クリムゾンパラディンモード
イブのパラディンモードを形成していたタケノコアーミーたち。
人化したセイルークの超火力のドラゴンブレスでぼろぼろになってしまった部分へ、ローズの蔓が次々に入り込んでいく。
特に被害の激しかったイブの右半分の表面は、ほぼローズの蔓で覆い尽くされる。
損壊した隙間を埋め。もう機能しなくなったタケノコアーミーに取って代わり、その体を構成する要素となっていくローズの蔓。
その蔓の体からは通常よりも長く、そして鋭利に尖ったバラのトゲが、まるで新たな鎧のようにイブの半身を覆う。
それだけではなかった。
新たな体を手にしたイブが、立ち上がる。
と、次の瞬間だった。神域の大地を構成するローズの蔓が、いくつもいくつも持ち上がるようにして隆起する。
その蔓の先には姉妹の塔から転移されてきた、対アレイスラ用に私がローズとともに準備をした武具の数々。
ツヴァイが溜め込んでいた、かつて存在した伝説的な強さを誇ったとされるモンスター達の素材を贅沢に使用した、錬成品だ。
巨大なサイズの兜に、皮の盾。そして皮鎧。
それらがローズの蔓によってあっという間にイブへと装着されていく。
「うん、サイズはぴったりのようだね」
私がイブたちの様子を伺いながら呟く間にも、セイルークは当然攻撃を仕掛けてくる。
手にしたばかりの皮の盾をセイルークの放ったドラゴンブレスへと掲げるイブ。
ドラゴンブレスが、その盾に触れるそばから消滅していく。
「エンシェントドラゴンの皮だからね。ドラゴンブレスはこれで大丈夫っと」
自身より上位の存在だった物への本能的な畏怖か、その盾を見たセイルークの表情がひどく歪んでいる。
その間に、すべての装備品がイブへと装着される。そしてそのイブの体を覆う蔓から、大輪のバラがいくつもいくつも咲き乱れる。
それはまるでイブの新たなる姿への祝福のようにも、見える。
それに賛同するかのように、プレートに表示された文字。
「イブの新たなるモードへの変更を確認。名称をいかがしますか」
「『クリムゾンパラディン』モードと」
「新しい名称を登録しました」
私の声に応えて、プレートが文字をつづっていく。
クリムゾンパラディンモードとなったイブが、動き出す。
大輪のバラが咲き乱れた完全武装の巨大なタケノコが、邪神の僕たる勇者へとその騎士剣を振るった。




