表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/320

ジョーカーズダンジョン、2日目② 10/10 2回目

息が整ってくると、へのへのもへじ達は渋い顔で話し始めた。


「な、なんなんだ…!昨日のダンジョンとは別物なのか?」


「ああんもう、ビショビショ…!」


「どうしよう、これどこまで水場が続いてるのかな」


「見渡す限り足場になりそうなとこすらないな。…泳げっていうのか」


そう、挑戦者達が歩いていた道は、今やどこまでも続く水路になっている。確実に泳いで進むしかない仕様だ。


「俺、泳げない…」


その場の空気が凍りついた。


「やっぱりか…」


「さっき溺れてたもんな」


「この近辺海ないからなぁ。泳げないヤツ多いよ。俺もなんとか泳げるって程度だ。長距離はキツい」


そうか、そうだったな。意外と厳しいフロアだ。泳げないと話にならないが、確かさっき水に落ちた時…溺れかけたヤツが二人いた。今も床に転がされている。


聖騎士は苦り切った顔で、ゆっくりとメンバーを見渡す。


「全く泳げないヤツ、挙手」


床に転がる二人が、力なく挙手する。


「なんとか泳げる程度ってヤツは?」


さらに三人が手を上げた。ああっ女魔術師ちゃんが挙手してる!


「こんなに居るのか…。じゃあ逆に泳ぐの得意だってヤツは?」


誰も手を上げなかった…。うわ、前途多難だな。聖騎士もここは判断が難しい場面だ。


「参ったな…。これ偵察すら難しいぜ。俺も泳ぐのは得意って程じゃない」


「はいはいっ!あたし策があるっ!!」


女戦士が元気よく挙手した。

聖騎士が一瞬微妙な顔をしてから、女戦士に発言を促す。


「あのねっ、ペッパーさんに巨人さんを召喚してもらって、向こうまで投げてもらうの!」


何と言う乱暴な案…。それって泳ぐよりマシなのか?聖騎士が微妙な顔してたのがわかる気がする。多分いつもこんな感じなんだろう。


「確かにこの水路、かなりの距離が直線ではあるけどな…」


言いかけた聖騎士の肩を、渋いおっさんが軽くたたく。


「いや、意外といい案かもしれないぞ?泳いで消耗するよりはかなりいい。私が偵察に行って来よう」


屈伸したり腕を振り回したり、もう行く気マンマンだ。その時、つんざくような悲鳴があがった。


「あああああ~~~~!!!銃が、銃がぁ !どうしよう、ビショビショだよ~!!」


狙撃手ちゃんが半べそになっていた。


「使えないのか!?」


「使えるけど…銃身に水が溜まると威力落ちるし、思わぬ方向に弾道がそれたりするって聞くから…」


それを聞いた聖騎士は、ホッとしたように息をついた。


「なんだよ脅かすな。じゃあ、サンは偵察に行ってくれ。エリーゼはその間に銃を手入れすりゃいいだろ?」


サンと呼ばれた渋いおっさんは首をゴキゴキと鳴らすと「行ってくる」とひと言残し、へのへのもへじ達の輪の中に入って行った。


今度は輪の中からひょろい男が出てくる。話の流れから察するに、こいつが召喚師なんだろう。すぐに呪文を唱え始め、光る杖に口付ける。


…この召喚方法、男がやるとキモさしかないな…。


そして召喚されたのは、上半身裸でムッキムキの大男。なんで召喚で出てくる巨人は総じてムッキムキなんだろうな…。夢に出そうだからじっくり観察したくない。


大男は深く頷くと、渋いおっさんを軽々と掴み上げ、無造作に投げた。


うっわぁ、すげぇ飛んだな!!


「うわぁ、あたしも早く飛びたいな!」


女戦士が無邪気な事を言ってるが、あれ…投げられただけで本人に自由度は一切なさそうだから、そんな楽しいもんじゃないと思うぞ?


…そして言いたくはないが、女戦士…30歳前後だよな。無邪気なまま成長しちゃったんだな…。


どうでもいい事を考えている間に、渋いおっさんは遠く遠くの壁まで飛んで、うまいこと壁を蹴って、反動を使って右の方へ消えていった。


やっぱりうっすら向こうに見えている壁までじゃなく、右に折れてダンジョンは続いてるんだな。


…この泳げない集団にとっては、ますます厳しいダンジョン攻略になりそうだ。


聖騎士を囲んで、へのへのもへじ達は会議の真っ最中だが、全員が浮かない顔をしている。


「泳ぐにしても、武器や防具がなんせ重いからなぁ」


「置いていくわけにもいかねぇよな」


「あ、転移の魔法ならどうだ!?」


その発言に、全員がパァッと表情を明るくする。


「それ、いけるんじゃね!?」


「おいショウ!一回行ったとこなら転移出来るんだよな?」


「ああ…そうだが」


頷いたものの、浮かない顔をしている。


「なんだよ、浮かない顔だな」


「…なんにせよ俺は、あの方法で先に進むわけだよな」


「そうなるな」


「飛ばされたくもないし、第一なんとか泳げるって程度だし」


はぁ~…と、ため息。まぁ気持ちは分かるな。俺だってあの立場なら嫌だ。


「うわ!まさか水に入らないでショートカットしようとしてる!?」


わっ!びっくりした!

いつの間にかゼロが後ろから覗き込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ