…!


俺の今の武器は格闘と布、ムチ、そしてリングだ。今のところ飛び道具のリングだけはお披露目していない。


意表を突くならリングだろうが、使いどころは慎重に行きたい。最初は糸目爺さんも知っているムチで仕掛けてチャンスを作ろう。


「どうした。ワシからは攻撃せんぞ?」


ムカつくな~!!

その余裕綽々の態度、何とか崩してやりたいもんだ。


俺はムチを握りしめ、糸目爺さんに向かって走りながら攻撃を繰り出した。糸目爺さんの体を狙ってムチを振るっても、当然最小限の動きで避けられていく。


少しだけ軌道を変えて、糸目爺さんの足元の床を狙ってみた。ムチにはゼロがスーパーボールと呼んでいた強力なゴム(?)の素材を転写してある。


案の定ムチは激しく跳ね返り、糸目爺さんの顎にクリーンヒットした。


やった!


このムチは跳ね返った時の軌道や速度が敵から読み辛いのが利点だな!


糸目爺さんの上体が少し仰け反った瞬間、ムチをリング状に変え、強いカーブをかけて床を走らせた。


重さも充分に加えたデカいリングは、弧を描いて猛烈なスピードで糸目爺さんの背後からぶち当たる。


「のわっ!??」


後ろから追突された糸目爺さんの体がついに宙に浮いた。


そこを狙って、布の先を幾つか縛って作った簡易フレイルで力いっぱい打つ。俺的にはフルスイングだ。


言っても布だからな。

渾身の力を込めて丁度いいくらいだろう。


…レジェンドだし。


糸目爺さんは、打たれた腹をさすりさすり、俺を睨んだ。


「…痛てて…。今のはちぃと痛かったぞ。少しは年寄りを労わらんか…!」


ええ!?

さっき全力で来いって言ったよな!?納得いかねぇ…。


「ふむ…しかし少しは考えたようだな。今のはなかなか面白い攻撃だった」


糸目爺さんはさらに目を細くした。

…笑ってるのか…?判別できない。


糸目爺さんに当たった後、力なく床に転がっているムチのリングを回収して、ムチの形状に戻していたら、糸目爺さんが「何が当たったかと思えばムチか!」と今度ははっきり笑い出す。


「面白い!褒美にちぃとばかり本気で相手をしてやろう!」


糸目爺さんの闘気が急激に膨れ上がる。


その褒美いらないんだが!!



「まだ隠し球があるか!?」


無くもない。まだ飛び道具の小さいリングは使ってないからな。


「その顔はまだあるな?全部出せ!」


俺そんなに顔に出やすいのか…?


なんだよもう、糸目爺さん寡黙かと見せかけて超喋るなぁ。…予想外だ。


ふっ…と糸目爺さんが消えた。


その瞬間、背後から蹴りを入れられる。

浮いた体に今度は鳩尾へのエルボーが入った。


…めちゃくちゃ痛い!!


なんの変哲もない攻撃がとてつもなく重い。そのまま床に叩きつけられ、上からギリギリと抑え付けられた状態で「全部出せ!!」とさらに脅迫される。


リングは基本飛び道具なんだよ!!


「……くそっ!分かったよもう!出すからどいてくれ」


「さっさと出せばいいものを」


…糸目爺さん…。

カツアゲみたいになってるぞ?


ボヤきながら太腿のリングを取り、指先で回して見せる。


「これで全部だ」


「なんだそりゃ」


…せっかく見せたのに、拍子抜けの顔するの止めてくれないかな。


「…まぁいい、とりあえずそれでかかって来い」


疑いの眼差しで見ている糸目爺さん。


フン、飛んで来て驚くなよ?

このリングは円刀にもなるんだからな。…リングは全部で4つ。さて、どう使おうか。


両腕に2つずつ、4つのリングを回しながら糸目爺さんを睨む。


…絶対一泡吹かせてやるからな。


まずは2つ。

腕のリングを時間差で糸目爺さんに向かって投げる。投げる瞬間、円刀にして投げてやった。


攻撃を受けてみるつもりなのか、ピクリともせずにリングが飛んでくるのを見ていた糸目爺さんは、当たる直前で突然奇声を上げる。


「ぬおお!?」


目にも止まらぬ早業で円刀を2つとも横から弾き落とした。


さすがだな、糸目爺さん!

だが、想定内だ!


続けて円刀第二弾を発射した。


糸目爺さんは「年寄りになんちゅうモン投げるんじゃ!!」と叫びながらそれも手刀で叩き落とす。


この瞬間を待っていた!!


円刀を叩き落とすのに集中した糸目爺さんの、僅かな隙…!


瞬時に走り、糸目爺さんの頸椎目がけて渾身の回し蹴りを放つ。


しかし、俺の足に糸目爺さんを仕留めた感触はなかった。


変わりに訪れたのは、激しい衝撃と熱さ、そして空に浮く感覚。


ああ…カウンターをくらったのか…。


目の前がくらくらと揺れる中、糸目爺さんの決まり悪そうな声が聞こえた。


「…やってしもうた…。つい本気で一発入れたが…ああ、息はあるな」


死んでたまるか!!

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