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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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208/320

レジェンド達②

「バカ!戻ってろ!!」


慌てて追い返そうとしたら、ゼロからやんわりと押し戻されてしまった。


「大丈夫。元々会う事になってたんだ。…ただ、カエンが戻ってきてから一緒に会うんだって聞いてたんですけど」


後半は既にレジェンド達への言葉だな、それ。


…聞いてない。

レジェンド達に会う予定だなんて、俺は一言も聞いてないぞ!!


憮然とした表情で睨んだ俺に、ゼロは申し訳なさげな顔でヒソヒソと謝ってくる。


「ごめんね黙ってて。武闘大会に集中させてあげたかったんだ。…却って驚かせる事になっちゃったね」


なんだそれ。大体武闘大会に出るって言ってから、皆コソコソし過ぎなんだよ。しょうがないのかも知れないけどさ。


ゼロを庇うように立つ俺を見て、爺さんの中の一人が苦笑ぎみに立ち上がる。


「そんなに警戒しないでくれ。カエンが何か急用とかで昼からになると言ってたからな、丁度いいと思って…サシで話したかっただけだよ」


全体的に武闘派なレジェンド達の中では知的で優雅な感じの爺様だが…カエン抜きで話したいとか、逆に怖い。


「君がダンジョンマスターのゼロ君だね?とりあえず座って話さないか?」


もちろんゼロは素直に席につく。レジェンド10人に囲まれて断れる奴も少ないだろうが…俺も覚悟を決めてゼロの隣に座った。


座ると何かあった時に反応が遅れるから、立っていようかとも思ったが、明らかにレベル違いのレジェンド10人じゃ悔しいが歯が立たない。話し合いに集中した方が幾らかマシな結果が出るだろう。


知的な爺さんが口火を切る。


「さて…ゼロ君、まずは自己紹介からかな。私はルフィード。今は冒険者は引退して、この国の宰相を務めている」


宰相様でしたか。なるほど知的な感じな筈だ。


「ルフィード様はレジェンドのなかでも賢者と名高いお方だよ。今は国政でも重要な位置を占めてらっしゃる。それからこちらの方が…」


Mr.ダンディが次々とレジェンドを紹介してくれる。…が、残念だが覚えるのは無理だ。元々名前や顔を覚えるのは苦手なのに、10人も爺さんばっかりいちゃ白旗を上げるしかない。話すのは主に宰相の爺さんだろうから、それだけ覚えりゃいいだろう。…そう思っていたら、案の定宰相爺さんがまた話し始めた。


「今日カエンにダンジョンマスターである君と話し合う場を設けてもらうように頼んだのは私だ」


そうしてゼロをじっくり見つめる。


「実は…私は反対していたんだ」


反対って…武闘大会の事か?

俺の疑問が分かったのか、宰相爺さんはすぐに言葉を継いだ。


「カエンがダンジョンマスターを支援すると聞いてね。王は乗り気だったが…私は猛反対したんだ」


そ…そっちか。ていうか、そもそものところから反対だったわけか。


「沢山のダンジョンを潰してきたが、私の知るダンジョンマスターは…人間だろうが魔物だろうが、総じて残虐でずる賢く…人を殺す事にためらいがなかった」


他のレジェンド達もうんうんと頷いている。


「カエンからまだ成人にも満たない子供だとは聞いていたが、それでもダンジョンマスターを信頼するのは難しかった。…狡猾な奴なら、カエンに取りいって国を意のままにする事も考えられるからな」


宰相爺さんの言う事は分からんでもない。ぶっちゃけ同じ立場なら俺でも疑う。


「カエンも王達も、君達と随分仲良くしているようだが…冷静に見ると君たちのダンジョンは僅か2ヶ月足らずで驚愕の進化を遂げている」


宰相爺さんの目がキラリと光った。


「私は心配性でね。君達をまだ信頼してはいないんだよ」


ニコリと笑ってそうハッキリと言った宰相爺さんに、ゼロは毅然と答えた。


「はい。これまでも何回かカフェに来てたの、知ってます」


「ほう、やはり気付いていたか」


「…凄くレベルが高い人がお客様に混じってるなって思ったから…」


マジでか。そういうの、教えてくれないかなマジで…!


「破竹の勢いで進化していくダンジョンに、私は正直戦慄したよ。こんなものが街の中にあるだなんて、危険過ぎる…!」


宰相爺さんの話に、俺は次第に脈拍が早まるのを感じる。いやな話の流れだ。


「私は、かつて名を馳せた彼ら…レジェンド達に連絡をとった」


「強敵の少ない今の時代の若造よりは、老いたりと言えどワシらの方が戦力になるからのぅ」


爺さんの中の一人が世間話のように補足する。内容はかなり物騒なんだが。


「そんなに青ざめなくてもいい、今日は顔見せと…忠告に来ただけだからね。君達をどうこうしようってわけじゃない。ルフィード様もあんまり虐めるとカエンから怒られますよ?」


Mr.ダンディが取りなすように会話に入ってきてくれた。


「大体ルフィードはいちいち回りくどい!ハッキリ言えばよかろうが!」


さっき俺をパシリにした一番デカい爺さんが、しびれを切らしたように勢い良く立ち上がった。


「おら!おめぇら、闘気を全解放して見せてやれ!!」


瞬間、レジェンド達が放った闘気に、俺とゼロは椅子からぶっ飛ばされた。

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