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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

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身だしなみを整えよう!!

 私は礼服に着替えるために、自分の天幕で準備をしていた。


 無事にカリーンに隕鉄を渡し、新しい領都の候補地の下見の件も伝え済みだ。


 その際に無事にハルハマーの事も紹介出来た。


 ハルハマーは、新領都の最有力候補地の言わば隣に拠点を構えている事になる。

 どうも帰り道で話を聞いたところ、ハルハマーは古巣を追い出された後、タイミング的にはカリーンが領地としてこのアドミラル領を拝領する前に、ひっそりとあの地下に隠れ住み始めていたようだ。


 モンスターはびこる中、一人でスローライフを楽しみながら研究をしていたらしい。人間関係に悩むよりよっぽど気楽だと大笑いしながら言っていた。


 もとから破天荒な人物だとは思っていたが、最初その話を聞いた時は、私でも唖然としてしまった。

 なぜかその場に居たロアとタウラは、錬金術師ならそんな無茶も普通だろうに、という視線をハルハマーと唖然としている私の両方に送ってきていた。


 私は、ハルハマーほど突拍子もない事をしているつもりは全くないのだが。


 そのハルハマーは今頃カリーンと、今後のことについて、じっくりお話し合いの最中だろう。先住権を認めて貰う代わりに、知識と技術を提供すると息巻いていた。


 そんなことを思い出しながら、取り出した礼服。適当にたたんでいたせいで、ちょっとしわしわだ。


「はあ、街の命名式が重要なのはわかるけど、研究していたかったな。セイルークのステータスも解析は途中だし、《結合》のスクロールの安定性の改良に、多層式魔法陣を応用できないか試したかった──」


 私はローズの張り出してくれた蔦にその服を広げてかける。


 ──着るのもめんどくさいんだよな。まずは、シワとりでもするか。


 マスターランクの錬金術師として恥ずかしくない格好をしてこいとカリーンに釘を刺されたから仕方ない。私はスクロールを取り出し、展開する。


 ──帰りの暇な時にスクロールの解放した制限を戻しておいて、本当に良かったよ。


 礼服の裾を引っ張って、シワを伸ばした状態で発動。


「《固着》」


 手を離しても、礼服の伸ばした部分はそのままで固定されている。


 同じようにして、私はぐるっと全体的に礼服のシワをとる。


「まあ、こんなものかな」


 久しぶりの礼服に少し手間取りながら着込んでいく。

 ローズが適切にその蔦先でフォローしてくれて、何とか無事に全て着込んだときだった。天幕の外から声がする。


「ルスト師? 大丈夫ですか? もうお時間ですよ」とアーリが呼びに来てくれたようだ。


「あと少しです!」


 私は急いでこれまで貰った勲章を礼服に留めていく。最後にメダリオンを首にかけると、急いで天幕を出た。




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