表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/462

ハルハマーと立ち話!!

「誰?」


 警戒を解かないロア。タウラも剣を構えたままだ。


「ああ、ええと。こちらはハルハマー師。私が錬金術協会に入った時からお世話になっていたんだけど──」


「ハルハマーだ。よろしくな、べっぴんの嬢ちゃん達。ルストはなぁ、朴念仁の研究バカだが、なかなかいい男だぞ」と私を指差しながらそんな事を言うハルハマー。


「……何か誤解してますよね、ハルハマー師」


「何を言っとる。お前が朴念仁の研究バカで、女っけがからっきし無かった事の、どこに間違いがある? まあ、それもわしが左遷先を辞めた後で、女っけがからっきしって部分は随分と変わったみたいだがな!」


「えっ、ハルハマー師も辞めてたんですか!?」


 私は思わず反論するよりも、驚きが勝ってしまう。


「おう、もう辞めて一年は経つな。あんな所で飼い殺しなんて真っ平ごめんよ。なんだ、もしかしてルストも協会を辞めたのか?」


「はい、学生時代の友人に仕事に誘われて。すいません。連絡もせず」


「いいさいいさ。連絡をしなかったのはこっちもさ。それにわしに義理立てして、あんな所で無駄に腐ってるよか、よっぽどいいさ」


「ありがとうございます。そう言って頂けるとほっとします。本当はハルハマー師の遺してくれた基礎研究科を守りたかったのですが、力足りずで結局、基礎研究科は解体となってしまいました」


「そうか、それは随分と苦労をかけたようだな。なーに。大事なのは人さ。組織なんて、人がいてなんぼのもんよ。ただの器に過ぎん。だから気にするな。それよか、お前さんの研究はどうなった? 辞めた後は?」


「はい、実は辞めた後の方が研究は進展してます」


「ほう、そこは是非とも詳しく──」


「ごほんっ。ルスト師? その話は、長くなるのか」


 とタウラの咳払い。


「いや。えっと少し、なるかな──?」


 私のそんな返事に、にっこり笑ってこちらをじっと見つめるタウラ。

 無言の笑顔。

 顔の造形が整っているばかりに、迫力がある。


 思わずそらした視線の先には、こちらは無表情のロア。眼鏡ごしに見つめてくる瞳が、冷たい。


 そんな私の肩を、バシッと叩きながらハルハマーが笑い声をあげる。


「は、は、は! 愉快愉快。頑張れよ、わこうどっ! さあ、立ち話もなんだ。お茶でもご馳走しようかの。それと、わしがここに居る理由も説明してやろう」と最後の台詞はロアとタウラに向けて告げると、すたすたと歩き出すハルハマー。


 私はその提案に乗って、その場から逃げるようにして、ハルハマー師のあとを追う。


 ロアとタウラもさっきまでの雰囲気はどこへやら、いつもと変わらぬ様子で、私たちについてくるのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ