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ゼロのダンジョン、進化中!  作者: 真弓りの
ダンジョン改良

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第三クールはスライム祭り!⑧

ウィップスライムがやられたと見るや、ワープスライムはそそくさとワープで撤退し、ようやく戦闘は終焉を迎えた。



はあ~~…という、大きな溜息と共に、弟戦士はぐったりと座り込む。ゴージャススライムとウィップスライムに翻弄されたあげくの、際どい一撃に、身も心も疲弊したんだろう。


そして、魔族魔術師も近くの倒木に腰掛け、とっても悲しそうだ。どうやら魔法が封じられただけじゃなく、喋る事もできないらしい。


真逆なのが女戦士。踊り出しそうなくらい、喜びを全身で表している。目はキラキラ、頬も上気して、鼻歌を唄いつつ、目の前に掲げた小さな欠片を見つめている。


ゴージャススライムが倒された時に、お金と経験値はもちろん、ドロップアイテムとして、エメラルドの欠片を落としたから…あれは、エメラルドの欠片だろうな。


女戦士にガツンと体当たりした時に、欠けたんだろう、きっと。


盗賊くんは相変わらず静かだ。この戦いで一番活躍したのに、飄々としている。スタスタと魔族魔術師に近付いて、心配そうに話しかけた。


「…グリード、まだ魔法ムリ?」


魔族魔術師は、うなだれたまま、両腕で×を作る。戦士姉弟もハッとしたように注目した。


「そっか…魔封の回復薬もねぇし、そもそも回復系の薬もあんまり持って来てねぇもんな」


魔族魔術師の有り余る魔力を思えば、備えが手薄なのも頷けるけど…すでに結構ダメージ受けてるし、ヤバいかも知れない。


戦いが終わってちょっと話し込んでいる挑戦者達を見ていたら、キーツからアナウンスが入った。


「プリンセス・ロードの挑戦者達が、中間ゲートを通過しました!」


カフェから盛大な拍手が巻き起こる。


そうか、順調に進んでるんだな、と少し安心してモニターを見てみると、ナギ達は早速新たなモンスター達に遭遇していた。


「よろしくお願いします!」


「負けねぇからな!!」


相変わらず、ローラはいちいちモンスターに挨拶し、トマスは負けず嫌い全開で挑発している。


対するモンスターはプチドラゴン2体とピクシー3体。飛ぶ系の戦いにくい相手だが…。


「悪ぃな」


そう呟いたかと思うと、ナギがナイフに手をかけた。 太腿のあたりに投げナイフが左右4本ずつ。それをさっと取り出し、瞬時に投げる。


あっと言う間にプチドラゴン1体を仕留め、ナギが珍しくほがらかに笑うと、カフェからは「可愛い~!」「ナギく~ん!」と、黄色い声援があがった。


…すっかりお姉さん方のハートを掴んでいるらしい。


さらに、ローラの風魔法とマークの弓が、次々とピクシーを倒していく。


このちびっこパーティーは、意外とバランスいいし、飛んでいるモンスターへの攻撃手段もしっかりと備えている。


不安があるとしたら、力が弱いから、防御力が高いモンスターだと手こずりそう、ってくらいだろうか。


今はトマスがプチドラゴンと戦っているが、可愛い炎を吐かれて避け切れず、ちょっと髪が焦げているのも微笑ましい。


やっぱり初心者用のプリンセス・ロードは平和だな。炎も地獄の業火じゃないもんな。


マークがプチドラゴンの翼を射抜き、落下してくるところをトマスがズバッと斬りつけて、この戦いはあっさりと幕を閉じた。


驚きの安定感。

ダンジョンにも慣れてきたのか、もうビクビクした素振りもない。


チビ達、見直したぜ…!



ついでにプリンス・ロードを見てみると、こちらも戦闘の真最中だった。


ギガントフラワーとロングイヤー、さらにリザードマン2体。たった2人で相手をするには、かなり厳しいラインナップだ。


すでに二人ともボロボロだが、それでも戦意は失っていない。二人してリザードマンに集中して攻撃しているようだ。


「サンダーボルト!!」


魔術師のお姉さんが、高らかにコールする。雷がリザードマンに直撃し、運良く一体はマヒしたようだ。


もちろんそのチャンスは逃さない。

猫少年は華麗なハイキックでトドメを刺した。


着地を狙って、もう一体のリザードマンが襲いかかる。避け切れず、猫少年は肩から腹にかけて、ザックリと深い傷を負ってしまった。


猫少年は顔を歪めながらも、果敢にリザードマンに反撃する。どちらも肉体だけが武器だ。血塗れになりながら、激しい打撃の応酬が繰り広げられる。


突然、猫少年の体がキラキラと光り出す。

どうやら、魔術師のお姉さんが、回復をかけてくれたようだ。


全快した猫少年は、小柄な体で素早くリザードマンを抱え上げ、ブレーンバスターを決めた。頭部を強打し、リザードマンは起き上がれないでいる。


「ありがとー!!」


そう言って魔術師のお姉さんを振り返った猫少年。次の瞬間、笑顔が凍りついた。

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