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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

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ヒポポブラザーズ!!

「『複合展開』」


 私の両手から八本のスクロールがふわりと浮き上がると、スルスルと開いていく。くるくると私を中心にして等間隔で円を描くようにして、八本のスクロールが回転を始める。


「『結合』」


 私は右手を伸ばし、次のコマンドを唱える。八本のスクロールを結ぶようにして、空中に魔法陣が描かれていく。


 八本のスクロールそれぞれを頂点にして、八角形の魔法陣が完成する。

 スクロールが移動し、それに伴って魔法陣が伸ばした私の右手の前へ。


 そこへ振り下ろされてくる、巨大モグラモドキの爪。


「『連続顕現』ヒポポブラザーズ」


 巨大モグラモドキの爪が、魔法陣からにゅっと現れた巨大な前脚に、受け止められる。

 ドンッという衝突音。吹き抜ける風が私の前髪を揺らす。


 魔法陣から、すぐさま前脚の本体が現れる。その出現の衝撃だけで、巨大モグラモドキが吹っ飛ばされていく。

 現れたのはヒポポの弟分。見た目もヒポポとそっくりで、ただその体躯だけは巨大モグラモドキを上回る大きさの、八本足のカバだ。


「グモー」雄叫びをあげ、そのヒポポブラザーが巨大モグラモドキを踏み潰そうと、駆け出す。その一歩に、大地が鳴動する。

 しかしそれだけでは終わらない。魔法陣からは大小さまざまな大きさのヒポポブラザー達が次から次へと現れる。

 小さいものは私の腰ぐらい。

 ヒポポブラザーズが、倒れこんだままの巨大モグラモドキへと殺到する。

 そして始まる、踏みつけによる蹂躙。

 最初に顕現した巨大ヒポポブラザーによる、渾身の一踏み。

 それは容易く巨大モグラモドキを貫通し、大地に大穴をあける。


 四肢が千切れ飛ぶ巨大モグラモドキ。


 本体から離れた部分がそれぞれモゾモゾと動き出す。しかし、それらが十分に動きだす前に、後続のヒポポブラザーズが蹂躙の現場に到達する。


 巨大モグラモドキを構成していた無数のモグラ達は、一匹残らずヒポポブラザーズの脚によって踏みつけられ磨り潰されていく。


 その時だった。踏みつけを逃れ、ふわりと浮き上がり離れようとするものが見える。

 巨大モグラモドキの頭に生えていたキノコだ。

 笠の部分を大きく広げ、風に乗るようにして浮かび上がったキノコ。


「キューーー」


 肩にとまったままだったセイルークが高らかに一鳴きする。ふわりと飛び上がるセイルーク。

 次の瞬間、くわっと広げたセイルークのあぎとの奥に、急激な魔素の高まりを感じる。

 光が収束していく。


「え、ちょっ! 皆、伏せ──」叫びながら、私も伏せる。


 一瞬の静寂。


 そして、目を焼くほどに輝く光が、セイルークの口から飛び出す。辺りを煌々と照らしながら、それは一直線に、空に浮かぶキノコへと到達する。


 伏せをしたヒポポブラザーズ達の頭上、光は、キノコを貫通し焼き尽くし消し炭すら残さず、空へと消えていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] キノコ雲にはならなかったか、なったら足元にいる皆吹き飛ばされるからたまったものではないけども。
[一言] 滅びのバーストストリーム
[一言] 光のブレス、っていうか、ビームでしょうか。ドラゴンすげぇっス。(語彙力)
感想一覧
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