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【書籍化】お飾り妻アナベルの趣味三昧な日常 ~初夜の前に愛することはないって言われた? “前”なだけマシじゃない!~  作者: 重原水鳥
第二章 ラングストン女子爵アナベルの新しい日常?

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【45】お披露目パーティーの準備

 今までより少し文字数少なめとなっています。

 自分縛りで文字数を決めていたのですが、これからは一話あたりの文字数の目安を以前より少なめでもいい事にして、更新頻度を上げられるように頑張れたらな……と思っております!!

 メラニアが帰った後、私は早速、招待状の準備の終わりにとりかかった。殆どは済ませていたが、実際に送る前にもう一度問題がないかを確認するのだ。

 そうして最終確認をして、決定していた人々に送る。


 実家であるブリンドル伯爵家は、両親とフレディ。


 元義実家でもあるライダー侯爵家は、ライダー侯爵様とライダー夫人。


 メラニアの婚家であるアボット家からは、ショーン様とメラニア。メラニアのお義母様であるアボット夫人は店の仕事があるから不参加になると思う、と事前に聞かされていたので、そちらはお誘いしない。


 メラニアの実家であるエディソン伯爵家にも招待状を準備した。メラニアのお父様とお母様、それから、メラニアの義理のお兄さんである次期伯爵様宛てのお名前で出している。


 それからブロック館長。丁寧に、丁寧に招待状の文面をつづった。


 スケルディング内務大臣補佐にも招待状を送る。勿論、お仕事が忙しいと思うので、無理にではない。


 それから、親族については両親とも話し合い、母の実家であるポーター子爵家を継いだ伯父一家にだけ、招待状を出している。来るかどうかは分からないが。


 また、領地の有力者にも手紙を出している。まだ挨拶に行けていない失礼を詫びながら、お披露目パーティーには是非来てほしいとつづった。儀式の時期も決まったので、儀式前には領地に一度行く事になるだろう。


 それから、ライダー夫人から紹介された、幾人かの貴族家にも招待状を送る。今まで接点がないので送って良いものか、不安がない訳でもないけれど……。ライダー夫人から、ラングストン子爵家から手紙が来るだろうからという連絡をしておくと言われているので、勇気を出して招待状を出す。


 勿論、全て招待状でしかないので、送った相手が全員参加する訳ではないだろう。日程などの都合もあり、お断りをしてくる所もいるはずだ。そう思いながら、私は出来上がった招待状をジェロームたちと最終確認しつつ、全て送ったのだった。



 ◆



 出し物については、普段何度も訪れている音楽団に連絡を取ってみる事にした。


 メラニアからは劇団――つまり女優たちや俳優たちを呼べばと言われていたものの、劇団はいつも忙しいと聞いていた。台詞を覚え、動きを覚え、沢山しなくてはならない事がある。

 今回予定している出し物は、歌だ。

 小さい演劇をしてもらう訳ではないのだから、女優たちに無理をさせるのはどうかと思ったのだ。


 その考え方で行けば、歌を専門にしている人間の方が良いだろうと考えた。


 そうして私はレンティアン音楽隊に連絡を取る事にした。


 レンティアン音楽隊は王都を中心に活動している音楽隊だ。私も何回も彼らが開く音楽会に参加している。


 ここに連絡をした理由の一つは、あくまで私側の感覚だけれど……懇意にしている音楽隊、と表現しても良いからだ。

 元々タイミングが会えば参加する程度だったのだけれど、ここに所属しているグレンダ・サムウェルの歌声が気に入って、それからグレンダが参加するときはいつも行くようになったのだ。

 グレンダは掛け持ちで活動をしていて、歌手としてはこのレンティアン音楽隊の開く音楽会で歌を歌い、女優としてはアデラ座で活動している。凄く活動的な人物だ。

 とはいえ、今のグレンダは売れっ子。女優としても、歌手としても忙しいから、彼女が歌いに来てくれるとは思っていない。

 彼女でなくとも、レンティアン音楽隊は歴史が長く、所属している歌手の方々は皆上手い。だから彼らの誰かが一人歌いに来てくれるだけでも十分に有難い事である。


 もう一つの理由としては、普段からグレンダ宛や音楽隊全体に対して花などを贈っているから、その延長で手紙を贈りやすい、というのもある。

 矢張り……今まで一度も連絡をしたことがない所に突如連絡をする、というのは私には難易度が高い。


 返事は割合、すぐに来た。


「アナベル様。レンティアン音楽隊からお手紙でございます」

「まあ、こんなに早く来るなんて」


 数日後、レンティアン音楽隊から返信があった。音楽隊隊長からの手紙で、私からの申し出を快く引き受けてくれるというものだった、のだが。


「えぇっ?」

「どうかしたのですかアナベル様」

「ジェ、ジェマ。ここを見てほしいのだけれど……」


 手紙を、ジェマに見せる。

 私の指さす先に目を走らせたジェマは、その文面を読み上げた。


「派遣させていただく歌手は、チェリー・アーモンドを予定しております……ですか? え、チェリー・アーモンド?!」

「その反応になるわよね!?」


 私はジェマと共に、そんな声を上げた。


 チェリー・アーモンド。

 レンティアン音楽隊に所属する歌手であるが、王都内でもかなり名の知れた歌手である。チェリーとアーモンドが好きなのか、いつも着る服にはチェリーの実か、アーモンドの花を模したアクセサリーや刺繍をした服を着ている女性である。

 どれくらい有名かというと……国王陛下の前で歌った事もあるぐらいの人。


「こ、ここまでの大物をお願いしたつもりでは……!」


 せいぜい、中堅ぐらいの比較的時間的余裕がある方が誰か来て下されば……ぐらいに考えていたのに。


 ……あと下種な話になってしまうが、これ、お呼びするのにかかる費用はいくらになるのだろうか。

 侯爵家からの慰謝料もあるので一度呼ぶくらいなら出来なくもないけれど、絶対に予定していた額をオーバーする。


 色々な意味で、素直に喜べず困惑する事態になってしまった。


 一人でうんうん悩むのは私の悪い癖なので、とりあえず、金銭的問題に関して手紙を返送する。

 私は腹芸はそう出来ないので、素直に、金銭的にチェリー・アーモンドをお呼びできる状況ではない……大きなホールでもない……と連絡をしたのだ。


 最終的に、私が元々想定していたのより少し額が高いものの、目玉が落ちるほどではない額で話がまとまる事になった。


 まとまった後も、私は眉間に皺を寄せながら、これが事実か疑ってしまった。


「チェリー・アーモンドよ? チェリー・アーモンドが、本当にこのぐらいの額で、あれほど小さなホールで歌うの?」

「きっとアナベル様の開くパーティーが、チェリー・アーモンドが歌うのにふさわしい場所だと判断されたのでしょう」

「どうして? ただの女子爵よ?」


 ジェロームの言葉にむむ……と考え込んでいた私だったが、ひらめいた。


「……ああっ、ライダー侯爵夫妻もいらっしゃるものね!」


 主催はともかく、参加者に凄い方がいらっしゃる。しかもどれぐらいの方が来て下さるかは分からないが、侯爵夫人がお付き合いしているような高位貴族もこられるのだから、確かにチェリー・アーモンドが来てもよいと思ってくださる事もあるのかもしれない。


「侯爵様と夫人はやはり凄いお方たちだわ……」


 私はしみじみと、そう呟いた。

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― 新着の感想 ―
自己評価低すぎぃ!!
[一言]  息子の教育には大失敗したけどね。  ライダー侯爵夫妻関係ない気がするなぁ。
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