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プロローグ
ある晴れの日―――
「俺は外で働く女を好きにはなれん。もしお前がこの婚約話を進めたいならば、騎士団をさっさと辞めろ。それが出来なければ、こちらから婚約破棄させてもらう」
青年は目の前の少女に言った。少女は少しむくれたような雰囲気を出したが、さらに彼の続きの言葉に驚いた。
「普通の結婚を捨てて、騎士団に勤めている奴とは、こっちから結婚願い下げだ。」
言われたのはいつもとは逆のパターンだった。少女は少し叫びたい衝動を抑えて、
「申し訳ありませんが、それはこちらも同じです。私はヴィルヘルム様との婚約話はなかったことに差せていただきたい、と思います」
今度は青年の方が驚く番だった。
「今は事情を説明できません。しかし、私の方からも、この婚約は破棄させていただきたいと思います。今すぐはできませんが、半年後にはこちら――アシュレイ家の過失で婚約破棄をさせていただきたいのです」
と言い返したたかだか副隊長の一人である彼女の茶色い瞳からは何も読み取ることができなかった、青年――ヴィルヘルム・リュヴィーク騎士団長だった。





