怒濤の後片付けが終わって
「ふー」
「お疲れさまです」
イブの最終調整を終えた私が伸びをしていると、背後から声をかけられる。
「ああ、アーリ。アーリもお疲れさま」
「いかがですか」
「うん。イブの再調整は無事に。後は魔素の充填が明日の朝には終わるから、そしたら再び領都の建物、再建できると思うよ」
「それは良かったです。一晩でまさか街が復興するなんて、さすがですね。どうぞ、お茶です」
「お、ありがとう」
私はもらったお茶を一気に飲み干すと姿勢をただし、アーリの方を向く。
「すまなかった。アーリの魔眼は取り返せなくて」
「ルスト師はとてもよくやっていますよ。謝らないで下さい。それに──実は私には負担でした」
そういって微笑むアーリ。たぶん、それは本音の一部ではあるのだろう。
「それよりも」
そこでアーリの雰囲気が変わる。
──あ、まずい……
「せ、セイルークにポイントを渡しに行かなきゃいけなかったんだ」
じりじりと、足を動かす私。
「そうですか。それは大切なご用事ですね」
満面の笑みで肯定してくるアーリ。
「そうそう。ずっとせっつかれててさ」
歩きだした私の背後に、ピタリとアーリがついてくる。
「私もご同行させていただきますね」
「あ、アーリの方のお仕事は──」
「もう、済んでおります。カルザート王のご遺体の件も。王都から使者がいらっしゃる手はずになっております」
「あ、そうなんだ」
「そのうちの一人は王都アレイスラ教会の方のようですよ」
「ふーん」
「アクター・カヘロネーのようですよ、いらっしゃるのは」
「ああ。彼女ならつつがなくこなしそうだよね」
「……」
そんなたわいもない話を私はアーリと交わしながら歩き続ける。
──あれ、このまま何もない感じ? てっきりまたなにか無茶したって怒られるのかと思ったんだけど……
セイルークの住みかだった場所が見えてくる。
そこにはなぜかカリーンにロア、そしてタウラもいた。
「みな、どうしたの? こんな時間に」
「ああ、ルストか。ツヴァイの痕跡が残っていないか調査をしていた」
「ああ、なるほど」
ロアは魔眼で、タウラは託宣の力で協力していたのかと納得する。
「それでルスト。ツヴァイは?」
「相変わらず北に。位置は変わってないみたいだ」
「そうか。──嫌な感じだな」
ぽつりと呟くカリーン。
「まあ、よい。ルストはこちらには? ああ。いよいよセイルークにポイントを渡すのか」
グッと首を伸ばしてきたセイルークをみて、察した様子のカリーン。
「ああ。そのつもり」
私は答えると、セイルークと私の間の半透明のプレートを開いた。




