表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒き甲冑をまとった花嫁  作者: 鶯埜 餡
騎士団長と昇進試験

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/47

その5

 新人騎士は、騎士団に配属後半年間の間研修期間がある。

そこでは、通常の訓練や戦術・一般教養に関する座学だけでなく、実際に王宮において各政務官の執務室に配属され、貴人の護衛や王都のはずれの訓練施設に入って行う実地訓練のような少しほかの国の騎士団からしてみればハイレベルな訓練やら、一歩間違えば趣味に近くなりそうな王都に存在する建築群の見学などの教養講座、果てはある程度の貴族や商人の嗜みとして夜会でのマナー講座というものが任意講座として開かれていた。


 リサは毎日夕方近くまでそれらのほとんどの講座をとった上で、さらにコンスタンティンによる特訓を受けていた。

「リサ坊、やっぱお前は強ぇな」

 今日も、彼女は通常訓練後に『さあ、知っておこう。王国内における宗教と政治の関係~イラストで分かりやすい解説付き』という政教関係の講座をとった上で、コンスタンティンの特訓に挑んでいたのだが、剛腕の持ち主であるコンスタンティンに、剣術でほとんど劣らないのだ。

当初、コンスタンティンはリサを侮っていたのだが、最初に手合わせた時から認識を改めざるを得なかった。今日もまた、最後の方は押されがちであったものの、何とか脚力を加えることにより、リサの力を弾き飛ばすことが出来た。

「ありがとうございます」

 無表情でリサは返した。そう言う彼女は、わずかに息を切らしてはいたものの、全く表情を変えていなかった。

「なあ、リサ坊」

 コンスタンティンは、リサの結ばれた髪を少し摘まみ上げた。摘まみ上げられたリサはムッとしながらも、抵抗はしなかった。

「何でしょう」

 端から見ると、まるで喧嘩を売っている破落戸と子猫にしか見えない状態だが、王宮内だし、まあ、いいかと師匠にお茶を差し出した。

「ありがとよ。でだ、お前、なんでこの王立騎士団に入ろう、と思ったわけよ」

 コンスタンティンはじろりとリサを見た。彼女はコンスタンティンの視線など気にせず、

「幼い時から、体を動かすことが好きだったので、野山を駆け回るような生活をしていましたし、少したってからは自分の食い扶持くらいは自分で稼がないといけない実家の事情があったので、州都で警護官をしていました。警護官をしていた時に、公爵様に誘われたので力試しに、と」

 リサが答えていると、コンスタンティンの顔が強張っていくのが見えたが、リサは相変わらず無頓着だった。聞き終えたコンスタンティンは、

「いや、お前な。それどう考えたって、お前の場合は力試しとは言わないんだよ」

「え?」

 言われた意味がリサには分からなかった。そんな天然のリサの様子を見て、コンスタンティンはかなり歯痒かったが、丁寧に説明することにした。

「お前な、お前の実力じゃ、力試しのレベルを超えているっつうの」

 その言葉に、リサはポカンとした表情を見せていた。

(いやいやいや、どっかのお嬢さんだとは思うが、ここまで理解できていない人間はそうそういないぞ)

 コンスタンティンはリサのその表情に少し釘付けだったが、思い直した。

「お前は、小さい時から体動かしていたおかげで、かなり鍛えられているんだぞ。しかも警護官勤務って、どこの州か知らんが、かなり激務だって聞くぞ。そんな職業に就いて、しかも持ちこたえられているんだから、相当鍛えられているんだなぁ。そんなにお前みたく強くなれるんだったら、俺も一度でいいから警護官勤務してみたいわ」

 彼は少し魂魄が抜けたようになっていた。一方、リサはそんなに凄いことなのか、と分かったのかわかっていないのか分からない表情でそうなんですか、と言い、その言葉と表情を見たコンスタンティンは、再び魂魄を抜かれかけていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
fc2ブログ『餡』(番外編などを載せています)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ