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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

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友の願い、戦友の信頼を背負おう!!

 相変わらず、高速で移動しながらも、滑らかで、乗るものに負担をかけないヒポポの走り。

 私たちはヒポポの上で、手短に情報交換をする。


「ハロルドの傷、見た?」私は背後の二人にたずねる。


「ええ、あれは剣と槍の傷でした。私の未来視にも、ちらりと。敵は人間の兵士です」


「鎧を着た人間、たくさん」とロアも乗り出すようにして、前方を見ながら教えてくれる。


「やっぱり。ハロルドは、操られていると言ってた。多分敵は軍部の人間、それもハロルドの仲間がいるのかも。カリーンから強行偵察を頼まれたから一当てして行くけど、出来れば人死には無しの方向でいこうと思う」


「ルスト師がそう仰るのでしたら否はありません」


「うん、ロアも」


「──ありがとう」


 ハーバフルトンとそこに住まう人々を守るのに、一番安全とは言いがたい、私の提案。

 ハーバフルトンの事を思うなら、敵の戦力を離れている間に削るのが最善だ。そして私なら、それが出来る。


 しかし、ここまで知らせに来て、気絶する前に託された友人たるハロルドの願い。ハロルドは、迫り来る敵は何かに操られている仲間だから、助けて欲しいと言いたかったのだろう。


 それを、その願いを守ってあげたかった。きっとそれはカリーンも同じだと思う。なぜなら、敵の殲滅を言い渡されなかったので。


 そして、アーリとロアも、二つ返事で私の希望を認めてくれた。それは多分、二人からの信頼の証し。


 だから私は敵の殲滅ではなく、助けるための情報を得るために、動く。


 もちろん上手くいくとは限らない。

 その場合の責任を負う覚悟だけはしておく。

 どうにもならなかった時には、ハーバフルトンに被害が出る前に、私の全力をもって対処する。


 その決意を、ひっそりと固めておく。

 最悪、大地を、ハロルドの仲間の血に染める決意を。


「キュル」


 私の肩からヒポポの頭の上に移っていたセイルークが、私の方を向いて鳴く。どうも心配をさせてしまったようだ。怖い顔をしてしまっていたらしい。


「ありがとう。うん、大丈夫」


 私はセイルークにだけ聞こえるようにそっと呟くと、その頭をお礼がわりに軽く撫でる。


「キュ……」


 それでもまだ心配そうなセイルーク。


 それに答えようとした時だった。


 前方、地平線にうっすらとしたもやのような物が見えてくる。

 それは軍の行進によって巻き起こされた砂ぼこり。


「ヒポポさんの速度から計算して、軍の平均行軍速度でここからハーバフルトンまで二日半です」


 有能なアーリの助言を、ありがたく受ける。


 こうして、私たちはハーバフルトンへと迫る敵を発見する。

 予言された争乱が、始まってしまった。






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― 新着の感想 ―
[気になる点] ルストが対処可能な時にしなかった事が原因なのに 何でこんな他人事なんだろう?
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