十九話 コートと西部区画
なるべく早めに更新しました。
楽しんで頂ければ幸いです。
東部についての会議から二週間が経った。
その間特に何も起きることなく、少しの変化といえば少しずつ送り込まれてくるゴブリン小隊の数が増え、装備のレベルも向上してきていることだ。
加えて俺のところに送られてきたあの書面でも言っていた通り、どうやら本格的に戦争を始めようとしているようで、時々数十匹規模の小隊も送り込まれてくるようになった。
もちろんことごとく蹴散らしているが、そろそろ倉庫を拡張しなければ回収したものが入りきらないまでになってきてしまっている。
まあ、この西部に存在しない鉱石で作られているので年に一回の戦争で倒した相手から剥ぎ取るしか入手方法がなく、なるべく多く欲しいと言っているのでガルスさんに半分くらい流しているが。
「え、えっと、あーるーぷーすー?」
「いちまんじゃーくー」
「こやりーのうーえで……あ、あれ?」
「反対だよ。次はこっちの手だったな」
「うー、また間違えた…」
そんな感じに着々と戦争の雰囲気が西部の中に漂う中、俺はいつも通り鍛錬と小隊の殲滅を終えると家に帰ってきてレイと遊んでいた。
子供が親とか兄弟と暇つぶしにやるものの鉄板の一つであるアルプス一万尺をやっていて、レイは時々出す手を間違えてしまう。今もまた間違えてしまった。
物覚えが悪いわけではなく、まだ慣れてない感じかな。普段よく手伝いをしてくれるし、どこに何があったかもしっかり覚えていて、俺が頼めばすぐに目的のものを持ってきてくれる。
教えたやり方を一生懸命に思い出しながらこっち、違うこっちだ、と色々やっているレイを微笑ましい目で見ていると、不意に体……というか近くに置いてあるコートと同調させた霊力に違和感を覚えた。
一旦レイから目線を外してコートを手に取り、裏側を見る。そこにはびっしりと隙間もないほどに数多くの魔法陣や刻印が刻まれており、それらは微弱に発光していたり回転したりしている。
そのうちの魔法陣のいくつかが、少しだけほころびができていた。
「ううむ、そろそろだったか?」
《試しに着てみてはどうですかね?》
シリルラの言葉に従い、試しにコートを羽織って魔法陣や刻印を通し、体の表面に纏わせている霊力と同調させてみる。
すると少しの抵抗の後、ちょっとした違和感とともにいくつかの魔法陣が機能しなくなったのがわかった。先ほどほころびのあったものだ。
《そろそろ、定期メンテナンスの頃合いでしたね》
「だな。ユキさんのところ行ってくるか…」
「? リュー兄、どこか行くの?」
「おう、ちょっとな」
不思議そうに首をかしげるレイの頭をわしゃわしゃと撫でると壁にかけてあったアイテムポーチやホルスターのついたベルトを取って腰につけ、アイテムポーチの中からドラゴエッジを取り出して留め金に固定する。
ホルスターにオールスMr.Ⅰを収め、完全装備状態になると机のところでヴェルとニィシャさんと一緒にお茶をしていたエクセイザーに目配せをした。
すると彼女はコクリと頷き、留守番を了承してくれる。俺もそれに感謝の意味を込めた頷きを返し、残りの二人にも外に出ると言ってからログキャビンを出た。
扉を開けると、家の中でも天井や貯水タンクにあたる音が聞こえていた雨が視界に入ってくる。
ここ数日、こんな感じに雨が続きっぱなしだ。こうして一週間ほど続くこともあれば、一月に二、三度くらいしか降らない時もあるらしく、完全に大精霊の気分次第なのだとか。
室内で三人がお茶をしているのもこれが理由である。晴れの時は外で談笑しながらお茶会をしているのだが、雨の日は中で静かに会話するのが好きならしい。
ちなみにその間、俺はレイの相手をしている。彼女はまだ10歳であり、精神年齢もそれに従いまだ幼い上に活発な子だからじっと話を聞いているなんて芸当はできない。
なので、俺が遊び相手をしているわけである。俺自身もレイと遊んでいるのは親戚にいた妹のような子と遊んでいるような感覚に近いので楽しいから、結果オーライである。
そんなことを考えながら、俺は傘入れに入っていた灰色の傘……俺のものを取るとそれを差して歩き出した。
テラスを降り、畑を抜け、結界を通り抜けたところで……
「ギャァッ!」
「ギギャ!」
突如、左右の茂みから何かが飛び出てきて、俺に襲いかかってきた。その手には人間の俺からすれば短い剣が鈍く光っている。
それはやはりというか、醜悪な顔に全身を雨が打ち付ける青い鎧で包んだイヴィルゴブリンだった。
中でもつい最近出没するようになった、〝青鉄隊〟という精鋭部隊の一つで、奇襲と近接戦闘に特化した奴らと後方からの支援に特化したやつで構成されたバランスのいい小隊だ。
ドガンッ!ドガンッ!
瞬時にオールスMr.Ⅰをホルスターから引き抜き、レベル壱の霊力弾を二発発砲。それは目測できる前方の二匹の頭部を貫き、そのまま後方で弓を引き絞っていた二匹の頭もそれぞれ貫いた。
それを確認する間も無くオールスMr.Ⅰを上空に放り投げドラゴエッジを逆手に抜刀、横薙ぎに振るって背後と木から落ちてきて飛びかかってきたイヴィルゴブリンを三匹まとめて切り捨てる。
そのまま体を反転させてドラゴエッジを投擲、十数メートルの後方から俺を狙っていたイヴィルゴブリン・メイジの喉元を断ち切り、それに驚愕している隣のもう一匹に落ちてきたオールスMr.Ⅰを実弾に切り替え発砲。そして射殺する。
一連の動作を終えるのに、わずか数秒。ホルスターにオールスMr.Ⅰをしまったのと同時に全てのイヴィルゴブリンの死骸が地に倒れた。
《お見事ですね》
「隙あらばって感じになってきたな……」
本当、最近一歩でも結界を出ればこんなことばかりだ。エクセイザーのおかげで俺自身も陰道の方の腕前が上達してきたので、消滅名札でも作って近くにトラップとして埋めておいてやろうか。
……いや、でも前にそれを考えた時、俺の霊力の純粋さだとその一帯の植物ももろとも全部消滅させるくらいの効果があるからやめたほうがいいって言われてたな。
この森の守護者である以上、必要以上に環境を破壊するのは絶対に禁止だろう。そもそも、国土の上に広がるもの全てに信仰を捧げる流派に属するものとして責任云々以前にダメだろう。
《エクセイザー様で霞んでしまいますが、龍人様もまたこの世界の常識に当てはめればそれをはるかに超越した強者。早めに潰しておこうと思うのは当たり前ですね》
強者って他人から認められていて喜んだらいいのか、それとも迷惑と思えばいいのか……絶対後者だな。
イヴィルゴブリン達の死骸を道具類が入っているものとは別のもう一つの、生モノ……主にゴブリンどもの死骸……用のアイテムポーチに放り込んで血を拭ったドラゴエッジを鞘の中に収める。
そうすると汚れないように頭上の木の枝に引っ掛けておいた傘を取って、元の予定通り西部へと向かうのだった。
●◯●
雨の森の中を足早に歩くこと二時間弱、ようやくそこにたどり着いた。途中から〝その場所〟から伸びている極太の蜘蛛の糸でトンネルになっていたので雨は降って来ず、傘はアイテムポーチの中にある。
そこは〝この場所〟同様に定期的にドラゴエッジの俺ではわからない細かいメンテナンスをするために行っている、ガルスさんのいる南部の特殊な石造り城壁とは違い、全長3キロメートルにもなる大きな蜘蛛糸のドームとなっており、ユキさんが直接作ったらしい。
楕円形になっている西部都市からは四方八方に様々な用途で区別されている通路が無数にあり、俺が今使っているのはその一つだ。なんでも、俺専用に作ってくれたらしい。
南部には門番としてオルスとトロスがいたが、ここはそういう目に見える門番が行く手にいるわけではない。ユキさんが自分の能力を真似て作り出した分体の様な子グモが、通路の蜘蛛糸の隙間から様子を伺っているのだ。
現に今も、無数の目に監視されている感覚を全身に感じる。これがこの西部の監視役というわけだ。個体個体のステータスもわりと高い。
ふと見上げてみれば、天井に張り付いている白い小さな……それでも50センチはある子グモと目があった。あれ、普通は蜘蛛糸の中に隠れてるのだが。
他の個体より感じる霊力や力も弱く、おそらく新人?新蜘蛛?なのだろう。他の場所から先輩蜘蛛と思しきキィキィと鳴き声がしたかと思うと、慌てて蜘蛛糸の中に姿を消していった。
それにほんの少し苦笑しながら、通路の中を歩いていく。するとやがてぽっかりと空いた大きな出口が姿を現した。
燃焼石製の明かりと耐火性が高い蜘蛛糸でアーチが形作られたそれをくぐり抜け、さらに下り坂になっている廊下を降下していく。歩くこと数分、ようやくその都市にたどり着いた。
そこは、一言で表すならば〝巣〟だった。いや、都市のような巣とでも言うべきか。
ドームを支える直径と幅ともに数百メートルほどの巨大な岩柱が等間隔に並び、その岩柱の根元とドームと接合している部分には幅10メートル以上はありそうな極太の蜘蛛糸が何千と絡みついている。
そしてその岩柱の中に昆虫系の魔物たちの住居があるので所々穴や扉があるのが見え、ランプの明かりが窓と思しき場所から溢れていた。さらに魔物達が優に数十人規模で渡り歩けるだろう蜘蛛糸製の橋が岩柱と岩柱の間に無数にかけられており、その部分だけ岩柱に大きな穴が開いている。
また、植物系の魔物の住居が俺が今立っている地上にも無数に、しかし規則正しく並んでいた。土と遠目から見ても太い植物の蔦で作られたそれらは頑強そうで、さらにその上から蜘蛛糸で補強されているので相当な堅牢さを誇るだろう。
加えて植物系の魔物達用の場所として外と同じく森林がいくらか広がっている。そこにはドライアドなどの魔物が住んでいるらしい。
さらに、中には例の蜘蛛糸の橋から吊り下げられているボール状の家も存在しており、非常に小さいそれは一本の橋に大体20個ほど。中には植物系統のフェアリー達が住んでいると思われる。
そして何より目を引くのは、ドーム最奥にある超巨大な蜘蛛糸の球体だろう。ドームそのものや岩柱など、すべてでその圧倒的な質量を支えられている姿はまさに圧巻の一言であり、そしてあれこそが西部の管理人であるユキさんの住処だ。
「あー!リュートだ!ねえねえ、遊んでー!」
「おーう、今日は用事があるから、また今度なー」
「ちぇー。絶対だぞ!」
寄ってくる昆虫系、植物系の魔物の子供達に適当に受け答えをしながら、都市の中を進んでいく。そこにいるだけで汗が出てきた南部とは反対に、植物系の魔物達の恩恵で清涼な空気が流れていた。
歩くと結構な距離のある道のりを進むこと数分、ようやくユキさんの住処にたどり着く。近くに来てよく見てみると城門と外壁のようになっている前面には、二体の魔物が門番として立っていた。
ユキさんより一段下の魔物である蜘蛛女であり、人間に近いユキさんと比べて下半身が完全に蜘蛛だ。三メートルくらいの蜘蛛の体に、蜘蛛の頭の代わりに女性の上半身がくっつている感じか。
双子の姉妹である彼女達は右にいる方は右顔を、左にいる方は左顔を髪で隠しており、浅黒い肌に不気味な赤い模様が走っている。手には蜘蛛糸を凝縮して作ったのであろう棍を持っていた。
「こんにちは、ラトさん、レトさん」
「「こんにちは、リュート様。本日はどのようなご用件で?」」
無表情で同時に、ほとんど同じ声で答えたラトさんとレトさんに、俺はコートの定期的なメンテナンスに来たことを伝える。
すると棍をクロスして塞いでいた門を解放してくれたので、中に進む。すると城壁とボールの間に俺のところと同じように、しかし規模が違う大きさの畑と、それのための水路があるのが見えた。ユキさん、確かベジタリアンで全部自分で育ててるんだったっけか。俺は普通にバランスよく栄養をとるためだけど。
そんなことを考えながら、舗装された道を進んで地面から浮いているボールにつながる短い橋を登っていく。自然と橋の終点の部分に穴が空き、そこから内部に入った。
中は割と普通の見た目で、石と木材、金属で構成されているいかにも屋敷っぽい内装だ。沢山の部屋を蜘蛛糸でつなぎ、一つにした結果このボール状になったらしい。
何回か来たことによりなんとか覚えた道順を思い出しながら、かなり複雑な構造の廊下を歩いていく。文字通り継ぎ接ぎなので、床に部屋への入り口があったりするからそれを踏まないように注意しなくてはいけない。
「ーーシャァッ!」
そして何回目かの角を曲がった時、突然前方から小さな影が躍り出た。こちらに向けて大きく開けられた口の中には鋭い八重歯が光っている。
俺は嘆息しながら、それをするりと受け流しながら小さい胴体をつかむ。そのままその場で一回転して減速しながら胸の中に抱えた。
それは人型の魔物だった。人間なら2〜3歳ほどの小さな子供であり、ルビーのような大きな目の他に額に左右二つずつの目が付いている。そして背中にはちょこんとした小さな蝙蝠のような翼が生えていた。
「キャキャ、また避けられたー!」
「おいルフェル、いきなりはやめろっていつも言ってるだろ?」
ルフェル。それがこの童子の名前だ。見た目は母親であるユキさんの遺伝子を強く引いているのか非常に中性的だ。それでいて額のものも合わせて六つある目は父親のヴァンパイアの魅了の魔眼を引き継いでいて、鮮烈な光を宿している。
ルフェルは前に一度……というか初対面の時に油断して血を吸われて以来、霊力が関係しているのか俺の血は結構美味しいらしく毎回こうして飛びかかってくる。
まあ、致死量を吸われるとかそういうわけではないのでそこまで全力で回避しているわけでもない。ただ、いきなり首筋に噛み付かれるのはちょっと勘弁願いたいのだ。
というかオルス&トルスコンビ然りレイ然り、俺は小さい子に好かれる体質でもあるのだろうか。
《これで龍人様が幼女趣味であればからかうんですがね……》
……いや、お前普段から結構俺のことロリコン呼ばわりしてるよね?違うっていつも言ってるのにさ。
「えー、ちょっとくらいいいじゃんかよー」
「だから、普通に言ってから来い普通に。そしたらちょっとならいいから」
「じゃあちょーだい!」
「はいはい」
袖をまくって腕を露出させ、土短剣を取り出してちょっと切ってそこからルフェルに血を吸わせてやりながら進行を再開する。
チューチューと血を吸われながら歩くこと数分、やっと辿り着いた。他の部屋より少し豪華な作りになっている扉をノックする。
「……誰?」
「ユキさん、俺です。コートのメンテナンスに来ました」
「ん。入って」
許可が出たので、扉を押し開いて中に入る。するとそこかしこに蜘蛛の巣が張られた天井まで届く巨大な棚やら無数の裁縫道具が吊るされている台やら色々なものが置かれた部屋が露わになる。
その中心で座って某名作映画の風呂釜の火を管理している爺さんみたいに臀部から伸びる蜘蛛足を自在に伸ばして様々な素材を取り出し、何かの服を作っているユキさんに近づく。
「チュー、チュー」
「ってこら、いつまで吸ってんだ。そろそろ終わりだ」
「えー」
「…ルフェル、やめなさい」
「はーい」
ユキさんに言われるとルフェルは俺の腕から口を離してパタパタとその小さな翼で飛び、ユキさんの膝の上に収まった。
ユキさんはそれに構わず着々と服を完成させていき、最後に何かのエンブレムを刺繍すると一つ頷いて手を止めた。そしてそれを蜘蛛足で同様のものがいくつもかけられている棒にかける。
それが終わると、無言でこちらに手を差し出した。コートを貸してくれという意味だろう。俺は大人しくコートを脱いでユキさんに差し出す。
ユキさんは俺から受け取ったコートの状態を確認して……こちらにジト目を向けて来た。
「……いくつか機能しなくなっている。できればこうなる前に来て欲しい」
「あ、あはは、すいません……」
「……ん、まあいい。すぐに直す」
そう言って一つ頷き、ユキさんはコートの魔法陣や紋章を直し始めた。
実はこのコートは、着ることで三重の防御を発揮するかなり強力な代物で、魔物の魂が固形化したレアアイテムに相当するものでオリジンアイテムと呼ばれるものに属している。
具体的に言うと、まずこのコートに使われている素材であるエクセイザーのミスリルの鱗と強靭な皮膚による物理的な防御力。
要所を守る高い霊力伝導率を誇るミスリルの装甲を俺の霊力で限りなく強化して、さらに耐魔法、対物理両方の優れた皮膚で作られたコート部分で上半身から腰下までを守っている。
次に、俺自身の霊力による強化。鍛錬と防御の意味、二つの意味を込めて常に体の表面に霊力の鎧を纏っていた。これは全体が均一になるようやらなくてはいけないので、精密操作の練習になるし実用的なのでかなり役に立っている。
そして最後に、体表面に纏っている霊力とコートを作り終えた際に発生したオリジンアイテム特有の特殊効果……その魔力との連動。それの要こそが裏地のあの無数の魔法陣や紋章であり、また特殊効果というのは……コートに触れた武具を腐食系の猛毒で腐らせるというものだ。
更にその魔力の質が俺の霊力とうまく合わないのでサポートしてもらっているわけだ。
けれどそのサポートも定期的にメンテナンスに出して調査してもらわなければいけないので、こうしてユキさんのところに来るわけである。ユキさんは天才的な服職人と同時に、とても優れた付与術師なのだ。さすがは西部区画のリーダーである。
「そういえば、旦那さんは?」
「彼は自室で寝てる。ヴァンパイアで流水が苦手だから、雨の日は大体そう」
「へえ、そうなんですね」
「ん。だからルフェルの相手も私がしなくてはいけない」
「暇なのだー!」
噂をすれば……俺の方に向かって飛んで来たルフェルを受け止めて思わず苦笑する。
「はいはい、それじゃあ俺と遊んでようなー」
「おー、いいな!」
「リュート、感謝する」
「それの調整に比べればどうってことないですよ」
そういうわけで、ユキさんにコートの調整をしてもらっている間は俺がルフェルの相手をすることになった。といってもそこまで長くはなく、ほんの十分たらずでコートが返ってきたのでそこで終わりだ。
手渡されたコートに腕を通し、霊力を連動させてみる。すると無事に全ての魔法陣と紋章が起動したのがわかった。
「ばっちりです。ありがとうございました」
「ん、大事に使ってね」
「はい。それじゃあ、今日はこれでーー」
ドォオオオォオォォォオンッ!!!!
これで失礼します。そう言おうとした瞬間、激しい振動が部屋の中を襲った。それにより床に崩れ落ちかけた道具類を、瞬時にキャッチしてルフェルに当たらないようにする。ユキさんも自分で掴み取っていた。
激しい揺れが数秒続き、やがて収まる。慌ててとっさに腕の中にかばったルフェルを見るが、目立った外傷はなかった。それにホッとしながら首をかしげる。
「今の振動は一体……」
「……! そんな、まさか、ありえない……」
「? ユキさん、どうかしたんですか?」
耳に手を当てて何かをしていたユキさんが愕然とした表情をしたので問いかけてみれば、珍しく驚いたような顔でユキさんはゆっくりと口を開いた。
「……この西部区画が襲撃を受けた。相手は……ダークゴブリンの砲撃隊。東部からの攻撃が、始まった」
この章は主に主人公の強化を主にしたものなので、そろそろ十分だと思ったので終盤に入ります。
数少ないお気に入り登録をしてくださる皆様、そうでない方も稚拙な文章ですがこれからもよろしくお願いします。
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