帰ってきた!!
目の前を、赤みがかった茶色のストーンゴーレムの隊列が進んでいる。
それぞれが人の数倍の大きさのストーンゴーレム達。それが荷車を引き、その荷車の上には大量のレンガが積み上がっている。
出来たばかりの街道を、野営地の方へと向かうストーンゴーレム達の隊列はなかなかに壮観だった。
「野営地まで、あと少し」ロアが遠視を使いながら教えてくれる。
ハルハマーを加えた私達は、カリーンから依頼された仕事を終え、野営地へと帰るところだった。
「隣の領地からの街道、無事に完成したみたいだな。ルストの錬成獣達が整地をしたおかげか、ずいぶんと完成が早いな。それにしても、このストーンゴーレム達はなんなんだ?」
タウラが物珍しそうに見まわしながら、たずねてくる。
「ああ、これは正確にはブリックゴーレムですね。レンガ製の一種の錬成獣ですよ。ただ、見たところ、かなり簡易的ですね。数日動いたらレンガに戻るぐらいの作動設定にして、その分大量に使役しているのかな」
「ああ、これは野営地に着いたらブリックゴーレム自体も建材にするんだ。辺境での都市開発で、たまに使われる手法さ」
私がタウラに答えるのをハルハマーが補足してくれる。
私達は話しながら、街道をいくストーンゴーレム達の邪魔にならないように気を付け進んでいく。
やがて見えてきた野営地はすっかりさま変わりしていた。
レンガの壁が野営地だった場所を囲い、沢山の様々な職業らしき人々が立ち働いている。
そこはすっかり街と言っていいほどの急発展を遂げていた。
天幕もほとんど片付けられたのか、見当たらない。その代わりにレンガをベースにした建物が無数に建っていた。
そのまま壁に作られた門へと進む私達。
「これはルスト師! そしてロアさん。お帰りなさい。神官騎士のタウラ様ですね。ようこそいらっしゃいました。そちらの方は?」
門番をしているのだろう。入り口に立つ顔馴染みから、挨拶と質問をされる。
「ルストの知り合い」
ハルハマーの事を簡潔に伝えるロア。
私もハルハマーも、ロアの物言いに思わず苦笑いしてしまう。
「こちらはハルハマー師。私の恩師なんだ」
仕方ないと、私が改めて門番にハルハマーを紹介する。
「それはそれは! ハルハマー師も、ようこそいらっしゃいました。それも、ちょうど良い時期ですよ」
「ちょうど良い時期って?」
ロアが門番にたずねる。
「もうすぐ、イベントがあるんです。街としての命名式ですよ。ここにも、ついに名前がつくんです。アドミラル領、最初の街になるんです」
楽しげに教えてくれる門番。
それを聞いてぱっと顔が明るくなるロア。私も皆の明るい雰囲気に楽しくなりながら、門番と軽く情報交換をすると、別れを告げる。
そのまま皆で、街中へと進む。
門番に教えて貰ったカリーンの新しい仕事場へと向かった。




