増援!
次に取り出したスクロールは六本。
ここから少し手間をかけていく。
先ほどのイブをジェネラルモードにするときは、イブのバックドアを経由してスクロールから魔素を注ぎ込む必要があった。そのため直接私がポーションで回復させながら魔素を供給していた。
しかし今回はそこに一工夫、加える。
「上手くいくと良いんだが……」
私は背後に設置しておいてもらった、ポーションが満杯まで詰め込まれた樽のもとへと進む。それと、取り出したのは拳大の大きさの真っ赤な石。
リハルザムの魔石を加工して作った魔導具だった。
「ポーションラビット?」
「お、さすがロア。確かに中の魔導回路は一部、ポーションラビットの魔導具のものと一緒だよ」
魔眼に魔素の光を煌めかせて呟いたロア。
私が嬉々として説明しかけたところで、タウラの声。
「ルスト、タケノコアーミー達が押されはじめています」
カリーン達が左翼を食い破ったあと、歩兵装備のタケノコアーミー達がイブの指揮のもと、三方から半魚人軍に押し寄せていた。
しかしあれほどの被害がありながらも、半魚人軍は徐々に戦線を押し返し始めていた。数で勝るタケノコアーミーを力任せに打ち倒していく半魚人たち。
──半魚人の、個としての強さはタケノコアーミーを大きく上回っているからね。まあもう少し、もつ……
戦況をそう判断した時だった。
妄執の一席が動く。
再び、戦場に、人体同士を打ちつけたかのような、びたんびたんという音が鳴り響く。
「ルスト師、敵増援。海から。半魚人と、あれはウニ?」
──当然、海の中には敵がまだいるよね。
「アドミラル領軍にも海側から追撃が来てます」
水辺には強いレッサーヒポポたち。海側から新しく押し寄せ襲いかかる半魚人の追加の兵を、上手くその足で蹴散らしている。
騎乗するアドミラル領軍の面々も各々の武器を振って対応している。
「アドミラル領軍、左に旋回。後方から追撃。ウニ、くる!」
ロアの声にあわせるかのように、海の中から巨大なウニがいくつもいくつも転がり出てきた。
イブが、せわしなく指揮杖をふるい、タケノコアーミーの隊列を入れ換えていく。
歩兵装備のタケノコアーミーにかわって最前列に現れたのは、竹製の全身鎧を身にまとい幾重に重ねられた竹で出来た盾を持つタケノコアーミー。
「タケノコシールド?」
「……よく名前、わかったね。ロア」
「ルスト師、安直」
私が苦笑いしているうちに、タケノコシールドとウニが接触する。レッサーヒポポを上回る速度で、人の倍はある大きさのウニがうみだす衝撃。
次々にタケノコシールド達が吹き飛ばされてしまう。しかしいくつかのウニは、タケノコシールド数体がかりで押し留めることに成功する。
それ以外のタケノコシールドの戦列を抜けてしまったウニ達が、タケノコアーミー達を蹂躙していく。
そしてそのうちの一体のウニが、アドミラル領軍へも迫っていた。




