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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

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海を目指そう!!

 私はヒポポとロアと一緒に荒野を進んでいた。上空をセイルークがのんびりと飛んでいる。


 少し離れた所には川。野営地の近くを流れているものだ。その川沿いに下流へと進んで数日が経っていた。


 時たま、川からはアーマーサーモンが飛び出し襲いかかってくる。それ以外にも、蔦蛇やら、ツインラインホーンにヘルホースなど遭遇するモンスターは見慣れた面子ばかりだ。


 カリーンから新しい仕事を言い渡された時、新素材を得られるかもと内心楽しみにしていたので、今のところ少し物足りない。


 モンスターの襲撃自体はロアの魔眼と、ヒポポの対応能力で楽々と退けられている。セイルークは高みの見物だ。

 ロアは今も周囲に警戒の目を光らせてくれている。文字通り、魔眼に魔素のきらめきが宿っているのが見える。


 ──眼鏡の魔道具の調子は良さそうだな。透視と遠視を、自身の限界の範囲内で、無理なく同時運用出来ている様子だ。


 私がこっそり自分の魔道具の出来に満足していると、ふと、鼻孔をくすぐる磯の香りを感じる。


「ルスト師」


「ああ、海が近そうだね」と私はロアに返事をする。


「はい。それで、この先で人が戦っているみたい」と、先を見据えながら話すロア。


「え! まさか。モンスターの擬態とか──だったらロアにはわかるか」


 無言で頷くロア。


「うーむ。よし、警戒しつつ、急いで向かおう」


「わかった」と素直に頷くロア。


 私はヒポポに乗るとロアへと手を差しのべる。ロアは素直に私の手を掴んで後ろに乗る。


 ──少し前だったら走るって言って断られてただろうな。


 私はそんな事を考えながらヒポポの背中を軽く二度叩く。

 私の合図で一気に加速するヒポポ。海が近いせいか、土質がこれまで通ってきた荒野とは少し違うようだ。舞い上がる砂ぼこりが少ない気がする。


 ◆◇


「あれです!」と私の後ろから槍で教えてくれるロア。


 ちょうど海が見えてきた。

 私はロアの示すほうへとヒポポの進路を変更する。


 段々と現場へと近づいていくヒポポ。

 どうやら波打ち際で戦闘しているようだ。波の音に混じって剣の打ち合う音が聞こえてくる。見えてきた人影は、まるで海で遭難して打ち上げられた後のようにも見える。そこに襲いかかっている複数の存在。魚の顔に人間と似た体。どうやら半魚人のようだ。しかもどの半魚人も武器を手にしている。


 近づくにつれ、戦う人影の詳細が見えてくる。一番目立つのは、砂と塩にまみれても日の光を反射している、銀色の髪。

 そして神官服のような青い服を着ている。


「あれは、まさかタウラか!?」


 私は思わず驚きの声をもらしてしまう。

 確か王都に向かうと言っていたタウラがなぜこんなところで戦っているのか、疑問は尽きない。

 しかし、何よりも助けるのが先かと、急ぎヒポポを突っ込ませる。タウラへと襲いかかっていた半魚人達を蹴散らすヒポポ。


「タウラ! 大丈夫か?」


「ル、ストか。どうして、ここに……」タウラの声に力がない。


 私はヒポポから飛び降りると【転写】のスクロールを展開し、タウラの状態を確認した。









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