表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/462

巨大モグラモドキを討伐しよう!!

「敵が来る! 工兵を中心に陣を組めっ!」「魔法銃隊、隊列、並べ!」


 一気に喧騒に包まれる領軍の兵士達。測量道具を置いて移動を最優先する者。大声で指揮を飛ばす指揮官らしき者。


「錬成獣、出します!」と目の前の錬金術師達がスクロールを取り出す。次々に召喚される領軍所属の熊型の錬成獣達。

 熊型の錬成獣は、軍属の錬金術師が扱うものとしては割りとポピュラーな錬成獣だ。手先も器用で力仕事も出来る。

 ただ、見ていると一人一体が限界の様子。


 私も、これはいざとなれば手伝いがいりそうだと、スクロールを取り出し構える。


「出現地点、あちらです!」


 アーリが指差した先に、皆の視線が集中する。


「カウントします! 三、二──」


 大地が隆起する。それは小山と言っても良いぐらいの大きさ。


「ゼロ!」


 爆発したかと思うぐらいの土砂が、周囲に飛び散る。もうもうと砂ぼこりが巻き起こる。

 その砂ぼこりの向こう、現れたのは巨大な影。


「魔法銃っ、てぇっー!」指揮官の指示が響きわたる。


 現れた影に向かって魔法銃による魔素の弾丸が一斉に放たれる。


「着弾確認! 効果、軽微です!」観測手らしき兵の叫び。


 砂ぼこりが晴れ、現れたのは、見た目はただただ巨大なモグラだ。


「前に遭遇したモグラモドキは複数のモンスターが混ざっていたのに、あれはほとんど混ざってない?」


 その姿を見て、私は思わず呟いてしまう。よく見れば、その頭の上には真っ黒で巨大なキノコが生え、帽子みたいに見える。しかしあとはモグラにしか見えない。


「第二射、構えっ! てぇっー!」そこへ再び着弾する魔素の弾丸。

 その射撃によって、巨大モグラモドキの表面が僅かに削れ落ちる。


「着弾確認! やはり効果軽微です! あ、あれは。敵は群体型のようです!」


「群体型か。また厄介な」


 領軍から、ざわつきが起きる。


 どうやら混ざりものが少ないのではなく、無数の普通サイズのモグラがくっついて、巨大なモグラの形を形成しているようだ。


 魔素の弾丸の着弾面をよくよく見ると、攻撃で剥がれ落ちた表面のモグラの下に、別のモグラの姿が見える。


「錬成獣、前へ!」掛け声と共に、軍属の錬金術師達が熊の錬成獣を巨大モグラモドキへとけしかける。

 しかし、残念ながらサイズが違い過ぎる。その錬成獣の熊の爪は、やはり巨大モグラモドキの表面のモグラを削るだけだった。すぐに巨大モグラモドキの前腕の一薙ぎで、吹き飛ばされてしまう熊たち。


「私なら倒せると思います! 良ければ任せて下さい!」と私は領軍の指揮官らしき人へ声をかける。これ以上は被害が出そうだと、思わずしゃしゃり出てしまう。


「誰だっ!」ばっとこちらを振り向く指揮官。その視線は私の肩にとまったままのセイルークへ。


「あなたは! わかりました。お願いします。全軍、警戒しつつ距離を保て!」


 領軍の兵達が下がり、開けた空間。

 その中心には、こちらを見下ろす巨大モグラモドキ。強い敵意をこちらに向けているのがわかる。


 私はゆっくりと歩き出しながら、準備していたスクロールを展開した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ