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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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武闘大会も準備中。①

慌ててカフェに移動すると、アライン王子とユリウス、そしてエリカ姫の三人が、優雅にティータイム中だった。


「すみません!お待たせしました!」


焦るゼロに、アライン王子はにこやかに笑いかけ、エリカ姫ははにかんだように微笑んでいる。まぁ…エリカ姫については出会った時のおてんばな印象は拭えないんだが。


「スライム達、とっても!すっごく!可愛いかったですわ!」


胸の前で指を組み、目をキラキラさせるエリカ姫。うちのスライム達を力いっぱい褒めてくれた。


「エリカも戦ってみたいんでしょ~」


アライン王子がからかうから、エリカ姫はぷーっと頬を膨らませる。せっかくお姫様らしくしてたのが台無しだ。


「ま、冗談は置いといて。武闘大会の事で相談があるからさ、ちょっと時間もらえる?」


ま、そうだろうとは思ってたけどな。


早速、応接室に場所を移す。

もはやお互い定位置になった席につくなり、アライン王子は口を開いた。


「早速なんだけど。明日、騎士団長連れて来てもいい?」


騎士団長……?

ああ、あの美人騎士団長か!


「カルアさん?……べつにいいですけど、…何かご用ですか?」


ゼロが警戒したように尋ねると、アライン王子はさも心外だ、という顔をした。


「何かご用…じゃないよ!おととい、騎士達の訓練を依頼したばっかりだろう?」


ジロリ、と睨まれる。

そりゃそうだけど…。


「武闘大会まで1ヶ月弱しかないんだから、さっさと騎士団長と打ち合わせて、さっさと騎士達を鍛え上げてくれなくちゃ!」


…ヤバい。ノープランだ。

チラリとゼロを見てみたが、ゼロも途方にくれた顔してるし…。


「えっと…すみません…。騎士様を鍛えられるような、凄腕の講師に心当たりがまだ無くて…あの…あの…王様とか、カエンとかのツテとかの方が、いいんじゃないかと…」


ゼロ、ぶっちゃけたな。


正直、お高いダンジョンポイントをお支払いすれば、バトルマスターとか、かなりの高位スキルを大量に保持してる熟練者を召喚出来るのかも知れないけど…。


ハッキリ言って、騎士達の訓練のためだけに、そこまでするのも何か違うと思うし。そんなのにポイントつぎ込むくらいなら、安全性の確保に使った方が何倍かいい。


しかも下手なヤツ召喚しちゃった日には武闘大会以後、一体どう活躍してもらえばいいのか分からない。尋常じゃなく強いヤツなんかスラっちだけで充分だ。


「父上もカエンもダメだったの!スッゴイ強い知り合いはみ~んな冒険者な上に、面白がって武闘大会に出るって言ってるらしいんだよ~」


…こう言っちゃなんだが、カエンが「強い」と認めるような冒険者に、騎士達が勝てるイメージがわかない。


「もうさ、騎士や兵士の出場、諦めるって選択肢は…」


「ムリ。騎士団長が燃えてる」


あちゃー…。

俺はゼロと顔を見合わせて、二人同時に肩を落とした。


「うう……なんか、考えときます…」


力なくゼロが返事をすると、アライン王子は颯爽と立ち上がり、「じゃっ!頼んだから!」と逃げるように帰っていった。


「あっ!お兄様!…ごめんなさい、本当に」


「失礼します」


慌ててエリカ姫とユリウスも後を追う。

慌ただしく帰っていった三人を見送りながら、俺達はまた、二人同時にため息をついた。


押し付けられたよ…。

完全に。



マスタールームに暗い顔で帰った俺達を見て、グレイが労わるように暖かいココアをいれてくれる。


「どうされましたかな?」


「ん~…1ヶ月後に武闘大会があるんだけどさ、それまでに騎士を鍛えて欲しいって」


「なるほど、騎士も出場するわけですな。出るからには負けられないでしょうからな」


グレイは、それは厄介ですなぁ、と苦笑している。


「しかも、カエンの知り合いの熟練冒険者達も出場するらしくって、強敵揃いかも知れないんだよね」


ため息まじりに言って、ゼロは机に突っ伏した。唸りながら、考えているらしい。


「なぁ、グレイ~。劇的に強くしたり出来ねぇかな。それこそ血反吐はいてもいいから」


自分でも無茶を言っている自覚はあるが、念のために聞いてみる。


「1ヶ月はさすがにムリですなぁ。それに私のスキル自体、基礎はあっても熟練冒険者に勝てる程の教育ができるレベルではないですし」


だよなぁ。

う~ん、明日を思うと憂鬱だ。


するとゼロが、思い切ったように勢い良く立ち上がる。


「だよね!うだうだ考えてもしょうがない!僕明日、カルアさんに正直に言うよ!ムリだって」


おお!男らしい!……のか?


とりあえず気持ちを切り替えたらしいゼロは、今度は俺の方を向いてにっこり笑った。


「もっと大事な特訓もあるしね!」


……スターセイバーだよな、明らかに。


その後晩メシまではゼロにみっちりとしごかれた。それでも覚えられない。


ゼロは「もうちょっとな感じがする!」って、アバウトに褒めてくれるけど、単に慰めなんじゃねぇかな…と疑いたくなる程、手応えを感じない。


自分の覚えの悪さにがっかりだ。

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