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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第六章

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セイルークの一撃

「タウラ、タウラっ」

「大丈夫です、ルスト」


 どこか、ぼーとしたまま返事を返すタウラ。

 先ほどの託宣を告げた時の魔素が、いまだにその身のまわりで揺らめいている。


 私はタウラの様子が気になりつつも、戦況へ視線を戻す。


 ──ヒポポブラザーズ達を顕現している暴食の器(オーバーイーティング)も、そろそろ魔素が限界だ。()き声もほぼ聞こえなくなってきた。いまだに動きを見せない妄執の一席が不気味だ。何か隠している手でもあるのか?


「ルスト、こいつは脱け殻だぞ! 意志が感じられないっ」


 攻撃の手を止めないまま、カリーンが叫ぶ。


 ──脱け殻? 誰かに操られている? でもツヴァイ、ではなさそうだ。消極的過ぎる。


 その時だった。ついに妄執の一席に動きが現れる。タコの体に生えた頭部のない人体である『妄執』に魔素が集まり始める。

 魔素が満ちた『妄執』の一つがタコの体から射出される。人の上半身が、魔素を噴射しながら宙を舞い、カリーンへ目掛けて凄い勢いで飛んでいく。


「──はあっ!」


 レッサーヒポポに乗ったまま、渾身の力で剣を振るうカリーン。飛んできた『妄執』は、カリーンの剣ですっぱりと両断されるも、カリーン自身も、あまりの勢いにレッサーヒポポから弾き飛ばされてしまう。


 砂浜をくるくると回転しながら吹き飛ぶカリーン。しかしすぐに剣を砂に突き立て、そのままの勢いで、立ち上がる。


「凄まじいな、おい。みな、迂闊には手を出すなよっ!」


 楽しげに叫ぶと、次々に射出され始めた『妄執』へと向かって駆け出した。


 ──迷っている暇はないか。セイルークっ


 ──了解した。すべて聞こえている。託宣の解釈も任せたまえ。そら、ブレスを撃つぞ。備えてくれ。


 二度、追加でポイントを得ていたセイルーク。絆を通して伝わってくるその意志は、劇的に変化していた。


 そんなセイルークの放つドラゴンブレス。

 それはまるで神のいかづちのように、天より地上へと放たれた。


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