第56話:私、大勝利!
今回は時間が取れず短めです。ごめんなさい!
「はーっはっは! 私、大勝利!」
リリナは倒した男達を王国騎士団に引き渡すと、びしっとポーズを決めながら言葉を発する。
そんなリリナを見上げた男は、がっくりとうなだれながら騎士達に連行されていった。
「いやー、しかしリリナ姉ちゃんが本当に魔術士とは思わなかったよな」
レウスは頭の後ろで手を組みながら、無垢な笑顔で言葉を発する。
そんなレウスの言葉を受けたリリナは、噛み付くように返事を返した。
「こりゃー! 失敬なこと言うな! 魔術士だって最初から言っとろーに!」
リリナはばたばたと地団駄を踏み、悔しそうに奥歯を噛み締める。
そんなリリナの姿を見たリセは、にっこりと微笑みながら言葉を紡いだ。
「でも、ありがとうお姉さん。お姉さんのおかげで私達、助かった」
リセはシロを抱きしめながらリリナに近付き、笑顔でお礼の言葉を紡ぐ。
そんなリセの言葉を受けたリリナは、一瞬呼吸を忘れた。
「おっおう……いいのよ。リリナお姉さんは正義の味方だかんね!」
リリナはリセの笑顔の美しさに一瞬言葉を失うが、やがて気を取り直して胸を張り言葉を続ける。
しかしレウスは動揺したリリナの様子に気付かず、さらに言葉を発した。
「まあとりあえず、宿に戻ろうぜ。シリルねーちゃんもさすがに起きてんだろ」
レウスはにししと笑いながら、リリナに向かって提案する。
そんなレウスの言葉を受けたリリナは、こっくりと頷いた。
「確かにそうだ。じゃあ戻るとしますかー」
リリナは変身を解除すると杖を一回転させ、すたすたと宿に向かって歩いて行く。
そんなリリナの背中を追いかけて、レウスとリセはとことこと歩みを進めていた。
「ただいまーっと……あれ? シリルねーちゃんまだ寝てるのか?」
「ぐ、ぐー……ぐー……」
レウスの言葉を受けたシリルはベッドの中に布団にくるまりながら、わざとらしい寝息を立てている。
そんなシリルを見たリリナは、ジト目でその姿を見つめた。
「なーんか嘘っぽいな。くすぐっちゃえ」
「ひゃう!? あ、あはははは!」
リリナにくすぐられたシリルは、体をよじりながら笑い声を響かせる。
そうして飛び起きたシリルを、リリナはニヤニヤとしながら見つめた。
「やーっぱ起きてたんじゃん。なんで寝たふりなんかするかね」
「い、いえそんな! 今起きたばかりですじゃ!」
「ですじゃって」
リリナはポリポリと頬をかきながら、小さく息を落としながらシリルを見つめる。
シリルは噛んでしまった事実に気付くと、顔を真っ赤にして俯いた。
「ま、いいや! それよりご飯にしようご飯に。私もうお腹ぺこぺこりん」
リリナはどかっと椅子に座ると、自身のおなかを摩りながら言葉を発する。
そんなリリナの言葉を受けたシリルは、ぽんっと両手を合わせながら嬉しそうに返事を返した。
「あ、はい! 今作りますね!」
「わたしも、てつだう……」
リセは抱きかかえていたシロを椅子の上に置き、とことこと歩いてシリルの傍に近付く。
やがて二人は料理を始め、あっというまに食事の時間は過ぎていった。
そうして食事を取った一行は、お茶を飲みながらまったりとした時間を過ごす。
シリルの淹れたお茶を美味そうにすすりながら、リリナは両手をばっと広げて言葉を紡いだ。
「いやーシリルちゃんにも見せたかったわぁ。私がこう、ばったばったと男共をぶっ飛ばしてさ、超かっこよかったんだから」
リリナはにいっと歯を見せて笑いながら、シリルに向かって言葉を紡ぐ。
リリナの言葉を受けたシリルは、にっこりと微笑みながら返事を返した。
「私もリリナさんのご活躍、見たかったです。ただ皆さんがご無事だったのが何よりでした」
「当然さ! この私がいたからね!」
シリルの言葉を受けたリリナは、えっへんと胸を張りながら返事を返す。
そんなリリナの言葉を聞いたシリルは、再び笑いながら言葉を紡いだ。
「ふふっ。そうですね。ありがとうございます、リリナさん」
シリルはブレることのないリリナの態度に微笑みながら、リリナのカップにおかわりのお茶を注いでいく。
こうして戦いの後の穏やかな時間はゆっくりと過ぎていき、やがて一行とリリナは別れの時を向かえるのだった。




