表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/320

濃いめの挑戦者達⑧ 10/1 2回目

「ふ…えぇ…ん…カナちゃん…ごめ…ん…!」


ポニーテールちゃんの側で、女の子座りで泣きじゃくる金髪メガネくん。


気持ちは分かるが、絆創膏が一人でポイズンスライムを引き受けてるのを思うと、泣いてる場合じゃないだろうと一喝したくなる。


やきもきしていたら、金髪メガネくんはポニーテールちゃんの顔を優しく撫で、ついに言った。


「ごめんね…。僕…僕が…守るからぁ…」


泣きながらも立ち上がる。

おお…!それでこそ男の子だ!


剣をがっと手に取ると、金髪メガネくんは走り出した。目には強い光が宿っている。


「うわあぁぁぁあぁぁッ!!!」


あまりかっこよくない叫び声をあげながら、絆創膏にたかるポイズンスライムを切り裂いた。


「ラウェル!?」


絆創膏はドングリ目をさらに見開いて、驚きまくっている。


「ごめん!僕もちゃんと戦うから…!」


どういう事だ。

金髪メガネくんが凛々しく見える。


絆創膏はさらに驚いた顔をしたが、すぐに、最大級の笑顔を見せた。戦闘中のポイズンスライムにトドメをさし、残る一体を指差す。


「ラウェル…あいつ、頼む」


既に絆創膏からも傷を受け、あちこち切れているポイズンスライム。


金髪メガネくんは、唇を引き結び、またへなちょこな叫び声を上げながら、必死でポイズンスライムに切りつけ…ついに倒してしまった。


「はは…やるじゃん…」


弱々しい声で金髪メガネくんを褒めながら、絆創膏はぐったりと座り込む。どうやらかなり毒を受けたようだ。


「クロード!どうしたの!?大丈夫!?」


金髪メガネくんが真っ青になって駆け寄る。絆創膏はそんな金髪メガネくんに、ニッと笑いかけた。


「…なぁラウェル、お前やればできるじゃん。カナの後ろに隠れてないで…これからもさ、たまには一緒に冒険しようぜ!」


「うん…うん、でもっ…クロード顔が変な色だよ!?だ、大丈夫なの!?」


絆創膏は金髪メガネくんを安心させるためか、またニッと笑って見せる。10歳程度でも、ちゃんと侠気があるんだな。


「へへ…毒受けたみたいだ。カナもあんなだし…リタイア、しよう…」


「…!!…毒!?た、大変だっ!リタイア、リタイアします!!!」


慌てふためいた金髪メガネくんの声が響き渡る。


「プリンセス・ロード挑戦者の皆さん、宣言によるリタイアです!弱冠10歳の可愛らしい挑戦者達、よく頑張ってくれました!皆さん、盛大な拍手を!!」


キーツのコールに、カフェからは盛大な拍手が巻き起こる。


いや、よく頑張った。

金髪メガネくんがひとつ成長できた瞬間も見る事が出来て、まあまあ満足だ。



「ルリ、プリンス・ロードはどうだ?」


「残念、こっちもたった今全員リタイアよ。…って事で、治療に行ってくるわ」


もはや手慣れた様子でマスタールームから出て行くルリ。近頃はダンジョンに挑戦した猛者達から、癒しの美女とかなりの人気を誇っているらしい。


……しゃべらなきゃ、ホント絶世の美女だからなぁ…。挑戦者の皆様の為にも、くれぐれも余計なシャベリは控えて欲しいところだ。


「グレイ、キング・ロードは?」


「いやぁ、なかなか楽しませてくれてますがね。ことごとくトラップに引っかかっておりますな」


え…?キング・ロードに挑戦するくらいだから、レベルだってそれなりに高いだろうに。


「5人で挑戦したと言うのに、もう2人脱落してますからね…。最後まで残れるかは、やや心配ですな」


グレイの見立てに不安を覚えつつ、残る3人のステータスを見ようとした時、ゼロが俺を大声で呼んだ。


「ハクっ!悪いけどジョーカーズ・ダンジョンのモニターチェックに戻って!どっちも動きが激しくて、一人じゃチェックムリ~!」


悪い事をしてしまった。

スライム・ロードの爺さん達も、ジョーカーズ・ダンジョンの4人パーティーも、かなり個性が強い。


確かにゼロ一人で両方のモニターチェックは難しいだろう。申し訳なく思いながら、慌ててジョーカーズ・ダンジョンのチェックに戻る。


彼らはまだ第1層にいるようだが…周囲の景色は明らかに変わっている。


これは…毒の沼地…?


もはやマグマは無いが、代わりにボコボコとデカイ泡をたてる怪しい色の沼がそこかしこにある。立ち枯れた樹々も不気味なホラーなイメージ。


「おいゼロ、ひとつのフロアにマグマも毒もあるのか?」


「うん、今回はそうだね。このダンジョンの挑戦者達くらいになると経験も豊富だからさ、ひとつじゃつまんないでしょ?」


いや…そんな気遣いはいらないんじゃないかな…。


そしてモニターの向こうでは、相変わらずバトルマスターがワガママを言っている。



「毒の治療くらい、ロッカースが簡単に出来るだろう?ちょっと行ってくる」


うん、また毒の沼地の真ん中にちょこんと置いてある宝箱を巡っての会話だな。もはや仲間達もバトルマスターを止めない。


こりもせずに鎧を脱ぎ、沼地に大ジャンプ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ