新スキル!
「新しいスキルは、『弱体化』か」
セイルークにのって《転写》のスクロールでアーリを調べながら私は呟く。
「これはやはり同化薬を飲んだからなんでしょうか。それと、ルスト師。そろそろ」
「あ、はい」
私は《転写》のスクロールをしまう。
二人乗りしてセイルークが飛び始める直前くらいから、少し脈がはやくなったぐらいで、アーリの体調に問題は無さそうだった。
「それで、『弱体化』のスキルだけど、アーリの言うとおり、その可能性が高いと私も思う。スキルの名前も『最弱』と関係ありそうだしね」
「はい。これで、スキルは三つ……」
指折り数えながら考え込む仕草をするアーリ。
『地走り』に『天の裁き』そして今回の『弱体化』。
推測に過ぎないが、リハルザムの同化薬を飲んだときに潜在的に獲得していたスキルが一つ。
そうしてアーリ本人の祖先から由来するものが一つ、と考えて良いだろう。
私もアーリも、その事についてはあえて口には出さないが、考えていることはたぶん同じだ。
──リハルザムの同化薬由来のスキルが『天の裁き』かな。なんとなく存在が罰当たりな感じだったし。
そんなことを考えていると、セイルークが降下し始める。最弱の七席がいた場所の近くまで、舞い戻ってきた。
◇◆
「これはまた、凄まじいな……」
辺りは、惨状だった。
浄光に焼かれ一部が欠損した無数のモンスターの死骸が大地を埋めている。
上空にあれほどいたモンスターの姿は、空にはすっかり無かったな。
「一部は逃げ出したみたいですね」
同じように周囲を確認するアーリの意見。どうしてわかるのかなと不思議に思いながら、たずねる機会を失う。
「ルスト師、最弱の七席ですっ」
アーリの指差す先。そこにはなんとまだ浄光の光に焼かれ続けている最弱の七席の姿があった。
「アーリ、気をつけて。様子がおかしい!」
蝿の見た目をした頭部が焼け落ちて、既に無い。しかしその体は二本の足で立ち、それどころか私たちの方へと向かって歩いてきていた。
まるで暖かな春の日差しの下を散歩しているかのような、軽快な足どり。
浄光の光は最弱の七席の全身をくまなく覆い、背中に生えた羽は浄光の光に置き換わっていた。
浄光をまとった最弱の七席が、羽を広げ空へと舞い上がる。
「ルスト師! 私の後ろへ!」
槍に赤いスキルの光をまとわせたアーリが、私と最弱の七席の間に入り、最弱の七席へと対峙する。
そこへ、空へと舞い上がった最弱の七席の羽から鱗粉のような浄光が、ふってきた。
「え、蝿じゃないの?」
私が思わずつっこまざるを得ない意外な攻撃。
しかしアーリは冷静に槍を両手で掲げるようにして、頭上で旋回させる。
槍の赤い光が青白い鱗粉を吹き消す。
「ルスト師、あれはもう倒すしかありません。良いですね」
ちらりとこちらを見て、アーリはそう、確認してきた。




