SS世界を渡りしもの《第四世界》
ヤィードの話に顔を見合わせる私とヒルダちゃん。
ヒルダちゃんは不思議そうにしながらもやはりそこに疑いの色は見えない。
そもそも、こんなところで初対面の私たちにヤィードがこんな壮大な嘘をつく理由が思い浮かばなかった。
「最近、別の方からも違う世界が存在すると言うお話を伺ったばかりです。なので、ヤィードさんのお話は大変興味深いです」
「そうかね」
「それで、ヤィードさんはその別の世界の私のパパをご存じだったんですよね。その世界ではどんな人でしたか?」
「優秀だったよ。優秀すぎるくらいにな」
言葉少なくつげるヤィード。そのままお茶に口をつけて黙ってしまう。
なんとなくそれだけで私は二人の間に何か確執のようなものがあったのだと察する。
「あの、私の父はどうでしたか?」
沈黙を破って次に尋ねたのはヒルダちゃんだった。
「リハルザムは誇り高い男だったよ」
「そう、ですか」
ちょっと嬉しそうなヒルダちゃん。
「それで、お嬢さん方は西方へ行くのだったか」
「そうです。神喰いに追われて。こちらへと避難させていただきました」
「なん、だとっ。アレイスラかっ」
「ヤィードさん、ご存じなのですか」
「ああ。こちらの第四世界にきて最初に気がついたのがアレイスラ教がまるまるローズ教に変わっていたことだったからな。まさかアレイスラが世界を喰らう邪神とはと驚いたもんだ。そうかその時が来たか。神喰い相手では、外には戻れんというわけか」
「そうです。幸い、この地下水脈ダンジョンは水の流れが西方へと続いていたと聞いたことがありまして」
チッタはヒルダちゃんと違い、ヤィードの前の世界の話をあまり信じていないようだ。それでも、平静な顔を作ってヤィードと話を続けている。
「確かに地下水脈は西へと流れている。しかし、水脈はここよりもうんと下だ。それにそこはまだダンジョンが枯れておらんぞ」
「元より覚悟の上です」
「……そうか。ふん」
鼻を鳴らして席を立つヤィード。そして何か部屋の隅の物をガサゴソと漁り始める。
「あった。これを持っていくといい」
そして何か筒状の物を私へと見せてくる。
「これは?」
「第三世界から持ち込めた唯一の品だ。私が第三世界で死んだときに懐に入れていた魔導具のパイプだ。それがなぜかこちらの世界で気がついた時にも懐にあってな。これは、第三世界のルストも設計、作成に携わっている。お嬢さんたちの役に立つはずだ」
そういって、パイプの繋ぎ目に腰から抜いたナイフの歯を差し込むヤィード。
パキッと音をたててパイプが半分に開く。
「これだ。この基板。魔素を取り込む効果のある基礎研究課のものだ」
魔導具から取り出した四角い小さな板を、ヤィードはそっと、差し出した私の手のひらへと置く。
私の四力の魔眼には、それは確かにパパの作ったもの特有の魔素の残滓が見てとれた。
本日はコミック五巻の発売日となりますっ!
ついに表紙に登場したヒポポが、とても眼を引く表紙が目印ですっ。
五巻はあとがきにぐんたお様が作画についてのおまけページつきです!
是非是非お手にとって頂けましたら幸いです~




