表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/462

襲ってきた敵を排除しよう!!

「どこからっ?」


「下です!」とアーリは、叫ぶとともに手にした槍を突き出す。


 槍の先にまとわせた魔素がするすると伸びる。

 その伸びた先、ちょうど地面がぽっこりと盛り上がってくる。鋭く伸びた魔素が、盛り上がった土へと突き刺さる。


「堅いっ。──ギリギリ仕留めました。敵はモグラ型です」とアーリ。


 地面の盛り上がりが止まっている。


 アーマーサーモンを軽々対処していたアーリがギリギリと言っているのだ。私は警戒レベルを上げることにする。


「セイルーク、高く上がっていて!」と私は上空に避難しているように伝える。


「次、二体来ます。左前、お願いしますっ!」とアーリ。


 左右の地面が二ヶ所、盛り上がる。アーリが槍を繰り出す。


「ヒポポ、左だ。頼む!」


 地面の盛り上がりが割れ、モンスターが飛び出してくる。それは、モグラをベースに、何種類かの生き物が混じった姿。まるで、モグラモドキだ。


「ぶもーっ!」


 ヒポポの踏みつけ攻撃が、飛び出してきたモグラモドキの鼻先をとらえた、かに見える。

 しかし、モグラモドキに掠りはするものの、回避されてしまう。上に乗るアーリの攻撃の邪魔にならないように、タイミングが遅れてしまったのだ。

 するするとヒポポの足に取りつき、登って来るモグラモドキ。腹部から虫の足が生えているようだ。カサカサと素早い。


 私が急ぎスクロールを取り出した時だった。

 目の前を白い影がよぎる。


「セイルーク!?」


 上空にいたはずのセイルークが急降下したかと思うと、その鋭い爪を振るう。

 ヒポポの足に取りついていたモグラモドキが一瞬でバラバラになる。


「すごい。これがドラゴンか……」思わず、私は感嘆の声をもらしてしまう。


 悠々と上空に戻っていくセイルーク。


「セイルーク、ありがとう!」


「キューーー」


 次々に地面が盛り上がり、モグラモドキが現れる。しかし、上空からのセイルークの援護もあり、全て難なく撃退していく。


「もう、大丈夫です」と未来視が終わっただろう。アーリから襲撃終了の宣言が出る。


「ふぅ。ありがとう、アーリ。ヒポポもセイルークも、お疲れ様」と皆を労る。


 尻尾をフリフリ返事をするヒポポ。セイルークも地面に降り立ち一鳴きする。


 ヒポポとセイルークが、アーリの倒したモグラモドキの一体に近づいていく。


 鼻先をそのモグラモドキへと近づけると、ぶもぶも、キュウキュウとまるでなにやら相談しているような素振りを見せるヒポポとセイルーク。


「何かあるのでしょうか」と不思議そうにそれを見つめるアーリ。


 私は念のため、採取用の純化処理を施した手袋をはめると、転写のスクロールを展開しながらモグラモドキの死体を観察していく。


「どうも、キメラタイプのモンスターですね。モグラとネズミとムカデかな。それに、腹部の真ん中にあるこれは……キノコかな? 四種が混じっているモンスターのようですね。ここら辺ではあまり見かけませんよね」


「はい、私は四種も混じったモンスターは初めてです」


「新種っぽいですね。それでヒポポとセイルークは何が気になるの」と私が訊ねる。


「ぶもぶも……」と嫌々するみたいに首を振るうヒポポ。


「ふーむ。ヒポポは嫌悪感らしきものを感じているみたいですね。転写のスクロールで見た限りは毒とかは無さそうだけど」


 私はそっと地面にモグラモドキを置く。


「素材回収もやめた方が良いの?」


「ぶもぉ……」と自信なさげなヒポポの声。


「どうもヒポポ達も、はっきりとは分からないみたいですが念のため燃やしておきましょう。少し時間大丈夫ですか?」


「はい、お手伝いします」とアーリ。


 私は防護処理の施されていない物で触らない方が良いとその申し出は断る。先に念のためヒポポとセイルークの手足だけ、少量のポーションをかけておく。

 それを済ませてから、モグラモドキの死骸を全て集めると、ヒポポの掘ってくれた穴に入れ、火をつける。

 燃え立つ炎。

 その炎の中で、モグラモドキ達の腹部からポロっと落ちたキノコが、燃え上がる直前に一瞬動いたかのように、私には見えた。













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ