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私の愛した旦那様は百姓上がりの陸軍士官様でございます  作者: 蔵前
悪徳の実を齧ろと囁くのは蛇なのか、己の心そのものなのか
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かどわかし

 ヨキは昼飯の後は昼寝をしろと、私と藤吾を寝所に追い立てた。

 藤吾は良いが、私は藤吾が寝ている間にするべきことがある。


「今日でなくとも明日で間に合うなら明日すればよいのです。奥様、今夜を明日に持ち込みたくていらっしゃいますか?」


「……いらっしゃいません。」


「ではお休みなさいませ。」


 そして寝た。

 温かな藤吾の身体を抱きしめる事で、私は簡単すぎる程に眠り落ちだ。

 気が付けば、いや、黒五の鳴き声で私と藤吾はびくりとして起きた。


 黒五は起きない私達に足を上げたところで、私達はきゃあと叫びながらろくでもない犬に紐をつけて家を飛び出た。


 いや、慌てて飛び出たのは私一人だ。

 右腕に藤吾を俵のようにして抱え、左手に黒五の綱を持って飛び出したのだ。

 藤吾は腕の中できゃっきゃと嬉しそうに笑い、流石に衛の息子だけあり、すぐに私が大変だからと腕から降り、そして、黒五の綱を持った。


 その次は?

 その次はどうなった?


 私達、いいえ!私だけが後ろから抱き締められ、そしてそして、ああ、馬車に投げ込まれたのである。


 どうして!


「士族でもねえのがデカい顔しやがって。」


「なんであいつが市ヶ谷なんぞ?」


 馬車の中には四人の男達。

 私ぐらいの年齢に見えるのが一人ともう少し年上の者が三人だ。

 その人達が一斉に私を見返して、背筋がぞわりとする笑顔に顔を歪めた。


「水吞百姓にもったいねえ美人じゃねえか。」


「百姓男に股を平気で開く女だ。少々手荒にしても大丈夫だろ?」


 私は両腕で自分を守るようにして抱いた。

 どうして、どうしてこんな目に!

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