パラディン
「ローズ、もう大丈夫だから」
私は爆風から庇ってくれた、全身に巻き付いたローズの蔓に、そっと手を触れる。
焦げてしまった部分に、手を当てて確認していく。『カゲロ機関分室』の世界を埋めつくし私の力の一部を得たローズの蔓ですら、加護のポーションの力の前には無傷とはいかなかったようだ。
「うーん。ここは剪定しないとだね」
私の呟きに、ひゅっと、その部分の蔓が引っ込む。私は変わらないローズの剪定嫌いに、苦笑してしまう。
私は引っ込んだローズの蔓から視線をイブへと移す。
「さて、イブ。お待たせ。頼むよ」
私はスクロールを通して加護の力を得たイブに、告げる。それに応えるように手にした指揮杖を高く掲げる、イブ。
その指揮杖が、待ちきれないとばかりに、真っ赤な光をまとい始める。
「『バックドア』起動。イブ『ジェネラルモード』解除。『神意を体現せし筍騎士モード』へ移行」
イブが天に掲げた指揮杖にまとう赤き加護の光が、真っ直ぐに上空へと伸びると、平たく広がり始める。
それは、まるで剣の刃だ。
通常の何倍もの大きさの騎士剣の形をとる、赤き加護の光。
その天に掲げた騎士剣をゆっくりと下げ、イブが顔の前で構える。
その時だった。大地を埋めつくすタケノコアーミーたちがイブを中心にして、真っ赤に染まっていく。
その赤い光が大地を埋めるタケノコアーミー全てへと広がると、次々とタケノコアーミー達がイブの元へと集まってくる。
近くのタケノコはその足元に参集し、遠くのタケノコ達はお互いを投げるようにして宙を舞い、すでに大きな山となったイブを中心としたタケノコ達の巨大な塊へと降り注ぐ。
一つ一つのタケノコが、赤き加護の光によってペタリ、ペタリとタケノコの山へと、くっついていく。
全てのタケノコが、イブへと合体した。
そこにたたずむのは、真っ赤な加護の光をまとい、巨大な騎士剣にふさわしい大きさと偉容をたたえた筍騎士。
無数のタケノコによって巨大な姿へと変わったイブが、騎士剣をセイルークへと向けると、その巨体を踊らせるようにして飛びかかった。




