悪夢の終わりと破滅の始まり1
すみません。
メモみたいなモノを誤って投稿しました。
差し替えしましたので宜しければ読んでください。
話し合いを終えて神殿に帰ってきた僕は
「司君は、本当にあんなにずれまくっているあの子でいいの?」
とうるさい蒼井さんを世話人に任せて部屋のベッドにダイビング。僕が横に三人は寝れる包容力のあるベッドは優しく受け止めて柔らかく包んでくれた。
その体勢のままサンダルを脱いで、ゴロゴロと。
右へゴロゴロ、左へゴロゴロ。ベッドの上でふざけて遊ぶ。
すぐ飽きた。
ベッドの真ん中で仰向けになった僕は天蓋を睨んで。
「……ああ。……意外にダメージ大きいかも……。」
知っていたし理解していたし全部、承知の上だった。
けど。
「改めてみんなに紹介するよ。俺の彼女の三郷野苺さんだ。苺さん、コイツが昔、家出をして帰って来なかったいとこの司だ。」
お兄ちゃんがみんなの前で宣言した時、なにを今更。なんておもっちゃったけど。
「僕は“諦める事は出来ない”って言ったよ? それだけ。」
それだけってカッコつけちゃったけど。
みんなの前で彼女とイトコの区別をつけられたのはキツい。
彼女と言われた時の苺さんの顔を思い出す。
勝ち誇るなら良かった。なにくそって気持ちになる。
パッと輝くように笑んだ苺さんはすぐに申し訳なさそうな顔で僕を見た。僕が出来たのは虚勢を張る事だけ。
中身が無いからすぐしぼんじゃう。
封をしていない風船みたいに。
ぴしゅふりゅりゅりゅ~。
じわり、と天蓋がにじんだ。そしてゆがんでいく。
ダメだ。
蒼井さんに気がつかれたら、またお兄ちゃんが責められる。
石作りの部屋は音が反響しやすいし蒼井さんの部屋は近いから。
上掛けの布で口を塞いだ。
だって手だけじゃ足りそうも無いんだもん。
それの上から口に手を……片手じゃダメだ……両手で声が漏れないようにして。
目尻が熱くなった。今まで耐えれたのに。
ダメだよ。
目が赤くなったらバレちゃう。
それはダメなんだよ。
お兄ちゃんが蒼井さんに怒られちゃうよ。
ダメなんだよ。
落ち着いて、僕。
けど、次々、零れて。
目を閉じれば出てこない事に気づいて、視界は真っ黒に。
けど、止まらなくて。
固く閉じた筈なのに、頬を伝って落ちていくのが分かる。
ダメだ。ダメだよ。ダメなんだよ。もう、ダメ。
……我慢、限界だよう……。
ドアを叩こうした私は、かすかに聞こえてきた声にため息をついた。
司君が虚勢を張っているのには気づいていた。ただ、それが私に通じると思われていたのには驚いた。私と司君はそんな浅い付合いでは無いだろうに。何も言わなかったから心配していたら……やっぱり。
また、ため息が出た。
私には大事な司君があんな男の何処に惚れたのか、まるで分からない。まあ、あんな男でも彼女が誰なのかはっきりとさせたのは評価できるわ。これで司君も振り切れるかしら……できれば司君には忘れてもらって新しい恋を捜してもらいたいわね。
聞こえないように圧し殺して泣く司君を考えると、今は泣き声を聞かないふりをした方がいいかもしれない。
三度、ため息を吐いて中に入るのを諦めた私は客室に戻ろうとして隠れもしないで立つ三人の女の子に気がついた。
あの娘達も何とかしないと。
私は所在無げに立つ三人に手を振り客室に入った。




