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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第一章

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ヒポポえらい!!

 私が帰りもスタミナポーションのお世話になって、倒れた神官騎士の女性の元に戻ると、ヒポポの勇ましい鳴き声が聞こえてきた。


「ぶもーっ」


 ヒポポの右前足、高速の踏みつけ。

 どしんという音。

 するりと、何かの影が、ヒポポの足元をすり抜けて行くのが見える。

 舞い上がる砂ぼこり。ヒポポの息が荒い。

 私はとっさに手にしたままのスタミナポーションをヒポポに投げる。

 くるくると回りながら飛ぶ、ポーションの残ったボトル。

 そのままちょうど、ヒポポの背中に命中する。

 スタミナポーションがヒポポにかかる。


「ぶもぶもっ!」


 ヒポポの喜んでいるような声。そしてその動きに、キレが戻る。


 ヒポポは後ろ足二本で立ち上がると、一気に地を這う影へと飛びかかる。飛びかかりざまに残りの六本の足で繰り出される、連続した踏みつけ。


 ドドドドドドドドっという地響きが、私の所まで伝わってくる。


 何かの体が、踏み潰されたようだ。

 そのまま勝利の雄叫びを上げる、ヒポポ。

 私は急ぎ、ヒポポの元へ。


「大丈夫か? 何がいた、ヒポポ」

「ぶもぶもっ」


 器用に自らの右前足をあごで指し示すヒポポ。


 私は片ひざをつき、そっと様子を窺う。

 ヒポポがゆっくりと足を上げると、そこには真っ黒なシミが。


「これは、例の使い魔か! このタイプだと呪術師のやつだな。よくやったぞ、ヒポポ」


 私はヒポポを誉めておく。


「ぶももー」


 誉められて嬉しそうなヒポポ。尻尾がひくひくしている。


「こいつがきっと神官騎士の彼女を狙っていた使い魔、だよな。やっぱり近くに潜んでいたか」


 私はとりあえず完全に潰れているのを確認すると、そのまま女性への治療を始めることにする。

 とはいっても、ポーションをかけるだけだが。


「失礼します」


 そう声だけかけ、脇腹を探る。


 神官服を丹念に探っていくと一条の引き裂かれた破れが見つかる。その下にある、うっすらとした切り傷。私は先ほど作った金色のポーションを一滴、傷へ垂らす。


 皮膚についた一滴のしずくから金色の光が溢れだし、彼女の全身をおおう。光が消えた後には、つるりとした皮膚が再生されている。

 私はいったん、数歩、後ろへ。


 その直後、私の想定通りに、彼女は目を覚ました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ヒポポは後ろ足二本で立ち上がると ⇒八本足なら前足と後ろ足各四本と思うのですが、そもそも八本足で支えてる胴体はそこそこの重量だと思うと「後ろ足二本」で立ち上がるのはちょっと不自然かと。…
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