表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

435/462

三つのより糸

「ローズ!」


 私の声に応え、神域を構成するのと同じ金色の光をまといしローズの蔓が、アレイスラへと迫る。

 神域「カゲロ機関分室」と一時的に同一化した元の世界。その世界を埋め尽くすように存在するローズの蔓。

 今まさに世界を統べていると言っても過言ではないローズの蔓が、いくつもいくつもアレイスラへと取りついていく。


 その両手から溢れる『アレイスラの民』ごと、全てを包み込むようにして、ローズの蔓がアレイスラへと巻き付こうとする。


 一瞬、アレイスラの全身を覆い尽くすことに成功するローズの蔓。


 しかし、とどまることをしらない『アレイスラの民』の流出が、ローズの蔓をゆっくり、ゆっくりと押し返し始める。


 ぎちぎちと軋みをあげるローズの蔓。


 いったんは絡み付いたローズの蔓の束縛が、ジリジリと、その内側から溢れる『アレイスラの民』の圧力で、強制的に伸ばされ、繊維が千切れるようにしてほどけ始めてしまう。


 同時に、蔓がまとった金色の光が、少しづつ少しづつ、アレイスラの民のその虫の脚のようなものによって捕食され始めていく。


「プレート、状況を。現在、不足している要素は?」


 私は目の前に控えるように浮かぶプレートへ確認する。

 素早く文字をえがき、私の声に反応するプレート。


『アレイスラの民の増加速度が急増。演算します。『魔素』、『呪い』、『加護』の全てが不足しています。抑えきるには──』

「プレート。姉妹の塔にある全てのポーションを使用」

『──姉妹の塔に保管されている最高級ポーション一万本を使用します』

「プレート、世界中に仕込まれたアレイスラの民の処理は?」

『処理、全て完了済みです』

「良かった。姉妹の塔を含む神域『カゲロ機関分室』を構成する全てを加護へ変換」


『カゲロ機関分室の消滅に伴い、同一化した世界が元に戻ります。『カゲロ機関分室』に在る存在のうち、加護へと変換されないものを全てこの世界へと顕現させますか』

「実行してくれ」


 世界が徐々に元へと戻っていく。まず、ローズの本体たる一輪のバラが私の手のなかに顕現する。


 そこから伸びる、たった一本の蔓。


 しかし、それは直前までにアレイスラを束縛していた全てがそこに集約された、一本の蔓だ。


 さらにそこにプレートから上乗せされた魔素のきらめきと、加護の赤き光が螺旋を描くようにして渦巻く。


 同時に世界が完全に元へと戻る。

 ローズの蔓が消えた海岸の砂浜の上には、私が神域へと避難させていた人々の姿もあった。

 当然、カリーンたちもそのなかにいる。


「黒呪布を呪いへと還元」

『還元完了。必要量の七パーセントを確保』


 プレートへ次の指示をする。私がまとっていた黒呪布のマントがするするとほどけ、手元から伸びたローズの蔓へと溶け込んでいく。

 魔素と加護と合流したそれが、一筋の金色の光となってアレイスラへの束縛を強める。

 しかしすぐさま、押し返し始める『アレイスラの民』の圧力。


 私はそれを見て、ふーっと一つ、ため息をつく。


「……プレート、私の記憶と感情を全て呪いに変換するとどうなる?」

『必要量の三割弱を確保となります。しかし早晩、アレイスラは束縛から抜け出すことが予想されます』


 その時だった。

 背後から声がかかる。


「──ルス、ト……何を、するつもりだ」


 カリーンの声だ。


 あたりを圧倒する神威の中で、多くの人々が膝をつき、ひれ伏すことしかできない今の状況下。


 カリーンの顔も苦しそうに歪み、歩き方はふらふらだ。しかしそれでも、その状況下でカリーンは私の背後まで、自らの足で、歩み寄って来ていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ