悲鳴と叫び
最弱の七席の、悲鳴。
その悲鳴が辺りに響く中、私は浄光の光による攻撃の出所を探して上空を仰ぎ見る。
すぐに、わかった。
モンスター達で埋め尽くされた空の一点。そこだけが青白く輝いている。その光の中に、人型の翼を持つモンスターの姿が一体。
そのモンスターの周囲の青白い輝きが、膨れ上がる。それは明らかに第二射の予兆。
「アーリっ!」
「はい……。スキル『天の裁き』っ!」
私はその空の一点を指差し、アーリに声をかける。
顔を真っ赤にしながら、アーリは返事の後に一呼吸おいて、スキルの名前を大声で叫ぶ。それは以前にしぶしぶだが、見せてくれたスキルの名だ。
──さすがアーリ。スキルを使ってほしいという私の要望をすぐに理解してくれた。魔眼がなくったって、察しの良さは相変わらずだ。ただ、やっぱりスキルを使うときに顔が真っ赤だけど……。あっ……もしかして、恥ずかしがってるのか?
最弱の七席の悲鳴をかき消さんばかりの叫びをあげたアーリ。
次に、腕を大きく振りかぶる。そのまま、手にした槍を上空へ向かって投擲した。
真っ赤な光をまとった槍が、まるで地上から天空へと放たれる一条の雷のように上昇していく。
再度の浄光の攻撃が今まさに放たれようとしたところへ、そのモンスターの胸をアーリの放った槍が、貫く。
上空で燦然と輝いていた青白い浄光の光が、真っ赤にかわる。次の瞬間、光が霧散していく。
「アーリ、素晴らしいっ」
私の称賛の声はしかし、すぐに無数の羽音に飲み込まれる。
最弱の七席の終わらぬ悲鳴に、空を埋め尽くさんばかりに密集していた最弱の七席の配下たちが、次々にこちらへと飛んでくる。
どうやら最弱の七席を助けようとしているらしい。しかしどのモンスターも、近づくそばから最弱の七席の体を蝕む浄光の光によって、その身は滅ぼされていく。
それでも、空からのモンスターの奔流は止まらない。次々に押し寄せるモンスターの勢いから逃れるように、後ろへと下がる私とアーリ。
椅子を形作っていたローズの蔓がほどけ、私たちを守るように壁を形成してくれる。
その時だった。するするとそのローズの壁の一部から、蔓が伸びる。その蔓の先端の向かう先の地面。そこには、私の作成した骨のナイフを握ったまま切り飛ばされ、今まさに浄光の光によって焼かれている、最弱の七席の手が落ちていた。




