表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いとこは聖女様。  作者: 空気鍋
90/138

悪夢の終わりと破滅の始まり23追加

前の話に入れれなかった分です。


打ち込む時間が遅すぎて予定の量を打ち込めませんでした。

小さい僕をサンドイッチにした背の高い二人は、予測通り物凄ものすごい悲鳴をあげていた。特に前に座った、お兄ちゃんはつねに”音の壁“の圧力(プレッシャー)を受ける怖さと、”音の壁“を破り続ける恐ろしさにさらされるベスト・ポジションだから。

人の肉体はマッハに耐えられるようには作られていない。だからホウキの前には、蒼井さんが作った不可視ふかしの壁”守りの盾“の魔法があって僕達を守ってくれてるんだけど、このひし形だと思う)”盾“のかどからは白い煙が(ひこうき曇)伸びて何かが守ってくれてるのは分かるんだ。怖いのは不可視のはずの”盾“に時々、大きなヒビが入って割れかかるのを見ちゃうから。恐ろしいのは、マッハで進むモノを避けれるはずがない”飛ぶモノ“達が粉砕ふんさいされて行くのを見ちゃうから。

バードクラッシュって言うんだっけ? 自動飛行のホウキに両足がかない空中でいきなりヒビが入って即座に消える修復機能付きの”盾“にはもし無かったらこうなるんだろうなって感じの赤いのや青いのや黒いのが付く。

しかも! しかもだよ? お兄ちゃんには言って無いけど、このホウキ。蒼井さんと紫さんが共同で作った、この世界に無かった魔法のひとつ。”魔王“討伐した後、僕達は作りはじめの最初っから見ていたけど蒼井さんも紫さんも、何故、ホウキが飛ぶのか分からないって言うんだ。


「”生きている縄“と”植物用栄養剤“と”浮雲“っていうふわふわした綿毛わたげを混ぜたら浮かんだんだから、それでいいじゃない。浮かなくなったら新しく作ればいいし、もともとはホウキなんだから、掃除に使えるし。」


蒼井さんはなんで浮くのか、いつ浮かなくなるのか何も分からないホウキを片手に胸を張って満足げに言いきった。


「落ちても大丈夫なように”保護“の魔法がかかっていますから……そうですね、富士山くらいの高さなら”大丈夫“です。」


紫さんが言ったけど。違うよ? そこじゃない……そこじゃないよ、紫さん!

その後の”試運転“という名の虐待ぎゃくたい。紫さんをして


「私は間違えていたのか。」


と言わしめたあの暴虐ぼうきょ


……二度と乗るものかって思ったのに。


前も怖いけど、後ろも怖いんだよね。前がよく見えないのに、急に蛇行したりするから。なのに、掴まるのは前に座った人だけ。

体はグラグラ揺れてホウキから投げ出されそうになるし。


「ついでだから”観光“もいっちゃう?」


蒼井さんが唐突とうとつに言うとホウキが直角に曲がった。


だから人の体は急に曲がるように出来て無いんだってば!


強い横Gにホウキから振り落とされかけたお兄ちゃんと苺さんは盛大な悲鳴を……ってイタイ! 苺さん! そこ掴みやすいの、分かるけど、イタイ! ギュッてされたらイタイから!


「この山が、この国で一番高いわ。」


緑の少ない山頂スレスレを


「ここからは海よ。内海になるわ。王都はあそこ。このへんはつまらないわね。」


蛇が進むようなスワロームを繰り返し


「ここが国西端の街。貿易中継点として栄えてるわ。」


広場一面に広がる屋台や露店をかすめるように飛んだ。


「”また“来たぞおーっ!」


ホウキが2本通り過ぎた後は、いろんなモノが舞い上がっていたんじゃないかな。僕、見てないから分かんないけど。ちなみに、この西端の街が僕の旦那様予定のポートプルー伯爵、通称、豚伯爵の領都だったりする。

馬車なら、一週間はかかる距離を蒼井さんの観光案内付きで領地に着いたのは夕方になる頃だった。だけどね? 普通に飛ぶのつまらないからって2回転半宙返り捻りありは不必要だったと思うよ? 蒼井さん!

地面に足が着いたとたん、トイレとおぼしき建物に駆け込んだナナカねーちゃん。うつろな瞳と無表情な笑顔で固まった苺さん。無言で瓦礫がれきの山に腰かけて頭を抱えてうつ向いたお兄ちゃん。

みんなの時間が戻るのはしばらくかかった。


「危なかった。危なかったわ。違うの、危なかったけどセーフ大丈夫のよ、違うのセーフっ。だからそんな目で見ないで。本当に違うんだからね!」


けっこうな時間がたってナナカねーちゃんが戻って来て誰も何も聞いてないのに、かなり早口で言った。


「私……。もう、スペースマウンテンに乗っても目も閉じないし悲鳴もあげない自信があるわ……。」


ようやく強張こわばりが解けた苺さんが何かを失ったようにポツリと呟く。


「俺。魔法少女にはならないって決めたんだ。」


決意に満ちたお兄ちゃんに僕が「お兄ちゃんは少女じゃないし! てか、女装が似合うタイプでもないから止めてね。」とは言えず心で叫んだ頃には日は落ちていた。

ここまでが先週打ち込むはずだった話でした。


申し訳ありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ