同化薬再び
「出来た」
私の手のひらの上には、最弱の七席の肉片の一部を使わせてもらって作成した、同化薬がのっていた。
魔族となったリハルザムの根城に忍び込んだ時に使ったものと、ほぼ同じもの。
違いとしては、あの時は寄生キノコのエキスを元にしていたが、今回は魔族自身の肉片を使っているぐらいだ。
そういう訳で、効果は今回の同化薬の方が断然強い。
「これなら魔族の側近クラスのモンスターでも、十分に誤魔化せると思う」
「また、こんなものをあっという間に作られて……」
「まあ、作るの二回目だから。それなりには手慣れたから」
「──はぁ。もうっ。これで、戻ることを反対、出来ないじゃないですか。ずるいです。ルスト師は」
ぷくっとふくれながらも、私の手のひらの上の同化薬を一粒、奪うようにとるアーリ。そのまま飲み込む。
ごくんと同化薬を飲み下すと、アーリはこちらを見上げて、念おしをしてくる。
「いいですか、ルスト師。最弱の七席の所に戻るのは仕方ありません。でも、少しでも不測の事態になったら無理はせず、その場を離れるのは約束してください。良いですね」
「わかった。約束するよ、アーリ。このメダリオンにかけて」
私も手に残った同化薬を飲み込むと、錬金術師のメダリオンを取り出し、約束をかわす。
「──ふふ。それ、懐かしいです」
「ギュル?」
アーリの急に和んだ様子に、セイルークが不思議そうにしている。
そういえば、アーリ達と初めて会った時、セイルークの意識は無かったんだよなと思い出しながら、私はセイルークに声をかける。
「セイルークは、ここで待っててくれる?」
「ギュルルー」
セイルークから絆を通して、ぎりぎり近くまで乗せていく、と伝わってくる。
しばし検討して、結局その言葉に甘えてセイルークの背に乗ろうとした時だった。
アーリの様子が、おかしい。
胸元をぎゅっと抑え、険しい顔つきをしている。
「アーリ、どうした?」
私は努めて冷静に、そして端的にたずねる。
「体が急に熱くて。それに、何かが沸き上がってくるよつな感覚が──あっ」
「どうした!? もしかして、同化薬の副作用かっ」
私はさっと血の気が引くのを感じながら、急ぎ《転写》のスクロールを取り出す。
「副作用……と言えばそうなのかもしれません。どうやら私、新しいスキルを手に入れたみたいです」
自らの体を確かめながら、アーリ自身も不思議そうにしながら、そう告げた。




