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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

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候補地を探索しよう!!

「あれ、見える? あそこが一つ目の候補地」


 ロアの指差した先には遺跡のような建物群。


 新しい街の候補地を探すというカリーンの依頼だが、さすがに適当に領内を回るような、非効率的なものでは無かった。カリーンが説明してくれなかっただけで、ロアとアーリで前もって選定してくれた候補地が複数あり、そこを見ていく予定となっていたのだ。

 そのうちの一つ目が目前と迫っていた。


 私はロアの声に振り返る。


 さすがにヒポポに三人乗るのは手狭なので、私は《結合》のスクロールを改良して、ヒポポブラザーズを二体、ロアとタウラの騎獣として呼び出していた。


「了解。このまま進むけど問題ない?」


 二人の様子を伺いながら訊ねる。


 ロアはどこか生き生きとしている。早速自分の乗るヒポポブラザーズに名前をつけたようで、上手く乗りこなしているようだ。

 逆にタウラは騎獣に対して少しぎこちない感じがする。タウラも騎士と言えど、神官騎士は騎獣に乗っての戦闘はしないのだろう。


 そんな事を考えているうちに、私達は遺跡群の中へと入り込んでいく。遺跡と言っても建物のような物はあまりなく、石垣らしき物は結構残っている。

 ただ、魔素の濃い辺境の特徴として植物の侵食が少ないこともあり、地面を覆う石畳等はかなり綺麗に残っている。こつこつとヒポポ達の歩くリズムで音が鳴る。


「ここら辺の道の整地されている部分とか、そのまま流用出来そうだね」と、私はヒポポから身を乗り出しながら下を見る。


「海の近くで、ぎりぎり半魚人達のテリトリーからは外れているのもポイント」と補足説明してくれるロア。


「それで、どう?」


「うーん。この手の遺跡で、モンスターが生息していないとなると逆に怪しいんだよね。モンスターが住まない理由は探る必要があると思う。それ以外はかなり良いんじゃないかな」


 私は辺りを見渡しながら答える。


「カリーン様も海は狙っているって」とロア


「まあ、そうだろうね」


「海を狙うとは?」とタウラが不思議そうに訊ねてくる。


「カリーンは将来的には海岸線沿いに拠点を持ちたいと思っているんだろうね。海は塩の生産に、港にと魅力的だから」


「ここら辺の海は、魔族と、半魚人のテリトリーなのでは?」


「まあ、魔族殺しの英雄だから」と私は苦笑いしつつ答える。


 なんとなく無茶ぶりされている将来の自分の姿が見えるようで。


「ふむ、なるほどな。そのための橋頭堡(きょうとうほ)と言うわけか。それで、これからどうするのだ?」


「まずは調査のための拠点を作る。ちょうど良いからあの建物にするか」


 私はたまたま目についた比較的、屋根と壁が残っている建物を指差した。

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