返還と!
「はー、やれやれ」
手に出していた加護とポイントをいつの間にか消していたツヴァイ。とても人間臭い仕草で解放された腕をさすっている。
私は油断なくその様子を注視しながら、意識して声を低くし、ツヴァイに催促する。
「はやくしろ」
「ああ、わかったわかった」
片手をなげやりな感じで振ったあと、ごきごきと両手の指を組んで鳴らす仕草をするツヴァイ。
音を出すことによって行われる加護は、今の状況下では発動しないという確信はあるものの、私は一瞬、身をかたくする。
しかしそんな私の様子を気にした風もなく、ツヴァイは組んで鳴らしていた両手を、自身の目の前まで戻す。
浄光で出来たツヴァイの両手が、輝きを強める。次の瞬間、その組まれた手が大きく大きく膨らんでいく。
そのなかに、何かが現れたのが見えた。
奪われたカルザート王の遺体だ。
遺体をおおうほどの大きさにまでツヴァイの拳はすでに膨らんでいる。それを地面に接するまで下げる。
ツヴァイの拳の大きさがもとに戻ったあとには、カルザート王の遺体が床に横たわっていた。
それはまるで、つい先ほどその命が刈り取られたばかりのようにさえ、見える。
「ほらほら。古き血の者だ。確認するか?」
「いや。先に他のものを」
「やれやれ。じゃあ次は、そこの女の加護とポイントだ。取りに来てくれ」
そう言うと指を動かして、近づくようにジェスチャーしてくるツヴァイ。
私はタウラと視線を交わす。
警戒心もあらわに細かく首を振るタウラ。私もタウラにわずかに頷いて肯定の意を返す。
──近づきすぎるのはどう考えても危険だ。何を仕掛けてくるかわからない。私がツヴァイの体を絞り千切る速度を勘案すると……何かされた場合、対応が間に合わない可能性がある。
「少なくとも加護の方は、本人じゃないと返せないぞ? やれやれ。じゃあ二つとも投げるからな。受けとってくれよ?」
「──わかった。タウラも、それでいいかな」
「ええ。問題ない」
私とタウラを交互に見たあとに、ツヴァイが消していたタウラの加護とポイントのボックスを再び両手に出現させる。
「はいよっ」
下手投げの要領で、ツヴァイは両手を同時に動かす。
その手から離れて宙をまう、タウラの加護と、ポイントのボックス。
そしてもう一つ。何か細い筒状のものが、ツヴァイの手から放たれた。
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「趣味はグリモワール作りの陰キャですが、なにか?」
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