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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第六章

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圧倒と焦燥

 飛びかかったパラディンモードのイブ。

 その跳躍の反動で、大地が揺れる。

 すぐそばの海では、振動で波が起き、沖合いへと広がっていく。


 跳躍が、高い。

 セイルークの位置する場所をゆうゆうとこえ、その頭上をとるイブ。


 そのイブに向かって、セイルークが再びドラゴンブレスを放つ。セイルークからみて、イブは斜め上方向に位置していた。

 そのため、セイルークも首をもたげて、大きくあぎとを開いている。


「イブ。断ち切れ」


 イブが、私の呟きに呼応して騎士剣を振り下ろす。

 赤々とした加護の光。その軌跡が空に弧を描き、巨大な騎士剣がセイルークの放ったドラゴンブレスと触れた。


 均衡は一瞬だった。


 あまりに容易く、ドラゴンブレスが断ち斬られていく。

 バラバラな光となって周囲へと飛び散るドラゴンブレス。その光の残骸がまるで無数の流星群のように大地へと降り注ぐ。それが地面へと触れる度に、小さな爆発が起きる。

 そこかしこに小さなクレーターが生まれていく。


 あわてふためくセイルーク。絆が切れた私にも、その表情がわかるぐらいだ。


 セイルークは身を捻り、迫りくるイブの刃から逃れようとする。

 しかし、完全にかわしきることは叶わなかった。翼のうちの一つが、中程から切り裂かれていく。


 セイルークの翼を切り飛ばした騎士剣が、そのまま海面へ振り下ろされる。


 海が、割れた。


 その騎士剣の刃にそって、水平線の先まで海が割れ海底が露になると、押し退けられた海水が巨大な津波となって大地に押し寄せる。


 するするとローズの蔓がのび、私の足の下で台のようなると、体を持ち上げてくれる。


「ありがとう、ローズ。お陰で濡れずにすむよ」


 アレイスラはどうしているかと確認すると、先程までと同じ地表すれすれで浮遊していた。

 そこに到達した津波は、まるで意思があるかのようにそのアレイスラを避けるようにして、大地奥深くへと進んでいく。


「なんだか、避けるまでもないって言わんばかりだ──」


 私の独り言にふるふるとローズが肯定してくれる。


 しかしよく見るとアレイスラの表情は、どこかいまいましげだ。

 タウラが絶対しないであろう、その表情。見ているこっちの方が、違和感が強い。


 ──あんな顔をタウラにさせておきたくないな、これ以上。


 私は決意も新たに、とりあえずは目の前のことからと、イブへと次の指示を告げる。


「イブ、穿て。迫りくるものも。逃げるものも。その全てを」


 イブが私の声に応え、騎士剣を水平に構えて刺突の構えをとる。

 次の瞬間、その赤き加護で出来た刃が、無数の細長い刃へと分裂する。持ち手から浮遊するようにして、その新たに現れた無数の刃が空中にたち並び、存在している。


 イブの巨大な全身が一度たわむ。

 渾身の突きが、放たれた。




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