表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/320

武闘大会も準備中。④

すると、意外にもカルアさんは、憂いに満ちた表情で俯いてしまった。


「…やっぱりそうよね。ただ、あとに引けなくて」


驚いた。

カルアさん、武闘大会にめっちゃ燃えてるって話だったのに…。この様子じゃ、明らかに後悔してるっぽいじゃないか。


「最初はアライン様の指示だったのよ。出場者が集まらないかも知れないから、騎士達は強制参加、って。私も、鍛えればいいセンいくと思ったし」


カルアさんは、さらに大きくため息をついた。


「少し話が流れただけで、各ギルドは腕まくりで最強の冒険者達を推挙するわ、カエン様経由で伝説の勇者達は出てくるわ…正直相手にならないと思うけど、せめて情けない戦いはしたくないのよ~…」


カルアさんの苦悩が偲ばれる。

予想より遥かに強敵揃いだもんな。


しかも、王室主催で開催するというのに、王国騎士団がボロ負けしたら、シャレにならないだろう。俺はとりあえず、消極案を提示してみる。


「マジで今回、出場しない方がいいんじゃないか?アライン王子も、もう強制参加にはこだわってないみたいだし」


「でも…」


「ハッキリ言って、ちょっと鍛えたくらいで、勇者レベルといい勝負とか無理だから。騎士がボロ負けしたら、恥をかくのは王様達だからな?」


「ハク、言い過ぎ…!」


ゼロに止められたけど、俺は事実しか言ってない。


カルアさんは、俺をキッと睨む。

…そしてその後、悲しそうに項垂れた。


「…分かってるわよ。そんな事…」


「じゃあ、今回は諦めろ」


「ハク!」


カルアさんは唇を噛んで、黙りこくってしまった。…なんか、俺がイジメてるみたいじゃねーか…。言っとくが、カルアさんと王様達のために言ってるんだからな?


「…でも、僕もハクと同意見です。今回は出場者達の力量を見て、次回に向けてしっかり訓練した方がいいと思います」


ゼロの言葉に、カルアさんはいよいよ辛そうな表情だ。眉間に深い皺がより、目が充血している。



ダンッ!!



突然、カルアさんが机に拳を叩きつけた。


「悔しい!!……悔しい…っ!!」


ブルブルと肩を震わせるカルアさん。

うちのヘタレマスターは、ビビって二、三歩後ろに下がり、距離をとっている。


ちょっとした静寂の後、カルアさんはなぜかキッ!と俺を見た。


「今回は出場しない!」


「あ、ああ…。その方がいいと思う」


「次に向けて、死ぬ程特訓してちょうだい!」


いいけど…俺に言わないで欲しい。


1ヶ月という無茶な期限は無くなったものの、騎士達を鍛えるという依頼は変わらない。俺とゼロは、カルアさんの希望を出来るだけ細かく聞きとってから、穏便にお帰りいただいた。


心なしかスッキリした様子のカルアさんを見送ると、何故か急にぐったりとした疲れを感じる。


「どうぞ。疲れた時には甘いものですよ!」


シルキーちゃん達が労ってくれる。


俺には大好物のアップルパイ、そしてゼロにはまだ見た事がないデザートが運ばれる。


「あの、新作なんです」


淡いピンク…桜色の髪の桜ちゃんが、緊張した面持ちで説明してくれた。


「フルーツいっぱい!カスタードタルトです!いちご、キウイ、オレンジ、ピーチ、グレープ、5種類のフルーツとカスタードクリームが絶妙なハーモニーを奏でる、自信作なんです!」


緊張してた割に、長セリフを淀みなく言い切ったな。偉い。


美味そうだけど、一人で食うにはちょっとでかい。直径15cmくらいあるんじゃないか?


「ゼロ、俺にも一口」


「多分食べきれないから、潔く半分あげるよ」


あ、やっぱりデカいよな。


「うん、確かにフルーツの酸味とカスタードの甘さが絶妙だね!」


「ああ、美味いな。ただ量が多すぎるから、カットして出した方がいいんじゃないか?」


うん、マジで美味い。

ブラックの珈琲とも相性が良く、俺達はあっと言う間に平らげてしまった。


桜ちゃんはその様子を嬉しそうに見届け、食べ終わった皿を纏めると、スキップしながら厨房に戻っていった。


明日から、これもメニューに加わるんだろう。


美味しいオヤツでちょっと元気を取り戻し、向かう先はモニタールームだ。


カルアさんの登場で中断した、スターセイバーの特訓を再開したいからな!




マスタールームに戻った俺は、早速魔道書を開き、さっき理解したばかりのスターセイバーの呪文を繰り返し繰り返し呟く。


まずは淀みなく言えるようにならないと話にならないからな…。


30分も呟いていたら、ある程度スラスラと言えるようになってきた。これなら、魔力をのせて詠唱しても、いけるかも知れない。



体を巡る魔力を両手に集め、集中しながら呪文を詠唱する。


……ダメだ。

途中でつっかえて、不発に終わる。


何度か詠唱しては失敗し、さすがにちょっと疲れてきた。朝からずっと練習しているからか、魔力も少なくなってきたし…。


「一息入れる?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ