幕間 その後
人攫い事件の後、結局事後処理のため町に一泊する事になった。責任者が起こした事件のため代行で事後処理出来る人が必要だったのだ。
まず、この町を誰が統治するかだが、それはロズウェルが実家を通して王国に今回の件を知らせ民思いの人を就かせるように申請してくれるらしい。賢王だと言われている現メルリア王国国王ならば良い人選をしてくれるだろう。
領主と言えばムスタフだ。彼は結局死ぬまで奴隷としてこき使われるらしい。他のこの件に関係している人間も奴隷に降格するらしい。まあ、当たり前と言えば当たり前だ。
ムスタフが住民を奴隷として売ったのはもっと金を得て贅沢がしたかったかららしい。私には全くもって理解できない。貴族なら今の暮らしで充分だろうに。
あっ、そうそう!奴隷として売られていった人達もこの町に連れ戻す為に各所が動いてるらしい。無実の罪で奴隷にされてしまったのだから早く解放してあげて欲しい所だ。
捕らわれていた人たちだが大した怪我はなく病気にもかかってないとのことだ。捕らわれている間稼げなかった生活費や謝礼金も国から出してくれるのでこれで一安心…とは、残念ながらいかなかった。
実は実行犯の何割かはこの町の住民だったのだ。そのため町の人々は少しばかり疑心暗鬼になってしまっている。まあ、これは時間が解決してくれることを祈るしかないだろう。
それと、地下に放置されていた死体は後日、兵士やら遺族やらが責任を持って丁重に弔ってくれるみたいだ。安らかに眠りに着くことを心から願おう。
それと、事件の次の日にメイドが決まった。ロズウェルが最初に助けた三人娘だ。彼女等はこの件で町に居づらいだろうとアリアは思い家で雇うことにしたのだ。これにはロズウェルも賛成で、三人娘も是非に頭を下げてきたのでこれで良かったのだろう。
そうだ!一番大切なことを忘れていた!事件の後なんと、ソロージがハイロの母親のサリに結婚を申し込んだのだ!実は、サリの今は亡き旦那さんはソロージの家の近所に住んでいてソロージにとっては兄貴分だったらしい。ソロージがサリと知り合ったのはその旦那がよくソロージをご飯に誘ったかららしい。ソロージはサリが未亡人になって以来凄くサリを気にかけていていつしか好きになってしまった、とのことだ。今回の事で腹が決まったらしい。
サリの返事は「よろしくお願いします」と言うことでめでたく結婚をする事になった。サリは「ソロージくんなら旦那も許してくれるわ」と言っていた。だが、ここで問題が発生した。ハイロの家だと五人も住めないのだ。四人でも狭いのに五人では無理とのこと。そこで、アリアはユニもメイドの誘ってみた。充分に仕送り出来るくらいのお給金は払うつもりだと言うと、こちらも「是非に」と快く承諾してくれた。ユニの目はキラキラと輝いていたので理由を訊ねてみると、女神の元で働けるのはとても名誉のあることらしい。
まあ、そんなこんなで、無事我が家で働くメイドは決まり、町の事件も解決できた。町の雰囲気は時間に任せるとしても女神の初仕事としてはうまくいったんじゃないかと思う。下手すれば死人が出てもおかしくは無い案件だったのだ。死人無しなら万々歳と言っても過言では無いだろう。
私にとっては初の案件が大きな事件と言うのは自分の体質故なのかそれとも偶然なのかは分からない。体が半分体質を持って行ってくれたにしろ初っ端からこれだ。今後も多かれ少なかれこういうことは否応無く寄ってくるだろう。それも、今回より大きな案件がだ。
今回は優秀なお兄ちゃんに助けられた部分が大きい。自分に不甲斐なさを感じるも気負わずやっていきたいと思ってる。私には今は出来ないことの方が多いだろう。だから、出来ないことは頼れるお兄ちゃんに目一杯頼ろうと思う。それでも、いつかは頼られるようになってみたい。いや、ならなくてはいけない。この先の災厄に備えて明日から頑張ろう!
だから、今日はこんな感じで締めくくるとしよう。これからも忙しい日々が続くだろうからね!
アリア・シークレット




