戸惑いと裏切りと16
大変申し訳ありません。
前話、前々話、書き直しています。
書きかけのものを投稿してしまい申し訳ありません。
下着姿でくつろいでいたナナカねーちゃんの、ちょっと残念なところを見た僕は、真っ赤になって怒るナナカねーちゃんから逃げて一階に降りた。
僕的には、いつお兄ちゃんに見られても良いように、上下は合わせながらも、グッとくるような下着を着けようと思うんだけど生粋の女子高生しているナナカねーちゃんは違っていたみたい。濃いピンクのブラに白くて赤いリボンがついたショーツじゃあ色気が無いにも程があるよ。
僕の下着と言えば薄い布をヒモで締め付けるタイプ。上は胸と胸の間にヒモが通してあって縛るタイプで下は横のヒモをギュッと縛るヤツ。ただ、布が薄すぎてちょっとだけ透けているから、ナナカねーちゃんみたいにアピールしてない訳じゃない。
まあ、言ってしまえばタオルをヒモで縛り付けている様な物だから激しく動くと擦れたり動いて痛いんだよね。みんなは下着は元の世界のじゃなきゃって、時々戻って下着を買っているんだけど僕は誘われても行かないようにしていた。だってなんか……恥ずかしいし。さすがに5年も女していれば胸の重さにも動いた時に邪魔なのも慣れてきたけど、あの女性専門店が持つ独特な雰囲気は凄く苦手なんだよね……。
僕が今着ている服は、透けない程度の薄い布を巻き付けた様な服で、幕張で行われる祭りであればセクシー系のコスプレって納得してもらえる服だ。つまり、街中を歩ける服装じゃない。お兄ちゃんは多分、苺さんのところだと思うからナナカねーちゃんに服を借りたいんだけど、怒ってたからなぁ。貸してくれるかな?
そんな事を考えながら、とりあえずリビングに入った僕に
「あら、司くん……さん、かしら? いらっしゃい。」
リビングでお茶を飲みながらテレビを見ていた伯母さんが、大学生と高校生の母とも思えない可愛い仕草で僕を歓迎してくれた。伯父さん、つまりお兄ちゃんのお父さんが定年後も相談役として会社の役員をしているから、日中は暇なのよって笑う伯母さんは、家からめったに出ないで絵を描いてばかりいる僕のお母さんの代わりに僕を育ててくれた人でもあって、普段は僕も「おかあさん」って呼んでいた。……いろんな意味で。
ただ、今は……これからは呼んじゃおかしいよね? 僕も違う人とケッコンしなきゃなんだし。
「こんにちは、伯母さん。」
「あら……?」
小さな目を開いて驚いた伯母さんは、ちょっとの間の後
「オバサンなんて、年、感じちゃうから止めて欲しいかなぁ?」
コロコロ笑うってこういう事か、と思う柔らかい笑い方をしながら言った。
「いつもは“おかあさん”って呼んでくれるでしょう? 今さら変えないでいいのよ。」
傍まで歩いてきた伯母さんは、僕の手を掴んでソファーに座らせると、自分はそのままキッチンへ。
「もうすぐ、お昼でしょう? オバサン一人じゃ淋しいから付き合って頂戴ね。」
有無を言わせないのに優しい言い方に、服を借りたらすぐに出ていこうとしていた僕は
「あら、私も自分でオバサンって言っちゃった。司さんが言うから移っちゃたわ。」
テヘペロって言うのかな、ちょっと恥ずかしそうに舌をちょこっとだけ出して笑った伯母さんに先に言われて、断ろうとした言葉を呑み込んだ。
「ちょっと待っていてね? すぐに出来るわ。」
綺麗なまでに“機先を制する”っていうのをされた僕が、座らされたソファーから立って断ろうとすると、
「お母さん、私のも。」
グイッと肩を掴まれソファーに押し付けられた。
「あら、起きたの?」
「ん、起こされた。」
意外に強い力で僕を押さえつけるナナカねーちゃん。もちろん、抜け出そうと思えば抜け出せるんだろうけど、ナナカねーちゃんは僕が本気で抵抗する前に、
「アンタと言い、アニキと言い。なんかおかしいのよね……何かあったんでしょ?」




