階段を下りながら感じる違和感
──また、階段か……。避難通路、って訳ではなさそうだ。それなら王だけでも先に逃げていればいいし。私の名前を聞いたからここへ? それなら、進んでみればわかるか。それに何よりも、下りなだけましだな。
何でこの城はこんなに階段ばかりあるんだろうと思いながら私が振り返ると、ちょうどドアが消えていくところだった。
完全にドアが消える直前、部屋に残って剣を振るうカリーンと目が合う。
笑ってウインクしてきた。
そのまま、ドアが完全に消える。
──カリーン、気をつけろよ。そして出来たら城を壊しすぎないでくれ。
「ルスト師、いきましょう」
少し不安な気持ちでいた私にかけられる、アーリの声。アーリは、数段、階段を下った先にいる。そしてまだ握ったままの私の手をくいくいっと軽く引いてくる。
どうやらカルザート王とリリー殿下、それにロアはすでに階段を下りはじめていた。
「ああ。すまない」
「──もぅ」
そう小さく呟き、私の手を離すアーリ。そのまま薄暗い階段を、アーリもトトトっと小走りで進んでいく。
一瞬、反対の手にアーリが握っていた槍がチラッと光ったように見える。
──あれ? 見間違いかな。深紅の光じゃなくて、一瞬浄光の青白い光みたいに見えたけど。
私が瞬きする間に、しかしアーリの槍は普通の状態に戻ったようだった。
──ただの見間違い? それとも今のも、ステータスウィンドウとスキルとやらが関係しているのか?
私がそんなことは考えている間にアーリはずんずんと階段を下っている。私は慌てて、皆のあとを追おうと急いで下り始める。
「ねえ、アーリ。その槍っていつもと変わらない?」
何とか追い付いたアーリに質問してみる。
「え? 急にどうしてそんな質問を、ルスト師」
「いやほら、アーリってスキルとか使えるようになったって言ってたから……だからスキルを使った槍自体にも何か変化があったのか気になって」
「──ですから、スキルのお話は」
「ああ、それはいいんだ。ごめん。で、槍はどう?」
「槍ですか」
私の横で階段を下りながら、手元を改めて見るアーリ。
「……そういえば、リリー殿下をかばって落ちた時のことです。落下の衝撃で手放していた槍を拾ったら違和感があった、かもしれません」
「え! それって……」
そこで階段が終わり、結局質問するチャンスを逃してしまう。
行き止まりになったそこにはカルザート王達がこちらを向いて待っていた。
そのカルザート王の背後には、見たことのあるものが浮いていた。
そう、それは真っ黒な立方体──ボックスだ。セイルークを変化成長させるポイントが入っているであろうそれは、しかもこれまで見た中で、一番大きなサイズのボックスだった。




