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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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118/320

ボスへの最終関門②

そしてルリならテンション高い変幻自在のボスキャラが、容易に想像できる。……適役過ぎるんだが。


「ルリのボスキャラは面白そうで捨てがたいけど、もうトラップ&トレジャーのボスキャラは考えてあるんだよね」


ゼロが残念そうに言うと、皆の視線が自然に俺に集まった。


う………。

くそぉ。なんだよ、その目は。


「分かったよ、やりゃあいいんだろ!言っとくが、演技とかはしねーからな!!」


おーーーーっ!!と、歓声があがる。


「わ~い、楽しみ~!!」


「いえ~い!無段階変形~!!」


「さっさとやるって言えばいーのよ!」


皆の好き勝手な声援に、ウンザリした表情で応えていたら袖をツンツンと引っ張られた。


「ん?なんだ…?」


満面の笑みのゼロ。その手には、ノートが握られていた。


「女豹獣人とお爺ちゃん魔術師(樹人)のイメージ画!後ろ姿もあるよ!」


!!!??


驚愕のあまり、思わず口をパクパクさせちまったじゃねぇか!


なんだこのクオリティ!

いつ描いたんだ!


ヒュウ♪ …と、後ろから口笛。


「なんだよゼロ、上手いじゃねぇか!い~い具合のエロさだ!…だがもうちょっとだけ、メリハリが欲しいねぇ」


「えっ!もっと?下品じゃない?」


「いやいや、まだまだいける!」


ルリからゲンコツをくらっているゼロとカエンを見ながら、俺は密かに青ざめていた。


まさかとは思うが…これを、再現しろと…?


「ほら!あんたはさっさと練習!ボス戦に間に合わなくなるわよ!」


ルリにズイッとノートを突き付けられ、チビっ子達からはキラキラの期待に満ちた瞳で見られ…俺はしぶしぶ、変化の練習に入った。



ボス戦前の最後の特訓が、これとか…。

なんの嫌がらせだ…。



「おーー!すげ~!」


「絵の通りだぁ!ハク凄い!」


チビっ子達の素直な賛辞。…癒される。


「これしきで泣くんじゃないわよ!」


「泣いてねぇ!!」


ルリはなんでさっきから、こんなにスパルタなんだよ…!俺、ハッキリ言ってすげぇ頑張ってるぞ!?


「おお~、いいねぇ!いや、やっぱもうちょっと胸が…」


「お触り禁止!!」


…カエンにゲンコツ出来るのなんか、ルリぐらいだよ。初見で震えてたのが、今となっては懐かしい…。


ていうか、カエン。

あんた出勤の時間だろう…。


爺さんになったり、美女になったりを繰り返しながら、俺の最後の特訓は、昼メシまでみっちりと続けられた…。



昼メシ(もちろん出されたのはカツ丼だった…)を食ったら、今日もダンジョンの営業開始だ。


キーツの高らかなアナウンスで、開場が宣言される。


「皆さん、本日もギルド:クラウンの訓練施設へようこそ!本日は高レベルの冒険者の皆様に、ぜひチャレンジして頂きたい、ジョーカーズ・ダンジョンが新たにオープンします!」



おお~~~っ!!


という、怒号のような野太い歓声が上がる。高レベルの冒険者の皆様は、どうやら自分達のレベルに合うダンジョンを、心待ちにしていたようだ。


俺も武器を手元に置いて、ドキドキしながら本日の挑戦者達を見守る。


ぞくぞくと各ダンジョンに入ってくる挑戦者達。今日も大繁盛だ。


俺の、挑戦者は…?

なかなか出て来ないな。気を揉ませやがって…。



そうこうしているうちに、カフェからはどよめきが聞こえてきた。


「これは驚いた!本日スライム・ロードに挑戦するのは、熟練も熟練、なんと当ダンジョン挑戦者最高齢!平均年齢72歳のおじいちゃんズだぁっ!!」



……はぁ!?



キーツのアナウンスにギョッとする。


え…?

聞き間違いじゃないよな?


思わずジョーカーズ・ダンジョンのモニターそっちのけで、スライム・ロードに釘付けになる。


ホントだ…。


モニターには、4人の爺さん達が映し出されていた。


「え…なんで?大丈夫なのか?」


スライム・ロードを見守るゼロに、思いっきり心配の表情で確認してしまった。


うっかり心臓発作とか、嫌だぞ?


するとゼロは、困ったように眉を寄せ、小さくため息をついた。


「カエンから頼まれたんだよ…。断れなくて」


「なんでカエン……あっ!もしかして!」


「うん…今度、武闘大会に出るって張り切ってる、おじいちゃん達の一部らしいよ?ちょうどいいウォーミングアップになるからって…」


おいおい…どこまで元気なんだ。



モニターの向こうでは、筋肉隆々の爺さんが、どでかい大剣を振り回している。


格闘家風の爺さんは、軽いフットワークで、準備運動してるしな…。


ぶっちゃけ、見るからに、へっぽこ冒険初心者よりは、確実に強そうではあるが…。


……なんかもう、どこからツッコめばいいんだ…。


「ゼロ、とりあえず爺さん達のステータス、見せてくれるか?」


戦士:男:レベル152

盗賊:男:レベル148

格闘家:男:レベル147

魔術師:男:レベル158



……え……?


………ええぇっっ!!?

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