表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒き甲冑をまとった花嫁  作者: 鶯埜 餡
リサ、出遭う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/47

その8

 彼女が彼らについて思案している最中に、本人たちがやってきた。普段は彼女が客人を招くために扉を開けることはしないのだが、今は少々緊急事態だ。彼女は扉を開け、外にいた人物を見た時、声を上げそうになった。このタイミング(・・・・・)で、と考えると、彼らが尋ねてきたのは、偶然とは考えにくかった。

「誰かと思えば、ルミナールとバジリオじゃないか」

 なんと訪ねてきたのは同期の2人だった。

「久しぶりです」

 バジリオはにっこりと丁寧にった。ルミナールともども後ろの武官に見えないことをいいことにかなり悪い笑みを浮かべている。ただ、人形のように立つくしている武官に向かって、

「ご苦労であった。彼らは私の同期入団だから、よく知っている仲だ。なので、貴官の護衛については不要だ」

 といい、部屋を出て3人きりで話をさせろ、と暗に言った。武官はかなり驚いた様子だったが、再び「は」と敬礼し、部屋を出て行った。彼が出て行って、部屋の付近にいないことを確認してから、さらに念のため部屋の内鍵をかけた。もし彼らからイロイロな意味で襲われたとしても、彼女自身は対抗できる手段を持っているし、おそらく2人に必ず(・・)勝つであろうことを3人ともが理解していたので、誰も何もいわなかった。


「久しぶりだ。2人はこの前の臨時昇進試験に合格したんだ」

 リサはまず、リサが第3大隊に配属されてから、彼ら(同期)に関わる話は聞こえてこなかったが、この前臨時の昇進試験に推薦枠組みの残り2人が受けていたことは小耳にはさんだことがあった。しかし、大した人事権を持たない副隊長(リサ)はその後の配属決め(ドラフト会議)は関与しておらず、隊長から『うちの隊に○○の配属が決まったぞ』という言葉さえなければ、他の隊の事なんぞ知ることはほとんどない。そのため、彼らの受験は知っていても、合格したことは知らなかったのだ。

「うん。僕はコンスタンティン先輩に特訓してもらって。剣術の成績が良くなかったから、落ちたかな、って思ったけれど、どうやらほかの科目が良かったみたいで、上から二番目だったよ」

「俺はバジリオと逆だ。剣術はよかったんだが、他の物がだめだったんだよな」

 確かにルミナールは、剣術についてはリサと同等、もしくはそれ以上に強かったが、他の科目(特に政治学と槍術)がだめだったらしく、新人研修の時も結構涙目になっていたのを覚えている。

「全くだよ。リサさんがすでに副隊長についているから、リサさんの近くにいよう、って互いに言って受験したのに、僕たち一瞬焦っちゃったよ」

 バジリオはおどけて肩をすくめた。

「でも、2人とも、なんでそんなことを考えていた訳?」

 2人は彼女と同郷だ。しかし、彼女とは幼馴染、という訳ではないし、わざわざ近くにいてもらう必要も感じない。

「うーん。だってその方がリサさんは僕らを使えるでしょ」

「使える?」

「そうだな。リサが実家でやっていること(・・・・・・・)は俺らには分からん。だが、少なくとも、多少中央貴族に伝手はある。だから、頼ってほしいんだ」

 バジリオとルミナールがそれぞれぼかしながら言った。確かに『黒羽』のトップである彼女は、本当に辺境の地の領主の娘であり、幼い時からこのからこの年齢になるまで、中央(王都)に来たことがなかった。なので、小さいころから王都に来ているという2人にまかしておけば、中央での人集めは容易いだろう。しかし、

「2人ともありがとう。私としても、確かに人材は欲しいと思う。けれど、2人が不利益を被ることはできない」

 とリサは断った。『黒羽』の存在理由は確かに、2人が言わんとすることにあったものの、それに中央貴族はいらない。リサはそう考えた。2人はリサの答えが想定内だったのか、あまり驚くそぶりは見せなかった。

「そうか」

「うん。もし、何かあったら相談させてもらうから」

「分かったよ」

 リサの答えに2人は納得していた。


 最後に。

「そういえば、一週間後に開かれる社交会が終わったら、私は騎士団をやめる」

 リサは帰ろうとした2人を引き留めて行った。さすがの2人も、驚いていたのか、かなり目を見開いていた。

「戻るのか」

「ええ」

「そして、とうとう」

「ええ」

 2人にはなぜ彼女がこのタイミングで騎士団をやめるのかには心当たりがあったので、引き留めようとする言葉はなかった。仮に彼女と同じ立場なら、彼ら自身も同じ行動をとっていたため、引き留めるつもりなど毛頭なかった。

「分かった。至急実家へ連絡して、シシカーヌは撤退して(・・・・)もらおう(・・・・)

 バジリオは彼女の耳元で言ったが、ルミナールも同じことを考えていたのか、頷いている。

「ありがとう、2人とも」

「ああ、構わない」

 同期にはルミナールとバジリオがいる、というだけで、安心できた。


(私は2人にしてもらってばかり)

 リサはその晩、自分が2人にできることはないか、と思い少し考えていたが、あることに気づいた。

それ(・・)なら、彼らはこの騎士団にとどまってくれるはず――――」

久しぶりに同期君2人登場回でした。


ちなみに、前回書きそびれていたのですが、

国王→中立派

王太子→貴族派(近衛派)

となっています。今回はかなり明らかに国王一家がポンコツです。(ざまぁはありません(たぶん))

※王室の構造図の訂正あり。(王太子弟の削除)(8月30日)




次回は舞踏会編です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
fc2ブログ『餡』(番外編などを載せています)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ