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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

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三角ボタンを押してみよう!!

「どうされたのですか、ルスト師」


 アーリが私の顔を見て、心配そうに小声で聞いてくる。


 どうやらポカンとした顔をしてしまっていたようだ。アーリの視線を意識して、急いで顔を引き締める。


「いや、何でもないよ。さっきのセイルークのブレスを思い出してただけで。セイルーク、次からは勝手にド派手な事するのは避けてほしいな」


 私は最後の方は、肩に乗ったままのセイルークへと語りかける。


「キュルルルー」と答えるセイルーク。その近くには相変わらず点滅を続ける三角のボタンらしき物が浮いていた。


「セイルーク、大活躍でしたね。撫でてもいいですか」と私に聞いてくるアーリ。


「まあ活躍したと言えば、そうだけどさ。セイルーク、アーリが撫でたいって」


「キュッ」と首をアーリの方へと伸ばすセイルーク。


 どうやら撫でられたいらしい。その動きに合わせて三角ボタンも移動する。


 ──ほう、セイルークの頭の位置が基準になっているのか。そして、あんなに不自然なのにアーリも周りにいる兵達も誰も全く反応しないのか。この前の半透明のプレートと同じなのか?


 私より背の低いアーリが少し爪先立ちをして、一生懸命セイルークを撫でている。セイルークも満更でない様子。


 私は少し屈んであげながら、点滅する三角ボタンを押すか迷う。


 ──多分、押すとこの前の半透明のプレートが出る可能性が高い気がする。撫でる振りをすれば周りから見ても違和感無いだろうし、出てきたプレートもきっと見えないはず。ただ、いつまでも持つかが問題だよな。押さないと消えるのか。はたまた、プレートを出したら一定時間で消えてしまうのか。うーん。


 私は悩むが、結局、先にやるべき事を片付けてしまおうと、

 穴を塞ぎに向かう事にする。


 セイルークは余程、撫でられるのが良かったのか、アーリのところに残るようだ。


 私は軽くなった肩をすくめると、ヒポポを呼び、更にスクロールを数本取り出す。今回は通常の錬成獣を一体ずつ普通の『顕現』のスクロールだ。

 それでヒポポと同じくらいの体格のヒポポブラザーズ達を数匹呼び出すと、穴埋め作業を開始した。


 ◆◇


 日も落ちた頃、私はアーリにお礼を伝えて別れた後、自分の天幕へと戻っていた。道路事業の手伝いは基本的に日帰りで行う事になっていたのだ。まあそれもヒポポの俊足あってのことなのだが。


 心配していたセイルークの三角ボタンだが、消える事無く点滅を続けて存在していた。


「さて、セイルーク」


「キュ?」


「そこの三角のボタンは何かな」


「キュッキュッ!」


 尻尾をぱしっと打ち付けるセイルーク。


 ──うーん。相変わらず何言っているかさっぱりだ。まあ、いいや。取り敢えず押してみるか。


 私は点滅する三角形に指を伸ばす。大人しくその様子を見ているセイルーク。


 私の指が三角形に触れた瞬間、それは開くようにして、前も見た半透明のプレートへと変化した。


 ──やっぱり! ここまでは想像通りだ。……うん?


 私はまじまじと目を凝らす。プレートに書かれた文字は相変わらず、読めないまま。しかし、今回は、その読めないはずの文の一部の意味がなんとなくわかるようになっていた。


 まるで、二重写しになっているかのように、元の読めない文字の上に、意味のある言葉が浮かんでいる場所が、あるのだ。


 一番読みやすい、見出しらしき文へと視線をおくる


「これは、ステー、タスって書かれているのか?」


 私が半透明のプレートに夢中になっている様子をセイルークは静かな様子でじっと見つめていた。

 




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