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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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ジョーカーズダンジョン、2日目⑫ 10/15 2回目

戦士達の体がキラキラと輝き、体中にあった切り傷が瞬時に回復していく。やっぱり魔法戦士の存在は重要だな。


「ちっ…やっぱり分が悪いな。最初っから全力でいかねぇと、あっという間に全滅するぞ」


「だな」


戦士達も実力差を肌で感じたらしく、各々が自分の得物を握り直し、気合いを入れ直している。スラっちは戦いを楽しむかのように、その場でまたぽよんぽよんと跳ね始めた。


「おし!また魔法を唱えられる前に、こっちから行くぞ!!」


叫ぶが早いか、黒髪斧戦士が斧を振りかぶってスラっちにむかって走りだす。それに合わせるように反対側から金髪魔法戦士が走り出した。


赤髪細マッチョは顔の前で剣を横に構えて、呼吸を整え始め……だんだんと赤髪細マッチョの体を包むオーラが輝き始める。なんか、大技を放つつもりなんだろう。


気が溜まるまでの間、他の二人が時間を稼ぐつもりなんだろうが、その時間もてばいいけどな。


そう思ってスラっちを見ると、黒髪斧戦士と金髪魔法戦士が繰り出してくる攻撃を、楽しそうに右に左に避けている。


そっか、あれだな。

昨日爺さん達にコテンパンにやられたからフラストレーションが溜まってたんだろう。今日は戦闘を楽しむつもりのようだ。


「もういい!離れてくれ!!」


赤髪細マッチョが、二人に声をかけながら走り始めた。大きく振りかぶった剣からは、オーロラのような光がたなびいている。


「うわぁ…きれい…!」


隣で見ていたユキが、ほう…っとため息のような息を吐いた。


オーロラを引っさげて、ボス部屋を駆け抜ける赤髪細マッチョ。なかなかに幻想的な大技だ。高く跳躍して、上から大振りでスラっちに向かって剣を振り下ろす。


スラっちが危機一髪、その剣をすんでのところで避けた。


「甘い!!」


赤髪細マッチョが叫ぶ。

同時に、剣から溢れんばかりのオーロラの光が迸った。


剣を中心に光が奔流となって溢れていく。次々と襲ってくる光の束に、ついにスラっちは弾き飛ばされてしまった。


なかなかやるじゃないか!

ちょっと侮ってたかも知れないな。



「おい、ジョーカーズ・ダンジョン、意外と進みが早い。ボス部屋の前で待機しといた方がいい」


「マジで!?」


「マジで」


カエン…そんな殺生な…!

まだ決着ついてねぇし、第一これから面白くなりそうなトコなんだよ~!!


「そんな恨みがましい顔されてもなぁ」


そりゃそうだけど…。

ああ、スラっちの完全復活大勝利の瞬間が見たかった…。


後ろ髪を引かれる思いで、とぼとぼとボス部屋に続く道を進んで行く。


あっ!しまった。


あの後スライム・ロードに夢中になってて、結局ジョーカーズ・ダンジョンにあと何人残ってるかも確認してなかった。


明らかに不手際だ。何やってんだ俺…。


仕方ない、一回戻るか…。


いや、やっぱ間に合わねぇかも知れねぇし。どうするか…と悩む暇もなく、インカムからは「部屋に入れ」という指令が下される。どうやら、もうボス部屋の直前まで挑戦者が来ているようだ。


しょうがねえ。腹決めてボス部屋に入るか。ま、なんとかなるだろう。


…と、その前に…


どの姿でいくか…敵は大人数だ。

出来れば虚をついて一気に攻撃出来るような姿がいいっちゃいいが。


う~んと悩みつつ、ボス部屋に入る。

あっそうか。うん、あれで行こう!!




「それでは皆さん、ご注目下さい!!ジョーカーズ・ダンジョン、いよいよボス戦です!」


インカムからはキーツの楽しげなアナウンスが響いている。


「昨日は変幻自在の戦いを見せてくれたジョーカーズ・ダンジョンのボス戦。さぁ今日は、一体どんな戦いを見せてくれるのでしょうか~!!」


その声とほぼ同時に、ラスボス部屋の扉が開いた。ぞろぞろと隊列を組んで入ってくるへのへのもへじ達。


ちっ、ほぼ脱落してねぇよな、これ…。

こっちは一人だけなのに、ぶっちゃけやり辛い。


「うわ、やっぱこの部屋最悪だ。反射しまくって、何がなんだか」


入ってくるなりグチるへのへのもへじ。


まぁな。だよな。

六角形を貼り合わせて作ったような全面鏡張りの部屋は、今日ももちろん反射が激しい。特に今日は挑戦者の人数が多いから写り込みもハンパないんだよ…。


「ボスは!ボスはどこだ!?」


「この前は小さなドラゴンだったぜ?」


「でも姿が変えられるんだよ!?あてにならないよ!」


「くそっ!どこに紛れてやがる。」


用心深く隊列を組んだまま、周囲を見回しつつじわり、じわりと歩を進めるへのへのもへじ達。この全面鏡張りの部屋に目が馴染まないのか、皆目を細め、睨むような目つきになってるのが面白い。


そうそう、その調子…。

もっと近くまで来てくれ…。


そこで、先頭を進んでいた聖騎士の足がピタリと止まった。俺の姿をマジマジと見つめ始める。


「昨日、こんなのあったか…?」

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