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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第六章

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魔王を屠りし力とポーションの価値

「ふむ。面白くもない名乗りじゃのぅ。ほれ、そこのドラゴンよ、食ってよいぞ」


 アレイスラが急に興味を失った様子で、そうセイルークへと話しかける。


 一つ、大きく叫ぶと、翼を動かし急上空するセイルーク。

 もう絆が切れたからだろう。一切その意思は伝わってこない。叫び声も、ただただ、耳ざわりな音だ。

 上空へと舞い上がったセイルークが、こちらを見下ろしてくる。アレイスラとよく似た無機質な瞳。


 セイルークがその口を大きく開けると、ドラゴンブレスが放たれた。それは先程、深海の魔王たる妄執の一席を滅ぼした本気の一撃。


 しかし私も、それをただ待っていたわけではない。


 宙を舞うスクロールのうちの一つ。イブを『顕現』している物を手元へと引き寄せる。


「ローズ。姉妹の塔へと接続。例のものを」


 ローズの蔓の一つが、時空を突き破る。生まれたのは、転移の空間の穴だ。

 その空間の穴から、ローズの蔓の先がすぐさま引き抜かれてくる。


 蔓が巻き付いた状態で現れたのは、一本のポーション。


 特別製の、加護を詰め込んだポーションだ。


 ツヴァイの力を解析していたった、加護の正体の仮説。それは、アーリも使う、スキルという物を抽出し、実体を持たせた物ではないかというものだった。


 その仮説をもとに、私の知りうる限りの錬金術の知識を総動員し、呪術と浄光を媒体として錬成した加護のポーション。


 私はローズからそれを受けとると厳重に施したポーションの瓶の封を解く。そのまま手元のスクロールへと急いで振りかけるように注いでいく。


 変化は、劇的だった。


 ポーションの溶液が、イブのスクロールへと染み込んでいく。スクロールが、脈動するように震え、真っ赤に染まっていく。

 ポーションに込めた加護の力が、スキルとなってスクロールを通しイブへと流れ込んでいっているのだ。


 その際に、スクロールからわずか数滴こぼれたポーションが、空気中でその内包する加護を発現してしまう。受け取る先のなかったスキルの力。それもすぐにスキルという概念が崩壊し、単なるエネルギーへと変わってしまう。


 それは、爆発だった。

 濃縮され無理やり液状化させていたものが、解放され崩壊する事で生じる純粋なエネルギー。


 私の身を守るようにかばってくれる、過保護なローズの蔓。その隙間から覗いていると、発生したエネルギーの生み出した衝撃が、セイルークの放ったブレスとちょうど、ぶつかり合う。


 特製のポーションの数滴に込められたエネルギーの、意図しない発露。

 たったそれだけで、セイルークの渾身のブレスはあっさりとかき消されてしまった。


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