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陰陽師の異世界騒動記〜努力と魔術で成り上がる〜  作者: 月輪熊1200
一章 遥か高き果ての森
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二十一話 乗り物

更新が途切れてしまい、申し訳ありません。

新しい小説をはじめ、そちらを進めておりました。

楽しんでいただければ幸いです。

 

  以前、最初にエクセイザーを奇襲して首を切り落とすことで倒し、剣となった彼女の望みに従い俺がこの西部を守ると誓った時。


  その時にも聞いた話だが、この『遥か高き果ての森』は中央にそびえるエナジーコアと大精霊がいる山から伸びる四つの大河によって綺麗に四分割されている。


  そして俺はその一つ…西方に位置する部分であるこの西部に異世界ヒュリスに転移してからこれまでの半年間住んでいるわけだが……当然この世界にも方角というものがあり、それは地球と変わらない。


  つまり、この西部地域の左隣には、北部地域が存在している。そこを収め、統率しているのがエクセイザーの言う、龍神の夫婦ならしい。


  そしてその龍神の夫婦はエクセイザーが亜神へと至った頃からの深い仲で、何百年も交流があるらしい。それこそ、この百年に一度の周期で訪れる大異変の時は少し頼めば援軍を送ってもらえる程度には。


  過去数度あった大異変だが、大異変の際の東部の本隊のほうは先のユキさんの西部区画に現れた全てがダークゴブリンで構成された魔法部隊などただの使い捨てのゴミと言えるほどの数、力を誇るらしい。


  そんな本隊が攻め入ってきた時、西部だけでは太刀打ちは不可能なようで。そのため、その夫婦が直接率いている北部最強の援軍が東部部隊の撃退を手伝ってくれる。


  それもこれも、何百年もの途方も無い年月の間、西部を平穏かつ強く保ってきたエクセイザーの努力あってこそ。その姿が信頼を呼び、快く戦争に参加してくれるみたいだ。


  そして今、大異変は起こった。今こそ彼らの力を借りる時だ、と言うわけだ。加えて今回はエクセイザーに変わり俺が西部の守護者となったので、それも伝えるために共に北部に向かう、というわけである。


  ちなみに基本各部を収めている魔物は亜神かそれに相当する強さを持っているものであり、その夫婦もどちらとも亜神である。


  俺もこの世界の常識に当てはめればかなり常識外な強さの次元にいるはずなのだが……ここまで地上の魔物の進化の限界を超えたバケモノ揃いだとちょっと自信なくすな。まだまだ精進しなくては。


 とまあ、それはともかく。


「ーーというわけじゃ。念のため再度説明したが、良いかの?」

「ああ、バッチリだ」


  わざわざ説明し直してくれたエクセイザーに俺はニッと笑い、グッと親指を立ててそう言った。するとエクセイザーも満足げに笑い、うむと頷く。


  その後一通りのことを話し合い、この雨のこともあって北部地域への出立は雨が弱まってからになった。ナビゲートはもちろん、シリルラである。


《お任せを。正確にお二人を北部まで案内いたしますね》


 おう、頼りにしてるぜ。


  その間、これからもやってくるであろう東部の部隊を撃退しながら旅の準備をすることになる。


  というのもこの遥か高き果ての森、面積は地球でいう沖縄県の本島と同じくらいの広さがあり、もちろんそれに比例して直径もかなり長い。この世界の単位はml(メル)に始まってkl(キル)などであり、二メルは大体一メートルだ。


  そしてこの遥か高き果ての森の面積は2410平方メル……沖縄本島の面積が1207㎡なので、大体同じくらいというわけである。


  そのため、車やバイクなんて便利なものはないので北部への移動は徒歩しかない。ステータスという存在があるにしても、それでも北部への道のりは一日では移動しきれない距離だ。なので数日分の食料や着替えなどを用意しなくてはならないわけである。


  とはいえ食料や着替え、武具など、そういったかさばるものを持つ際の心配はない。なにせ地球と違い、アイテムポーチなんてとっても便利なものがあるのだから。こういうところは異世界の魔法万歳である。


  そういうわけで荷物の心配は無くなったので、あとは移動手段だが……正直いって、何日も徒歩で歩いて北部まで移動するのなんかごめんである。


  それは体力の消耗、ストレスなどの問題もあるし、それにそうやって北部に向かっている間に西部に何かあったら……そう思うと無駄な時間はできる限りは無くしたかった。


  そこで、だ。俺に一つ、いい案がある。そういうわけで目的のものを作るために立ち上がり、持っていたゴブリンの鎧をそこらに放ると作業場兼倉庫のいたるところに積み上がっている魔物の素材や鉱石の山を漁り始めた。


「えーと、確かこっちに……」

「む、何を探しておるのじゃ?」

「ちょっとな。あ、そこの山の中にある鉱石を取ってくれ」

「承知した」


  エクセイザーにも手伝ってもらい、お目当てのものをどんどん集めていく。しっかりと種類別に整理していたので全部見つけるまでにそう時間はかからなかった。


  それから数分後。作業机に向かっている俺の前にはいくつかのものが並べられていた。それらはすべて、今から俺が作るものに必要な素材である。エクセイザーは俺の肩に手を置き、後ろからそれを興味深そうに眺めていた。


  まず、ほのかに発光している紺色の〝浮遊石〟という魔力を込めると空中に浮き上がる鉱石……おいこら、そこ飛◯石とか言うな…と、〝操石〟という記憶された人間の魔力を感知して接触している物体を操る金色に近い色の鉱石を手に取る。こちらは初心者用の鞭などに使われているらしい。


  その結構多めに集めた二つの鉱石を一つのところにまとめ、両手をかざして霊力を集中させていく。すると灰色の光が手のひらから放たれ、魔法陣が出現した。


  これは、いわゆる錬金術の魔法陣である。例の式神の鉄札を作った時にも使ったもので、これは幼少期から土を使って霊力で動く土人形を作っていたので割とすぐに会得できた技術だ。


  それを使い、二つの鉱石を融合させていく。みるみるうちに浮遊石と操石がどろりと解けるように変形し、一つになった。さらにそれを、頭の中にイメージを思い浮かべながら整形していく。


  やがて、大体完成したところで魔法陣に流し込む魔力を一旦止めた。すると魔力という供給源を失った魔法陣はふっと消える。後に残ったのは、机の上の〝それ〟だけだった。


  それは、やや細長い15センチほどの丸いくぼみのある菱形のパーツの一端から直径約一メートルの少し太い棒のようなもの、その両側から湾曲したパーツが飛び出た代物だった。うむ、我ながらいい出来だ。


《……龍人様。これはもしや…》


  どうやら、俺の作ろうとしているものにシリルラは気がついたようだ。まあ地球のことも知っているみたいだしな。けどまだ秘密である。


  菱形のパーツの窪みに、あえて少し残しておいて丸く整形した操石をカチリとはめ込む。それが終わると今度は光沢のない白色の鉱石……魔伝石に手を伸ばした。オールスにも使ったものだ。

 

  それともう一つ、赤みがかった鉱石も使う。〝爆進石〟というもので、魔力を込めるとその込めた魔力量に応じて速度を変えながら前方に向かってすっ飛んでいくというちょっと訳のわからないネタ鉱石である。


  だがまあ、今回はそのネタ鉱石が役にたつわけで。再度魔法陣を出現させ、魔伝石、爆進石、それに加え先ほど作り出した謎の物体を一つのところに集めて錬金する。


  まず最初に、魔伝石と爆進石が融合し、頭の中にあるイメージを元に整形したた結果先端が赤みを帯びている薄い羽毛のようなものに変化した。その真ん中の部分をあえて薄くして、先ほどの謎の物体を取り付けてさらに錬金。


  十分ほど集中力を最大限に高めて四つの鉱石を一つのアイテムに変化させるという相当難しい錬金術をなんとか成功させた。そうして、ようやく俺の望んでいたものは完成する。


  それは、一見して鳥類の羽のような姿形をしていた。先端の部分が赤みがかった白い羽弁のような部分に、その羽弁に繋がっている湾曲した枝のようなパーツのある丸い操石のはまった金色の羽柄のような部分。


「うん、初めてにしてはいい出来だな」

「主人よ、これは一体なんじゃ?」


  不思議そうに訪ねてくるエクセイザーに、俺はニヤリと笑う。説明するよりも実演して見せたほうが早いな。


  そう思ったので早速出来上がったそれを持ち上げる……と、割と重量があるな。まっ、かなりの量の鉱石を使ったしこんなもんか。


  少しひらけた場所まで移動すると、それを地面に置きしゃがんで羽柄の丸い操石に手を触れ、霊力を流し込む。すると操石が発光して俺の霊力を記憶した。


  それが終わると、それの羽弁の部分の上に乗る。そのまま少しジャンプしたりしてテストをした。うん、俺の重さにも耐えられる、と。綿密に鉱石の原子を結びあわせた甲斐があったな。


  それから幾つかのテストを行い、問題ないと判断できたところでエクセイザーを振り返った。するとエクセイザーは、俺の頭の中のイメージを読み取ったのか早く見せてくれと目で訴えてくる。


  それに苦笑しながらも、俺はそれに霊力を流し込んだ。



 ……フォオン



  すると、それは()()()()()。驚いて目を見開くエクセイザー、俺の脳内でため息をつくシリルラ。うし、成功だな。


  今更だが説明しよう。これは……筋◯雲である。地球でも有名な物語、西遊記の中に登場する石から生まれ、斉天大聖の称号を持つ最強の石ザルの乗る、あの◯斗雲である。


  といっても、七つ玉を集めると願いを叶えてくれる神龍が出てくる方の悟◯ではなく、某アイドルの一人がやっていた方の石ザルが登場するやつで使われていたものを再現してみた。


  一応言っておくが、これはパクリではない。オマージュである。それにあのドラマ大好きだったしな。映画も見たけど、主人公の毎回ある妖怪に対しての語りは心を打つものがあった。あと、仲間をなまかって言うのが面白かったな。



 閑話休題。



  これが俺の考えた最速の移動手段である。この筋斗◯モドキは操石に記憶された霊力の持ち主の意思に従い空を飛び、爆進石の力により込める霊力量によって凄まじい速さで移動することが可能だ。


  爆進石の特性を考えると一見前にしか進まないように思えるが、操石と組み合わせることで俺の思うがままに操れる。ただし、後進はできない。あくまで前進した場合にのみ、操作が可能と言う制限がついた。


  まあ、できる限り早く移動するという点において問題はないので、これでいいだろう。


  そういうわけで早速、次は飛行試験だ。実際に使えなくては意味がないしな。靴に仕込まれた札を介して、◯斗雲モドキに前進するように命令を送る。



 ズドォンッ!!!



「ぶがっ!?」

「ブフッ……!」


  ……思いっきり壁に激突した。後ろでエクセイザーが吹き出したのがわかる。俺はきんと……もう筋斗羽でいいや。筋斗羽と一緒にズルズルと床に滑り落ちる。


  ううむ、思ったより操作が難しかった。操石自体は問題なく命令を受信していたが、爆進石のほうが明らかに張り切りすぎて暴走した。


  ヒリヒリとする鼻先を治癒の木札で治しながら、脇に筋斗羽を抱えて作業机に戻る。爆進石の操作を制御しきれなかったってことは、もう少し操作の強度を上げればなんとかなるかもしれない。


  そういうわけで俺はちょっとずつ筋斗羽を調整していった。色々と試行錯誤しながら、なんども壁とか天井にぶっ飛びながらも少しずつ操作できるように改造していく。


 やがて……


「お、安定して飛べる」

「ふふっ、良かったのう主人」

「これ以上顔をぶつけるのはごめんだからな……」


  無事、筋斗羽の出力を完璧に操作できるようになった。結局形状は縁を全体的にぐるりと操石で覆い、両端の尖った幅広で板だけのスケートボードみたいになってしまったが…まあ、仕方がないだろう。


  その後しばらく、割と広い倉庫の中を霊力を調節しながら飛び回る。おお、これ結構楽しい。旋回、カーブなど色々と試しに飛んでみるが、かなり自由度があった。


  それにあれだ、あの車型タイムマシンに乗って過去、未来、現在を旅する名作映画の主人公が未来の子供からもらったアレを思い出す。もしくはホバーボード。


  そうやって飛び回っていると、ふとエクセイザーの様子がおかしいことに気がついた。なんというか、こちらを見てウズウズとしている。


《乗ってみたいのではないでしょうか? 他の人間が目の前で何かをやっていると自分も同じことをしたくなる心境かと思いますね》


 ……あー、なるほど。


  俺は少し苦笑しながらシリルラのアドバイスに感謝し、床まで降下する。そうすると筋斗羽から飛び降りて筋斗羽の端を足で弾いてキャッチする。


  そのままアイテムポーチに筋斗羽をぶち込むと先ほど使った素材をかき集めていく。幸い、同じような素材は腐るほどあった。


  三◯クッ◯ングならぬ三分錬金術で完成したのは、紫色に染色され、縁の操石が銀色に輝く筋斗羽だった。エクセイザーカラーである。


  最後に操石の玉をはめ込むと、エクセイザーに差し出した。するとエクセイザーはおずおずと筋斗羽を受け取り、玉にそっと指を当て魔力を流し込む。玉が仄かに発光し、エクセイザーの魔力を記憶した。


  エクセイザーは先ほどの俺の行動を模倣するように床に筋斗羽エクセイザーverを置くとそれの上に乗り、魔力を込める。するとふわりと浮き上がる筋斗羽。


  パァァッと顔を輝かせて笑顔をこちらに向けるエクセイザーに思わず微笑ましい笑いを浮かべながら、先ほど片付けたばかりの筋斗羽を引っ張り出して乗った。


「ほら、手。これ結構バランスとるの難しいからさ」

「ふむ、そうなのか。恩にきるぞ、主人」


  エクセイザーの手を取り、倉庫の中で少しずつ一緒に浮上していく。気分はさながら、ホバーボードのレクチャーをする講師である。やったことないけど。


  まあとにかくそんな気分になりながら、ちょっとずつコツをエクセイザーに教えていった。するとその優秀さを早くも発揮したエクセイザーは一度の説明で全て覚え、見事な筋斗羽さばきを見せる。


  俺も負けじと、自分の筋斗羽を操って倉庫の中を飛び回った。エクセイザーは驚いたような顔をした後、面白いとでもいうようにニヤリと笑う。


  しばしの間、広いといってもそんなに大きくはない倉庫の中で俺とエクセイザーの筋斗羽遊びが続いた。二人で笑い声をあげながら縦横無尽に飛び回る。


「そうら、こっちだ!」

「ふふん、旋回じゃ!」

「なぬっ!?」

「はっはっはっ、妾に追いつけると思ったか!」

「ぐぬぬ…」


  馬鹿騒ぎをしながら筋斗羽を操って飛んでいると、ふと違和感を覚える。あれ、この軌道まずくないか?


《このまま直進すると、エクセイザー様と激突することになりますね》


 やっぱりー!?


  そう思った時にはもう時すでに遅し。目の前から高らかに笑いをあげているエクセイザーが突っ込んで来るところだった。まずい、回避が間に合わねぇ!


  最後まで粘ったが、結局どうすることもできないと判断したので止まらない筋斗羽同士が激突する瞬間ジャンプ、ようやく気がついて驚いているエクセイザーを胸の中に抱きしめる。


  そのまま、思い切り床に墜落して体をしたたかに打ち付けた。それに追随するように大きな音を立てて筋斗羽が二つとも近くに落ちる。


  うぐっ、背中がめっちゃ痛い。咄嗟に俺が下になったので、エクセイザーは大丈夫なはずだが……


「お、おいエクセイザー、大丈夫か?」

「う、うむ………」

「エクセイザー?」


  そしてエクセイザーの両肩に手を置いて少し体を離し、俺のコートの裾をぎゅっと握っている彼女を見下ろして……首を傾げた。ちょっと顔が赤い。心なしか、目も潤んでいた。


  あれ、もしかしてやっぱりどこかにぶつけてたか?いや、Eの理にたどり着いたエクセイザーがそうそう痛がるはずもないか…いや、衝撃は普通に受けるのか?


《はぁ………》


  何故かシリルラにため息を疲れながらも、俺がちょっと様子のおかしいエクセイザーについて考えを巡らせていた、その時。


「おい、大丈夫か!?なんかすごい音…が……し……て………」

「リュウトさん、だいじょ、う、ぶ……」

「リュー兄!?」


  バタンッ!という大きな音を立てて、倉庫の入り口の扉が開け放たれる。はっと我に返った俺とエクセイザーは、同時にそちらを振り向いた。するとそこにいたのは、見慣れた三人組。


  鬼人族と兎人族のハーフであるヴェルメリオ、鬼人族のニィシャさん、兎人族のレイ。俺のログキャビンに居候している三人の亜人たち。彼女らは皆一様に俺たちを見て固まっていた。


  一体どうしたのかと思い、自分たちの姿を見て…すぐに思い当たった。今俺は、エクセイザーを地面に座って抱きしめているような格好なのである。


  それを自覚した途端、先ほどまで麻痺していた羞恥心が一気に解放された。自分でもわかるくらい顔が熱くなり、エクセイザーも先ほど以上に顔を真っ赤にする。慌てて立ち上がって離れる俺たち。


  気まずい空気が流れる。俺とエクセイザーはそっぽを向き合い赤い顔を隠し、ヴェルとレイはオロオロとして、ニィシャさんはなんか不自然なくらいニコニコと笑っている。ちょっと怖い。


  と、とにかくこの空気をなんとかしなくては。ええと………


「あっ、そ、そうだ。エクセイザー、大丈夫だったか?落ちたときどこかにぶつけたり…」

「……無事じゃよ。それに、地面にぶつかったくらいで苦しむほど妾は弱くない」

「だよな……それなら良かった」


  あれ?でもそしたら、なんで顔を赤くしてたんだ?


「そ、それは……気にするな」

「え?」

「い、いいから気にするなと言っておる!」

「お、おう」


  全く……といってそっぽを向くエクセイザー。俺は気圧されながらも少し苦笑する。そんな俺たちをみて三人はある程度のことを察したのか、周囲を見渡し始めた。


  すると、俺たちの近くに落ちている筋斗羽を見つけて近づき、ちょんちょんと突き始めた。


「ねーリュー兄、これなに?」

「ん?ああ、それは筋斗羽って言ってな。空を飛べる魔道具だ」

「えっ、ほんと!?」

「ああ。さっきちょっとそれで飛び回ってたら、エクセイザーとぶつかっちまってな」

「なるほど……そういうわけだったんだな」

「おう。あ、そうだ。ヴェル、これ乗ってみるか?レイとニィシャさんも」

「いいんですか?」


  遠慮がちに訪ねてくるニィシャさんに頷いて、俺は早速三人用の筋斗羽の作成に取り掛かった。十分もしないうちに完成し、三人に渡す。一つはレイ用に小さいやつだ。


  三人は初めは戸惑っていたものの、やり始めるとはまったようで嬉々として筋斗羽を飛ばし始めた。特に両手足を使って掴まっているレイはしゃぎながら二足で立つヴェルの後を追いかけている。ニィシャさんはなんと筋斗羽に腰掛け穏やかに二人を見ながら飛んでいた。


  結局その後もう一度やりたくなった俺とエクセイザーも参戦して、その日は夕食の時間になるまで五人で筋斗羽で遊び倒したのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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